第85話 誕生! キュアスパルタカス!
「ただいまー」
「オウッオウッオウッ!」
「アアアア……ン"ーーーッ!」
ガタガタガタぐっぐっぐッッッッーーー!
「帰ったぞー」
「……ふぅ……ッ、ハァ……親分……お帰りなさいッス」
「あ……お帰りなさいです……」
俺が魔法都市グルグルの宿屋へと帰ってきたら元2番手の盗賊と裸で拾ってきた男が裸でくんずほぐれつ……とまぁボカす必要もないか。……ホモセックスをしていた。間の悪い事に2人とも帰ってきた俺の顔を見ながらのフィニッシュだった。
「邪魔したみたいだな」
「俺っちは気にしませんゼ」
「僕も……気にしません」
こっちが気にするわ。早く服を着ろ。今は居ないが他の人も宿泊している大部屋で何をしているかと是非とも問い詰めたいが、まぁ犯罪行為でもないから良いか。
「で、何の用ですかい?」
「ああ、こないだの土鬼討伐で金が入ったろ? それと死刑囚も沢山加入したしな。ルルーシュインが元2番手の盗賊を百人隊長候補の十人隊長として鍛えてやるんだとよ。良かったな。今日は俺の奢りで装備も買ってやろう。百人隊長候補だから金貨50枚以内なら魔導具買っても良いぞ」
「うわっ……マジっスか親分」
「凄い……素敵……ん……ぷはっ……ん……」
話の途中でキスするの辞めてくれないかな? 一応上官のルルーシュインの装備代よりも高い金使うんだからな。分かってる?言うて金貨50枚って家が建つかんね?
「あと、近々元2番手の盗賊にも部下が出来る予定だ。編成は全てルルーシュインに任せてあるから、希望があれば直接アイツに相談してくれ」
「じゃあ恋人部隊を作らないとな! うはは!」
「もう……浮気はダメよ……」
「ほう。恋人部隊か。確か前世知識では都市国家郡で同性愛部隊が強いとか言う話があったな……おい、そういや元2番手の盗賊の名前は何て言うんだ?」
「俺っちは盗賊の間ではプリキアって呼ばれてやした」
「プリキア? 随分と乙女チックな名前だな。……よぉし! お前は今日からキュアスパルタカスだ!」
「キュア……スパルタカス?」
「そうだ! キュアスパルタカスだ!」
「おい……ルルーシュイン十人隊長みたいに俺にも名前が……!」
「すごいやダーリン……! いや、キュアスパルタカス……んんっ」
突如として始まる……頭上の兜を激しくぶつけ合う愛の接吻。兜の先からは歓喜の汁が迸っている。
完全に俺の事見えてねーな。
「ともあれ、早く終わらせてくれよ。終わったら買い物だ」
「待っててくれ親分!」
「んっ……んっ……」
◇ ◇ ◇ ◇
まぁ、男の身支度なんてそんなもんだ。直ぐ様賢者となった男達は布で体液を拭き取るだけでササッと準備を終えた。しかし、野外が恐ろしく臭いので別に気にもならない。
散歩がてら買ったキュアスパルタカスの新しい武器は、頑丈な黒鋼の幅広中型剣。その二刀流となった。一応コレでも魔導具で柄の中に筋力増強と自動修復の魔術回路が刻んである。キュアスパルタカスの談によれば短剣並みとは言わないが、いずれ鍛えればそれほどの速度を出せる程使いやすいと言う事だった。一応魔導具としてのカタログスペックは全身の筋力+5%アップ。2本だからその倍か。
紐を振り回すような音を出しつつヒュンヒュンと両手で素振りをするキュアスパルタカスはかなり頼もしく見える。防具は革のパンツに赤い天鵞絨のマント。布の脛当ての中には薄い銅製の脛当てを忍び込ませた。無論それは魔導具で、防御魔法と自動修復の魔術回路が仕込まれている。発動すると空気の盾が両脛から吹き上がるらしい。威力は然程高くはなく、サーキュレーターの“強”位だろうか、多少の矢避け程度にしかならないらしいが、他の魔法と併用すると防御力はそれなりに高まりそうだ。
フル装備のキュアスパルタカスと対峙すると、それなりの威圧感があった。矢避けと筋力増強の魔導具を起動させて剣を振って貰うと、2m離れていても強い威圧感を感じる。
でもそうでなければ困る。その振り回してる剣1本金貨18枚だかんね?
その日、彼の元に配属された7人はものの見事にまさにそれ。彼は隊長と言う権限を持つハーレムを手に入れたのだ!
◇ ◇ ◇ ◇
「元2番手の盗賊……キュアスパルタカスの様子はどうだ?」
ルルーシュインが柱の影から話し掛けてくる。
「大分乗り気みたいだぞ。これで十人隊長がルルーシュインとキュアスパルタカスで2人。兵士が20人で何とか戦力が揃って来たな」
俺は柱に一歩近寄ってから答えた。
「まだ足りない。相手は損耗したと言っても七百人隊長率いる軍勢だ。七百人隊長とその配下の百人隊長のうち4人は少なくともあの廃棄鉱山に入っていったから敵だろう。この5人だけでも現有戦力では勝てない。更にその配下の十人隊長迄出てきたらこっちが潰される」
「だが、そろそろ敵も長居する俺達に不審に思う頃だろう。どうするルルーシュイン」
「わからん。だが、こうしている間にも土鬼達は数を増やしているだろう。急ぎつつ戦力を整えねば」
俺達の作戦としては、土鬼女王の巣を探し出し、今はただ疑念でしかないクーデターの証拠を集め、あのやたらフランクな王様に密告。金をせびって周辺国から傭兵を雇って七百人隊長他百人隊長をボコボコにする予定だ。
だが、どう考えてもその図柄は侵略者のそれだ。仮にクーデターを防げたとしても甚大な被害が予想出来るし、魔法都市グルグルは周辺国に多大な借りを作るだろう。
そして、何よりも現状の案では成功する確率が低い。七百人隊長の戦闘中に土鬼達が乱入してきたら国家存亡の危機になるし、結局土鬼女王は見逃さざるを得ない状況に追い込まれる……。
結局俺達はお互いに出来る事をするしかないという事になった。つまり、ルルーシュインは部隊の訓練。俺とパットミちゃんと両手の無い男はスカウトと情報収集。連続快楽殺人犯はここに滞在中は生かしておくと言う事になった。




