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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 後編 都市国家群と祈りの道
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第81話 物色! 連続殺人犯!

 俺は両手の無い男とパットミちゃんと一緒に魔法都市グルグルの刑務所に来ていた。目的は受刑者の物色だ。男色じゃないぞ。


 ちなみにルルーシュインは元盗賊の兵達を連れて先日の土鬼(ゴブリン)女王(クイーン)の居たと言う鉱山跡に掃除(・・)をしに行った。元盗賊達の魔法訓練を兼ねて小銭稼ぎをするそうだ。他にも気になる事があるとかなんとか……。まぁ、ともかく無理矢理引っ張られていった憐れな元盗賊達は昨夜遅くまで文字の勉強をさせられており、隣光(ダンジョンライト)と言う小魔法を強制的に覚えさせられていた。


 隣光(ダンジョンライト)とは術者の周囲の壁面が薄ぼんやりと光る魔法で、同じく小魔法の浮遊蝋燭(トーチライト)と共に灯りを齎す魔法として多くの人が覚えている。一応夜間の戦闘もありうるので、兵士として覚えていて損はないらしい。兵士教育は既に始まっているらしい。


 その他の元囚人兵と元裸でさ迷っていた剣盾兵は朝から大量の飯を食いつつ外を走り回っている。囚人組は未だに痩せ細っているし、元裸でさ迷っていた組は元々もやしみたいな身体しかしていない。まずは身体を作っているのだろう。野球部の1年生を彷彿とさせる眺めだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 ――――2時間前。質素な謁見の間にて――


「なぬ? 囚人を寄越せとな?」

「そう、何人か使えそうな囚人を貰いたい」


 俺は囚人兵を増やすべく、魔法都市グルグルの頼りない王様に直談判にやって来た。グルグル国王は相変わらず着古した白衣の上に暑苦しいガウンを纏って玉時に座っていた。


「しかし、我々の国では奴隷売買はしておらぬし、囚人はこちらでも人体実kんん!……色々な用途で使うしなぁ。ほら、天使関連の発注が入ってるし……」


 今人体実験って言ったぞコイツ。


「それなら更に都合が良いな。こっちは囚人を解放して戦力増強すると同時に帝国の発注品(天使対策の道具)の開発を遅らせる嫌がらせにもなるんだからな」


「もー、勘弁してくだせいよー」


 玉座の上で膝を抱えて左右に揺れているグルグル国王は、言葉とは裏腹に少し嬉しそうだ。先日気弱に見えたのは土鬼(ゴブリン)の襲撃と帝国皇太子(ロサーリオ)の来訪もあって弱っていたのだと感じた。実は結構気さくなタイプなのかも知れない。


 もしかしたら条約によって中立である事を縛られつつも帝国に対しては悪感情を持っているのかも知れない。


「へっへっへー、さて値段交渉しようじゃないか」


 俺は悪い笑顔でそれに返した。


「あー、タダで良いよー。治安部隊がまだ完璧に戻ってなくて、治安が回復しないからその場で放免とかされたら困るけど、そうしなければ別に良いよ」


 軽ッ! 同級生だか親戚の店でコーラ買った時のノリでタダ宣言されちゃったよ。


 ……よっぽど帝国嫌いなんだろうな。


「じゃあ貰うもん貰っていくぞ」


「はーい、またねー」


 やたらフランクになっているグルグル国王は片手を上げてスタスタと謁見室と言うか玉座の間を出ていった。あいつ普段は何してるんだ?


 ◇ ◇ ◇ ◇


……と言う訳で俺は囚人達を見繕っている訳だ。まぁ見繕うと言いつつ全員連れていくつもりではあるんだがな。


「こいつは?」


「盗賊っすね。街の近くに潜んでました」


おっ、戦闘能力ガチャで(レア)相当やね。


「あなたの改心を祈ります」


俺は膝を突いて祈る。


「こいつは?」


「連続快楽殺人犯ですね。改心の見込みはないですよ」


「あなたの改心を祈ります」


俺は胸に一株の不安を抱えつつ膝を突いて祈る。


 ――俺は死刑囚の収監されているグルグル刑務所にて、森林国家アイヌの刑務所でやったように囚人1人1人の話を聞きつつ、1人1人に祈りを捧げた。是非とも改心して欲しいものだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「以上12人ですけれども、どうしますか? 正直連続快楽殺人犯は出したくないんですが……」


「うーん。言いたい事はわかるよ。だけどそれは後回しだな。取り敢えず、ここの食事はどんな物がどれだけ出てるか?」


「1日にパンか果実かを1つと水をコップ2杯かな」


 ……森林国家アイヌに比べて大分マシだな。


「では金貨1枚と大きい銀貨4枚渡しておくので、豪華な飯を1日3食くれてやってくれ」


「良いんですかい?」


「勿論。そして、俺が面接して、良いと言った奴からゆっくりと出していく。……多分連続快楽殺人犯は最後だな。どうしても駄目なら殺すことになるかも知れんが、そうはさせないつもりだ」


「はぁ」


 看守の顔は思考停止している様にも見えるが、深読みしたらば俺をアホかなんかと思ってる顔だな。


 ◇ ◇ ◇ ◇


――翌日。


「なぁ、電車ごっこは好きか?」


「はぁ?」


「ああ、電車が無かったな。失敬失敬……」


 俺は死刑囚をゆっくりとカウンセリングしながら、大丈夫そうな奴から娑婆に出していった。出るのは昼間の間だけ、しかもうちの兵士達と紐で繋いで電車ごっこと言う名のマラソン大会をして貰う事にしている。


 先ず、彼等には食事の面で心配要らない事を保証しつつ、運動する事と、日光に当たる事によって、ポジティブシンキングな意識を植え付ける事から始めた。そして、空いた時間はパットミちゃんと世間話をして貰い、荒れ果てた心を癒して貰う事にした。


 不思議な事に、パットミちゃんはポリエステルが居なくなっても幼児退行していく様子はなく、これでもかと言うくらい大人の女性的な雰囲気を纏っている。


 パットミちゃんは元々大人だらけの武器屋に職場体験に行っていたし、そこの大人の人達と沢山お話をしてきている経験が彼女を大人っぽくしていると言う事もあるのだろう。そして、元々うちの軍にいた兵士達の信頼も厚い。可愛らしくもしっかりしていてサバサバしてる所が人を惹き付けるらしい。要は聞き上手なのだ。彼女の前ではついつい身の上を話してしまう。


 そして、次の段階として、死刑囚達が自身の犯した罪を真剣に悔いているようすが確認されるならば、髪の毛を刈り上げて新しく生まれ変わったと言う(てい)で解放する事にした。無論、他の兵士と同じく金貨4枚を渡して、兵士として1年契約を結ぶ奴のみを釈放して俺預かりの身分とした。


 となると、当然牢屋に残る奴が出てくる。自身の罪を認めない奴や、例の快楽殺人犯とかがそれに当たる。俺としてもいつまでも魔法都市グルグルに留まる訳にはいかんので、皆で話し合う事とした。


 その結果、皆の意見では連続快楽殺人犯は殺した方が良いと言う事に纏まった。それに対して俺の譲歩案は「最後に少し話をしてみる」だった。




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