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第 折り返し地点 話 発足式

 

 西の森の中を20km程進んだ場所にある建設中の砦。園児にはキツい道程ながら、途中合流した支隊の方々に担いで貰って何とか辿り着いた。


 リヤカーを引いて朝から長い距離を往復しているケンデリカット達には銅貨8枚程(800G)の手当てを出す。


 社畜隊は気前が良いのだ。


  ◇ ◇ ◇ ◇


 高枝の先が朝露を弾く。


 そして水玉が地中に落ちる前に俺達の姿を映す。


 真新しい制服に身を包んだ総勢20人程の人間。胡散臭くも凛として半壊の砦前広場に立ち並ぶ。


 特に支隊の方々は真新しい革鎧と装備を身に纏っており、11名とはいえ中々壮観な様子だ。


「では、任命式を始める! ロンドヴルーム軍第1支隊十人隊長ウィルソンチャック!」


「はい!」


「汝、以下(中略)の雇用契約を結ぶ事を誓うか!」


「はい!以下(中略)の雇用契約を結ぶ事を誓います!」


 この雇用契約と言うのがミソだ。この軍の雇用契約は1年更新の契約になっていて、しかも対人戦闘を拒否する事が可能なのだ。


 簡単に言えば出稼ぎの感覚で子供の軍隊ごっこに付き合うだけで金貨が貰える……と言う少し美味しい契約になっている。だが、来年には人数は10倍にしている事だろうから逃げられなくなっている事だろう。


「では、本日より正式にロンドヴルーム軍の支軍十人隊長として任命する」


 パチパチパチパチ……!


 俺はウィルソンチャックの腕に社畜隊の腕章を着けて、詰襟に階級章を付ける。


「次、チロリ=ツンパカブリエル(ちゃん)


「はいっ」


「正式に社畜隊副隊長として任命する」


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんに腕章を付けて、白い貫頭衣の襟元に金の副隊長章を付ける。


「次、ゲロゲロ=ソフィエル(ちゃん)


「はいっ」


「正式に社畜隊副隊長として任命する」


 同じくゲロゲロ=ソフィエルちゃんに腕章を付けて、白い貫頭衣の襟元に金の副隊長章を付ける。


「これにて任命式を終了する」


 パチパチパチパチ……。


「次は発足式! パットミ=ポリエステル(ちゃん)


「はーい」


「『なんでも揃う玩具屋さん商会』の副会長に任命する」


「どーも」


「次ッ!ケンデリカット・ユタ! デブスペクトル・ユタ!」


「はい」


「社員に登用する。職務に忠実に働くように」


「はい」


 俺は視線を参加者全員に向ける。


「分かっていると思うが、この支軍と商会は互いに協力関係にある。支軍は鉄の発掘及び街までの運送を訓練(・・)として行い、発掘のための材料集め(・・・・)として西の森の治安維持を行う。


 商会は主に鉄の販売や加工をして、資金と武器を溜め込めるだけ溜め込む。それから、他国(・・)の現状を把握し、困っている(・・・・・)住人(・・)に、薬や武器等を密輸して貰う!場合によっては採算度外視で扱って貰う商品もあるだろう。何者かに襲われる可能性もあるだろう、命の危険もある仕事だ、だがキチンとこなした際にはそれなりの(・・・・・)報酬が待っている。頑張る様に、以上!」


 パチパチ……パチパチ……パチ


「割りと過激」


 パットミちゃんは関心なさ気に呟いた。


「お母さん、就職先間違えたかも……」

「ママ、ユタに帰りたい……」


 ユタ兄弟は萎縮しているようにも見える。


「結構……良いアイディアじゃないかしら?」

「泥沼ですね……」


 副隊長2人もモジモジしている。


 だが、やるしかない。


 要は魔物を生産して破壊して鉄を生産して武器を作り、薬屋のお婆さんを懐柔して薬を大量生産して軍需物資として帝国に占領されている国家の不満の有りそうな人に安値で売り捌く。


 そうするとあら不思議、帝国属国の安定的な統治がいつまで経ってもやって来ないと言う事だ。


 その為にユタ兄弟には薬売りを装って占領下の国を回って貰い、贔屓のお客様(テロリスト)達を探して貰う。


 そこで大掛かりな計画があれば溜め込んだ武器を放出してサポートする。


 その偽装の為に何割かの鉄は販売して貰うし、一応薬売りは真面目に商売としてやって貰う。他の都市は清潔性皆無らしいので、絶対に消毒薬や軟膏が売れる筈だ。


 この辺は厳しくやって、旅費くらいは稼いで貰わなければ商人として問題があるんじゃないかい? 君ィ?


「何か悪寒が……」

「ケンデリカット、私もだ……」


 何か、やっちゃいけない事をしている気もする。


 けど、もう戻れないよね? 戻らなくても良いよね?


 俺は息を飲んで指示を出す。


「以上をもって本日の式典を終了する。実務者の数人を残して後は解散!チロリ=ツンパカブリエルちゃんとゲロゲロ=ソフィエルちゃんは軍から護衛を付けて園児(制服組)を園まで引率!護衛は西の森迄見送ったら直ちに帰還せよ」


「はっ!」


 数名の兵士が園児のエスコートを始める。


ボソボソボソ(グローリアと)ボソボソボソ(手を繋ぎたい)……」

ボソボソボソ(ねぇ……チロリちゃん)ボソ(軍って)ボソボソボ(本当にやるの)?」

「それがグローリアの為なら……!」

「チロリちゃん!」


 ……聞こえてるよ。全部……。



 ……俺、本当にこれで良かったのか……?


 無意識にグローリアを閉じ込めた心の扉を開ける勇気がない。


 心臓が痛い。


 苦しい。


 誰か助けて……。


 ふと視界に赤い何かが迸った。


「何だ……ふふ、大した事はない。4歳児(グローリア)の思考に引っ張られただけか。俺ならやれる……ふふ……」




 商会長:コーディ山田/グローリア

 副会長:パットミ=ポリエステル

 社員:ケンデリカット・ユタ(行商密売人)

 社員:デブスペクトル・ユタ(行商密売人)

 商会名:なんでも揃う玩具屋さん

 資本金:金貨610枚(61,000,000G)

 扱う商品:鉄塊・武器・薬品の密輸密売


 社畜隊

 隊長:コーディ山田/グローリア

 副隊長:チロリ=ツンパカブリエル

 副隊長:ゲロゲロ=ソフィエル

 支隊長:ウィルソンチャック

 以下隊員10名



◇以下後書き


折角のハレの場ですが、ちょっとだけ胸糞展開させます。先の展開のために少しトーンを落としました。50話でモヤモヤは解決しますので、胸糞!と読むのを辞めないで欲しいッス。

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