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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 後編 都市国家群と祈りの道
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第90話 最悪の結末 中編

 ~戦闘開始数十分前


「では、作戦を通達する」


 整列している社畜隊40人に向けてルルーシュインが言い放つ。ちなみにウィルソンチャックの部隊は既に土鬼(ゴブリン)の見張りに行っている。


「先ず、敵の説明をしよう。敵は重装歩兵100人、軽装剣兵200人、軽装槍兵100人、軽装弓兵100人、それに各百人隊長と数名の十人隊長が幾人か混ざる部隊となっている。


 それに対して我々の戦力は社畜隊の戦闘員40人と少し、それから弓傭兵40人となっている。一応南門の上の大型弓(バリスタ)と、魔法部隊100人と魔法剣士部隊20人も居るが、指揮系統は別となっている」


 そうだ、敵は500人を越す兵力、こっちは100人に満たない兵力と120人ちょいの友軍で戦わなければならない。それだけではなく七百人隊長と5人の百人隊長も居る。兵数はまぁ良いとして彼等の相手をするのは正直厳しいだろう。


「だが、地の利は此方に有る。それは城壁と先程ウィルソンチャック隊が作ってくれた陣地、それから事前に戦闘の概要が分かっていると言う点だ」


 これは重要だろう。これを活かせるかどうかで勝敗が決まると言って良い。


「先ず、敵は城門前に誘い出される。そして、拡声魔導具(スピーカー)で喧伝されるクーデターの証拠に混乱するだろう。此処にきて士気の面で1つ上に立てる」


 そうだ。そう。士気は大切よね。


「そして、戦闘が始まると同時に南門上部から大型弓(バリスタ)が放たれ、同時に城壁上に並んだ魔法部隊の火玉弾(ファイアボール)が敵部隊に雨あられと降ってくる。弾数は1人辺り100発前後だそうだ。即座に魔法防御を貼られるだろうが、大型弓(バリスタ)の直撃に耐えられる防御魔法は咄嗟に掛けられる程軽くはない。大型弓(バリスタ)は装填に時間がかかるが、当たればほぼ確実に戦闘能力を奪える」


 火玉弾(ファイアボール)、ルルーシュインがキュアスパルタカスと盗賊達に使っているのを見たがかなりの威力だった。ノーガードで顔面に当たれば1発で戦意喪失戦闘不能の攻撃魔法だが、百人隊長や十人隊長の使う範囲防御魔法を使えば威力はかなり減衰するらしい。半端な魔法なら無視出来るレベルだが、1万発ともなれば流石に耐えられないだろう。


大型弓(バリスタ)の射線は、余裕があれば社畜隊の両端の辺りに合わせるように言ってある。大型弓(バリスタ)の照準を嫌って真ん中から来て貰えればウィルソンチャック達の作った罠にハマって此方が有利になるし、逆に見えている罠を嫌って敵軍が左右に別れてくれれば敵軍に大型弓(バリスタ)が当たりやすくなる。更に左右に大回りして来ようものなら戦闘時間が長引いて敵軍の損となる。何故なら敵の弱点は遠距離攻撃が殆んど無いと言う点だ。故に戦闘が長引けば長引くほど敵が遠距離攻撃に晒される時間が増えて此方が有利になる」


 敵唯一の遠距離攻撃手段……軽装弓兵が勝敗の鍵か。此方は弓傭兵達も居るし、魔法部隊もある。城壁の上には魔法部隊に大型弓(バリスタ)もあるから……敵にしたらかなり厄介だろうな。


「話を続けよう。恐らく敵の動きは3つ考えられる。1つ目は私達を寡兵だと侮り無視をして全軍の全力を持って南門を攻撃する作戦。2つ目は北門西門東門に軽装兵を向かわせて、重装兵のみ南門前で待機させる数の暴力を生かした作戦だ。何処かの門を破る迄重装兵が耐えられれば地の利を失った魔法兵は全滅するだろう。七百人隊長と重装兵の百人隊長が防御魔法に全力を注いで盾を構えた重装兵の防御は大型弓(バリスタ)でも耐えられる可能性があるからな」


 大型弓(バリスタ)ってちょっとした戦士の腕くらいある木の杭が地面に刺さる威力で飛んで来る。多分3cmくらいの鉄の盾だって余裕で貫通する。あれ当たって平気な人間と戦うとか考えたくもないな。


「3つ目は南門を攻撃する部隊と俺達を攻撃する部隊に別れて行動するパターンだ。俺達に取っては最も厄介だ。恐らく重装兵と弓兵で南門を攻撃しつつ、大型弓(バリスタ)の的を絞らせない為に剣盾兵200と長槍兵100を私達に差し向けるだろう。そうなれば私指揮下の80人と300人の戦いだ」


 まだかなりの不利だ。このままだと全滅すらありうる。


「勝てると思う者は手を挙げよ」


 シーンとする中で数名が手を挙げる。


「何故そう思う」


「ルルーシュインの兄貴が言うなら勝てるんだろうよ、俺は戦なんて知らんが兄貴の力はわかる」

「ボスの言う事を信じりゃええんですぜ、へへ」


 ルルーシュインは笑った。


「それもそうだ、だが具体的に何故勝てるかを教えよう。先ず、君達に問う。同じ力を持つ49人の兵士と51人の兵士が戦ったとしよう。どちらが勝つと思う? 答えは49人の兵士だ。それは数に勝る兵士は慢心と言う敵と余分に戦わなければならないからだ。寡兵はその点では強い。それから敵の士気は低い、祖国の逆賊として戦わされる上に勝って当たり前の私達(・・)との戦いなのだからな」


 ルルーシュインが兵士達に目線を向ける。


 盗賊、死刑囚、同性愛者、ひょろがり、ポルノダンサー、乞食、せむし、めくら、モヒカン肩パッド……。誰もがはみ出す個性に正規軍には到底なれない連中だ。よくもまぁ変な連中が集まったものだ。それをいっしょくたにして私達(・・)と言うと連帯感出るわな。


「私達には後がない。社畜隊(ここ)が私達の居場所で私達の存在意義だ。私達は私達を守るために命を賭して戦うのだ。これ以上に高い士気はない。命を賭する覚悟を見せてやれ、私が絶対の勝利をくれてやろう! 勝利は我が手に!」


「「「勝利は我が手に!」」」


 そして、戦闘が始まった。

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