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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 中編 死の商人と赤い紐の謎
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第53話 4人だけの卒園式

「俺は何をして居たんだ……?」


 ここ数日の記憶がハッキリとしない。ただ、悩んでいたのは覚えているんだが……。


 ただ、俺が社畜隊に巻き込んだせいで傷付けてしまった人が居る……。と言う事は覚えていた。チロリ=ツンパカブリエルちゃんやパットミ=ポリエステルちゃんもそうだが、特にゲロゲロ=ソフィエルちゃんが軍として活動する事に動転していた……気がする。


 先ずはこれを謝ってからだ。


 俺はお遊戯室へと入る。


 日曜日ではあったが、朝食前の園児達が集まっていた。そこにはチロリ=ツンパカブリエルちゃんとゲロゲロ=ソフィエルちゃんとパットミ=ポリエステルちゃんの姿もあった。


 俺は意を決して前へと進む。


「すまなかった……その、こないだの件は……」


何の事(・・・)?」


 何か俺がしでかした事が複数あるかの様な返しをされた。


 俺の記憶が斑になっているのと何か関係があるのか……?


「俺が先週からやり始めている事は、人を殺すための、いや、それ以上に悪い……他人に人を殺させる手伝いを強いる事だ。それを何の相談もなく始めて悪かった。今ならお前達はナニモしていない。だから、その社畜隊の腕章を……「返す訳ないでしょう!」」


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんが俺の言葉を遮って否定した。


「……は?」


「悩んでるのはアンタだけじゃないし、決断を下したのもアンタだけじゃないって訳。此所にいる全員がアンタの共犯者って訳。1人だけ加害者ぶって今更私達を放り捨てようっての? 冗談じゃないわ」


「チロリ=ツンパ……「それも辞めて!」」


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんはフーッフーッと猫の様に肩で息をして居る。


「今日から私はチロリ=ツンパカブリエル何かじゃない。社畜隊のチロリよ。天使なんかじゃない!私は、自分の意思で此所に居るの! これは誰だって覆せないわ!」


「私もゲロゲロって呼んで」


 それはちょっと


「パットミだ、宜しくな」


 それもどうかな。


「そう言う事。私達3人は今日ここを退園するけど、コーディ山田さんはどうするの?」


 えらい急展開だな……。何も辞めなくても活動くらい出来るだろうに……。


 だが、3人は決意の眼差しで此方を見ていた。


 ……。


 真剣……みたいだな。


 微笑みを浮かべたチロリちゃん、ゲロゲロちゃん、パットミちゃんが手を差し伸べる。


 答えは勿論……。


仕方ねぇな(・・・・・)。今日から俺はコーディ(・・・・)だ」


「山田が天使成分だったの!?」

「そこなの!?」

「こーでー」


「俺も退園する。今日からはただの“社畜隊の隊長”で“なんでも揃う玩具屋さんの会長”だ。宜しくな」


 俺は両手で差し伸べられた手を握る……と、ガシ! と握った右手を切り返されて掴まれた。訳がわからず3人の顔を見るべく目線を上げたら……。


 どごどごどごぉ!


 3本の左手で思いっきり殴られた。


 シェイクハンドデスリンチと言う技だ。


「私達から社畜隊の腕章を取り上げるってのはそう言う事だったんだよ、反省しな」

「グローリアちゃんを独り占めしようとした罰だからね……!」

「ぶっちゃけ私はノリで殴りました」


「さておき、クロスアーミー先生かハイパワー・ナグルス先生に言わなくっちゃね!」


「その必要はねえぜ、話は聞いてた」


 お遊戯室のドアから革手袋が出て来てギリと音を立てた。


「俺の権限でお前達を退園にしてやる。だが、預言者降臨の儀式だけは協力して貰うぞ」


 壁の向こうから睨まれた気がした。


 だが、ここは強く言わねばいけない気がする。


「勿論だ。ロンドヴルームには帝国に勝って貰わないと困るからな」


 俺は強く言い放つ。


「……そうか、なら良い」


「お世話になりました。クロスアーミー先生……」


「……お前に手紙と荷物が来ていた。それを受け取って出ていけ」


「……ありがとうございました!」


 俺は最後まで扉の影から出て来なかったクロスアーミー先生の脇をすり抜けて部屋に向かい、荷物をまとめて園庭へと向かった。園庭にはケンデリカットの使っていたリヤカーが置いてあって、既に3人の荷物がドンブラこっこ置いてあった。


 俺は予めそう決められていたかのように急な退園劇に違和感を覚えつつも、3人の真剣な瞳に決意して退園する事を決意した。


 暫く世話になった園の建物を見渡す……。


「結局、幾つかの謎は残ったな」


「そうね」


 答えるチロリちゃんは洋画に出てくる女優の様だった。


 気持ちは1年くらいお世話になった気もするが、まだまだ半年も経ってないんだよな……。


 ……数十年後、何となく数十年後にこの謎が全部溶ける。そんな予感を胸に俺は幼育園を出た。横には、チロリちゃんとゲロゲロちゃん、それからパットミちゃんが並んでいた。


 リヤカー重い……。ぐぅ。



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