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剣翼の三頭狼(ケルベロス)  作者: 諸星 乱
学園一年生編
3/9

二話、輝きの双翼

 前回の続きです、どうぞ読んでいって下さい。

 その時は、よく晴れていた・・・。


 ここ聖マギアナ学園は全寮制だ、なので生徒たちは全員寮に住んでいる、二年生からはラボハウスと言ったチームのみのシェアハウスがあるが、一年生は全員寮で過ごす。

 また、生徒への荷物はいったん生徒指導部に届き生徒に渡して問題ないかを確認してから渡す、この時数日間連続して荷物が届く場合一日に一気に渡れるためかなり苦労する、現に怜斗(れいと)もかなり苦労させられた。

 そして今、如月(きさらぎ) 怜斗(れいと)の手を取りニッコリと笑っているこの少女もそうに違いないと

思っていた。


「大丈夫か?」


 再びそう聞き、少女は怜斗の手を借りて起き上がり、尻餅をつき汚れたスカートをはたいた。


「はい、大丈夫なのです。」


 元気よく答えたのでホントに大丈夫なのだろうが、怜斗は散らばった三つの段ボールを見てその少女に聞いた。


「これ全部運ぶのか?」


「そうですけど…。」


 少女は声のトーンを落として言った。


「一人でか?」


「はい。」


「無理だろ。」


 その少女は背が低く散らばっている段ボールを三つ全て積み重ねて運ぶと自身の頭と同じ位の高さになり、確実に前が見えない。


「手伝ってやるよ、ちょうど暇だし。」


 怜斗はそう言い段ボールを二つ持ちあげた。


「そんな、悪いですよ。」


 少女はそう言い怜斗を止めようとしたが、怜斗はやめる様子はなかった。


「いいよ、ちょうど暇してたし、また転んでケガされても後味悪いし。」


「ならお願いします。」


「あぁ、俺は魔導科一年の如月(きさらぎ) 怜斗(れいと)だ、よろしくな。」


 怜斗はそう言い微妙に口元を緩ませた。


「はい、私は普通科一年のクーデル・パシスティというのです、皆からはクーと呼ばれてるのです。」


 クーもニッコリと笑い段ボールを拾い上げた。


「あぁ、よろしくなクー。」


「よろしくなのです。」


 そう言い怜斗はクーの荷物を女子寮の部屋に運び怜斗はクーと共に再びベンチに座っていた。



―再び第一中庭―

 聖マギアナ学園には四つの校舎がある、一つは職員室,保健室,警備室がある管理棟、二つ目は生徒達の教室がある一般棟、三つ目は主に普通科生徒が行く実験室等がある特別棟、最後は魔導技術科が使用する技術棟だ、その中で管理棟と一般棟の間に有るのが第一中庭だ、そして学生寮と管理棟の通り道に有るのも第一中庭で近道には丁度いいのだ。

 怜斗とクーは第一中庭のベンチに座って和んでいた。


「さきほどはありがとうなのです。」


 改めてお礼を言うクーの頭を撫でて、怜斗は言った。


「気まぐれだよ、気にするな。」


 そう言いクーの頭から手を放し空を見た、空はまだ高く怜斗は息を着き目を瞑ると、隣に座っているクーも同じように上を向き息を着いた。


「落着きますね。」


 クーがそういい怜斗が短く「あぁ」と返すと、怜斗の隣から「くぅぅぅぅ」と可愛らしい音がし、クーの顔が真っ赤になっていた。


「そういえばもう昼はとっくに過ぎてるな。」


 怜斗は学生証のデバイスを開き時刻は午後の2時45分だった。


「もうそろそろ3時だ、購買にでも行くか。」


「わたしも行くのです。」


 クーがそう言い、怜斗達は購買に行き怜斗はサンドイッチ、クーはおにぎりを買いさっきのベンチに戻った。



―またまた第一中庭―

 怜斗とクーは購買で買った昼ご飯を食べ、二人で話をしていた。


「怜斗さんは魔導科と言いましたね、すごいと思うのです、魔導科の入学式には実技試験があると聞いたので。」


 クーが少しもじもじしながら聞くと怜斗はあっけなく答えた。


「実技試験といってもリアルファイトでは無いし、固有魔装(こゆうまそう)持ちはその特性で優遇される、それに…俺は落ちる訳にはいかないかったからな。」


 怜斗はそう答えると少し寂しい表情になった。


「それでもやっぱり凄いのです、私なんて魔法は使えますがとても魔導科なんて無理ですよ。」


 クーはそう言い下を向いた。すると怜斗が言った。


「魔法に絶対は無い、それと同じで人間の可能性にも絶対は無い。」


 怜斗は空を見ながらそう言った。


「どういう事ですか。」


「つまり人間は努力すればそれだけ可能性が広がる、てことだ。」


 怜斗はクーの頭を撫でまわし、クーは「はわわ~」と可愛らしい声をだした。


「それより、クーはどうなんだその髪のイメージだと外国から来たのか?」


 怜斗の問いにクーは頷く。


「はい、北欧の方から来ました。」


「北欧か…寒そうだな。」


 怜斗の言葉に「クスクス」と笑い話をした。


「父と母は立派な魔術師でしたが、10年前に魔導犯罪者と戦って…。」


 クーはその先を言わなかった。


「そうか、それは辛かったな。」


 怜斗はそう言い、しばらくの沈黙。


「今までは兄と暮らしていましたが進学を機に日本(こっち)に来たのです。」


「そうか、でもなぜ日本なんだ、北欧にもいい学校は有っただろう。」


 その問いにクーは寂しそうに答えた。


「母の生まれた国を見てみたかったのです。」


「そうか。」


 怜斗は日本語が達者で顔たちも日本人にすこし近いのでクーはハーフではと思っていたので、やはりと

思いこたえた。


「俺もな…お前と一緒だよ。」


 そういいクーは怜斗を見つめた。


「俺も両親を魔導犯罪者に殺された。」


 その後も怜斗とクーは雑談をして午後5時のチャイムが鳴り別れた。



―男子寮怜斗自室―

 怜斗は荷物を開けて今日の分の寝間着である浴衣を二着出していた、するとヘアの脱衣場から有る人の声がしてきた。


「すまない、寝間着を貸してくれ。」


 その声は怜斗のルームメイトで幼馴染みの東堂(とうどう) (とら)だ。


「あぁ、今持っていく。」


 そういい、脱衣所に浴衣とタオルを置き自身の風呂の準備をしていた。


 「すまないな、借りてしまって。」


 脱衣所から出てきたトラが帯を締めながら出てきた。


 トラは今日この寮に来たのでまだ、荷物が届いていないのだ。


「いいよ、制服で寝かせる訳に行かないし、じゃ俺も風呂もらうな。」


 そう言い怜斗は風呂場に向かった。


 怜斗はシャンプーをしながらクーの事を考えていた。


「あいつも俺と同じく、両親を失ったのか。」


 怜斗はそんな事を考えながら体を洗い20分弱で風呂から上がり、浴衣を着て脱衣所を出ると、そこには帯を占めるに苦戦しているトラがいた。


「なにやってんの。」


 トラは涙目で怜斗を睨み顔を真っ赤にしていた。

 トラの帯を怜斗が締めて、二人は明日の実戦訓練に備えて早めに就寝した。



―翌日 第一訓練室―

 実戦には三種類のレギュレーションがある、一つは自身の固有魔装(こゆうまそう)のみで戦うスタンダードレギュレーション、二つ目は術式武装(じゅしきぶそう)使用可のリミッテドレギュレーション、この二つは相手を死に至らしめる攻撃を禁止している、最後のはなんでもありのアンリミテッドレギュレーションだ。

 また、スタンダードとリミッテドレギュレーションも場合固有魔装にはセーフティがかかり人を傷つける事は出来ないが、その分相手の体力を削り削りきると相手は気絶する。

 このルールは約数十年前に偉大なる大魔術師、ハーミット・ヴァーンドが大魔術で定められた。


「じゃあ始めるぞ、レギュレーションはスタンダード、1対1の決闘(デュエル)方式で行う。」


 三雲(みくも)先生はそう言い試合の順番を発表して言った。


「では、一回戦目、如月(きさらぎ) 怜斗(れいと)綺堂(きどう) 或真(あるま)、いざ尋常に…始め。」


 先生の合図と共に戦闘開始のサイレンが鳴り、お互いが固有魔装を展開した。

 或真は片手にレイピアを装備し構えたが、怜斗の固有魔装を見て訓練室に居る全員がザワついた。


「それは…翼か…。」


 或真がそう呟き怜斗が頷く。


「あぁ、これが俺の固有魔装…輝きの翼(シャイン・ウィング)だ。」


 そう言い怜斗は翼を振動させて一気に或真に詰め寄り渾身の蹴りを左の横っ腹に叩きこんだ。


「ヴゥッ。」


 或真は唸り右側に飛んだが直ぐに体制を立て直し、怜斗に向けて突きを入れるが翼を使用したバックダッシュでそれを避けて再び間合いを開ける。


「なかなかやるな。」


 或真がいい怜斗に刃を向ける、怜斗も両手を構えて戦闘態勢を取る。


「その太刀筋…刀とレイピアは違うだろ。」


 怜斗がいい或真の表情が少し険しく成る。


「まぁな、だがレイピアもそれなりに鍛えたんだぜ。」


 或真がそう言い、再び或真は突きを入れるが怜斗はまたバックダッシュで避ける。


「同じ手だ、喰らうか。」


 怜斗がそう言ったが、或真はニヤケこう言った。


「それはどうかな。」


 或真は突きを打つ時一回の踏み込みで打ってくる、しかし二回目の突きは二回目の踏み込みが有った。


「なに!。」


 怜斗は短く叫び刃が自身の心臓を貫こうとしている刹那、翼を振動させギリギリの所で致命傷を避けたが左の脇腹をかすめた。


「クッ。」


 お互いに間合いを取り合い硬直状態が続く。


「セイッ。」


 静寂を破ったのは或真の方だった、或真は先ほどとは比べ物に成らない位の速さで突きを入れえ来た。


「・・・」


 怜斗は動かない、目を閉じ自身の五感を最大まで研ぎ澄ましている。


「もらったぁぁぁぁぁ。」


 或真のレイピアは怜斗の心臓一直線にむっかてくる、ギャラリーも怜斗が諦めた物だと思い込んでいた、ただ一人を除いて。


 トラは確信していた、怜斗の勝利を。


「ハッ。」


 或真の刃はもう残り数センチの所まで迫ていた、が、怜斗は息を一気に吐き両手で刃を掴んだのだ、白刃取りの応用で或真の刃を止めたのだ。


「なにっ。」


 或真が起きた事を理解した時にはもう遅かった、怜斗は翼の推進力を使い体を一回転しレイピアを或真から奪い取り投げ捨て一気に間合いを詰め或真の胴体に渾身の回し蹴りが見事に命中し或真が後方へ吹っ飛ぶ。


「クッ。」


 或真が短く息を吐きこのまま転がる、怜斗は尽かさず追い打ちを掛ける。


「セッヤ。」


 怜斗は片膝を着いている或真に翼を推進力を乗せた渾身の右ストレートが或真の顎を捉えもろに喰らいそのまま気絶した。


「勝者、如月 怜斗。」


 先生の言葉により怜斗の初陣が終わった。



 次回は少しばかり月日がたった後の物語です。

 なんかアクションものを書いているのにクーとのやり取りの方が多いですね(笑)。

 まだまだ至らぬところがありますが改善点とうはコメント下さい。

 今後ともよろしくお願いします。

 ※2018/06/12 文の書き方変更 一部修正

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