トラブル
もぐらは、豚の貯金箱から4万を抜き取り、ホームレスに渡した。
「警備を引きつける役目、任せたぜよ」
「おう! クロスワードパズルが解けねぇとか言って、適当に俺の相手してもらうからよ」
店の閉まる9時きっかりに、一分程度相手をカメラから引き剥がせば良い。
自信満々に、ホームレスは警備室の方へと歩いて行った。
一方、輪島ともぐらは店の中に入り、地下の食品売り場へと向かう。
閉店間際のため、客はほとんどいない。
変わりに、蛍の光のBGMが流れている。
「……この床面だ」
ブルーのテントから持ってきた吸盤を2枚準備し、腕時計でカウントを始める。
「8、7、6……」
腕時計の秒針が、円形の頂点を差した瞬間、2人は行動を開始した。
吸盤を床面に貼り、そこに取り付けてある取っ手を掴む。
床面をはぐると、穴から梯子が伸びていた。
「暗いから気を付けろよ」
「了解ぜよ」
2人は、立て掛けてあるだけの梯子を慎重に下り、地面に降り立った。
(思ったより、浅いぜよ)
すぐ降りた所に、ロッカーが置かれており、輪島はその中から、マスク、ツルハシ、ヘッドライトを取り出した。
「土を外にかき出せねーから、マスクがないとむせ込んで仕事にならねぇ」
マスクを装着し、ヘッドライトを点けて中を進む。
灯りで照らすと、埃の粒子が舞うのが分かる。
輪島の言うとおり、環境は良くない。
ゴツゴツとした岩を避けながら、しばらく進むと行き止まりに到着した。
「こっからだ」
輪島はツルハシを掲げると、壁を叩き始めた。
ボロボロと細かい石が落ちると、もぐらが拾って後ろへと投げる。
輪島が疲れたら、今度はもぐらが壁を削っていく。
2人は、この作業を根気良く続けた。
「おめぇ、かなり筋がいいじゃねーか!」
穴掘りはもぐらの取り柄である。
ツルハシは手に馴染み、無駄ない動きで軽快に掘り進んだ。
もぐらの働きに機嫌を良くした輪島は、鼻歌混じりに採掘作業を進めたが、ここで思わぬトラブルに見舞われた。
ガキン、という金属音がツルハシの先から響いた。
「……パイプ?」
輪島がツルハシを引き抜くと、そこから水が噴き出した。




