プロローグ
二十二世紀と聞いて、空に車が飛んでいたり、宇宙旅行といった話題が浮かぶのが何十年前までの架空話だと考えると、世間がどれだけ未来に希望を持てなくなったのか考えることができるのではなかろうか? その第一の理由に、世間がそのような絵空事はアニメや漫画、ゲームの世界だけだと誰もが知ってしまったからだ。
そうして、歳を老い夢を忘れるように人間が未来を見なくなった。
21XX年、勿論医療や化学は絶大な進歩して、腕をなくした戦地の子供の腕が生え変わるまで進歩したが、未だにあの世界には遠い。
だが、もしも二十一世紀に描かれた未来の二十二世紀が存在したらどうだろうか?
それが、どんな未来を形成したかはあの時代に生きた人間にしかわからない。
少なくても、二十二世紀に生まれた高橋には、それは空想の代物でしかない。
だが逆に、アニメやゲームの世界で描かれた幻の世界をどうして自分たちのモノにしたいと思わないのかが不思議で溜まらなかった。
魔法や世界を変える発明さえあれば、こんな社会で起きる陳腐な争い、イザコザ、下手したら世界平和だってカンタンに手に入れることができるかもしれない。
それが、彼がずっと追い続ける夢だった。
そして、おそらく夢追い人が理想とする理想の形。『IDEA』はそうでありたい。