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もぐらの逆襲  作者: oga
人間編
18/24

一文無し

「うおっ!? や、やべぇ!」


「冷てぇぜよっ」


 ツルハシが抜いたのは、劣化した配水管であった。

穴から勢い良く水が溢れる。

輪島は、ツルハシで穴を塞ごうとしたが、一時しのぎにしかならず、隙間から水が漏れ出す。


「くそっ、おめぇ、上でふさげるもん取ってこい!」


「こんなの、どうやって塞ぐぜよ? そもそも、防犯カメラが回ってるんじゃ……」


 輪島は、使えねぇな、と怒鳴り声を上げたが、何かで繋ぎ止める方法は思い付かなかった。


「……輪島さん、ここはもう……」


「っざけんなっ! やっと手に入れたチャンスなんだぞ! 捨てられるかよっ」


 しかし、このままではトンネル内は水没してしまう。

輪島は、それでもギリギリまで採掘を続けると言い張り、ツルハシを抜いた。


「馬鹿野郎っ」


 バチン、と平手打ちの音が響いた。


「……な、何しやがる!」


「ここにいたら水没して死んじまうぜよ! 命の方が大事だろ」 


 輪島は、もぐらの言うことを聞かず、穴を掘り進めた。


「……輪島さんっ」


「俺には、これしかねぇんだ……」


 輪島は、この鉱脈で稼いだ3000万を、女、車、高級マンションの賃貸につぎ込んだが、たったの半年で破綻した。


「妻も、家も、取り戻したかったんだ」


「夢見てんじゃねぇ、目を覚ますぜよ!」


「……目を、覚ます? これは、夢?」


 輪島は突然、ツルハシを振り回し始めた。


「これは夢だったのかっ、あははっ、あはははっ」


 所構わず壁を叩きまくる。

すぐ脇には、配水管があった。


(やべぇ、これ以上穴を増やされたらかなわんぜよ)


 もぐらは、暴れている輪島の脇腹目がけ、拳を打ち込んだ。

 






 倒れた輪島を担ぎ、裏の従業員の通路から店を出た。

幸い、常駐している警備は怠慢で、一瞬監視カメラに姿が映っていたものの、騒ぎにはならなかった。

そんなこととは知らず、もぐらは公園の住まいに戻ってきた。


「ふう…… 何とか帰ってこれたぜよ」


 輪島は気を失ったままである。


(こいつのせいで一文無しぜよ…… いや、待てよ)


 もぐらは、テントから出て、炊き出しの所までやって来た。


(……あった!)


 足元には、ピンクのダイヤが転がっていた。


 

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