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第43話 新たなる旅路

「……師匠?」


 その日は師匠との“別れ”を聞いた一日だった。


 俺とゲロゲロ=ソフィエルちゃんは何の心構えをせずに、YOROZU修理店へ辿り着いた。そして、店のドアを開ける。すると、涙ながらに日曜日に師匠が居た辺りをモップで掃除する“師匠の奥さん”に遭遇した。


 “師匠の奥さん”は此処に師匠が居ない事を告げ、涙を流してその場で床に突っ伏した。


 空が雲を介さない雨を降らせた。


 サァアアアアアア……。


 師匠の家は屋根が薄く、天が泣くのを音で聞く事が出来た。


 先ず、日曜日に俺が最後に見た師匠は壺に顔を突っ込んだままの状態で、そこで別れたのだ。奥さんの話ではそのままの姿で……。







 奥さんに見つかったらしい。


 聖別幼育園の職場体験なんて宗教的に名誉な事を賜っといて、酔っ払って録に体験させる事もなく1人で西の森に放り出すとは何事かと、盛大に叱りつけたらしい。俺もどうかとは思っていたが、まぁ世間一般の人も良識があったと言う所か。


「奥さん、実は貴方の旦那様にこんな武器を持たせられたのですが……」


 そう言ってあの「錆斬」を出せたらどれだけ面白い事になるか、試したい所だがチロリ=ツンパカブリエルちゃんに貸し出し中と言う所と、腐っても弟子なので口は閉じる事にした。貝になりたい。俺は貝。


 さて、師匠だが……簡単に言うと左遷されたらしい。2カ月ほど戻ってこないそうだ。ほわい? 何処へ? 俺の職場体験どうなるの? 毎週めっちゃ楽しみだったんですけど。


 奥さんは泣きながら土下座でここまでの顛末を語った。そして日本人も真っ青な謝罪を行った。


 俺は何とか奥さんを宥めて、椅子に座らせると、その椅子の脚が取れてスッ転んだ。パンツは紫のドロワーズ。巨乳がボロリ。


 どつやら椅子の脚は師匠の頭と相殺したらしい。


 一通りのコントを終えて話を聞くと、この街の住人の殆んどが敬虔な信徒らしく、俺達の事を大切に思っているらしい。故に、職場体験は結構なステータスらしく、適当にやる事は許されないとの事だった。


「故に今週からの職場体験は私が致します。ふふふ……楽しみね、坊や」


 背筋にぞくりとした何かが走る。あかん。貞操奪われそう。何か危険なにおいがする……。


 ゲロゲロ=ソフィエルちゃんの方を見ると目が魚の形をしている。めっちゃ泳いでるよ!


「身構えなくても大丈夫、お姉さんが全部教えてあ・げ・る!」


 “師匠の奥さん”がセクシーなポーズを決めてそう言い放つと、足で師匠の道具箱を引っ掛けてゴロゴロと師匠の仕事道具が……じゃなかった。大量の『錆斬』の兄妹達が飛び出した。


「あらあら、こんな所に隠してあったのね……ふふふ」


 照れ隠しをしながら、“師匠の奥さん”は前屈みで錆斬の兄弟達を拾い集める。その揺れる胸元を見てゲロゲロ=ソフィエルちゃんは「負けた……!」と言った顔をしている。いや、何度でも言うが四歳児だから、君。


 かくいう俺も四歳児なのでこんな修羅場を回避する手段を持ち合わせていなかった。某掲示板では窓を突き破って逃げたとかあるけど、それ絶対嘘だからね? 窓に届かないし……。


「あー、すいません。土曜日用事があったの忘れてまして、日曜日からでいいですか?」


「いいわよ、そっちの方が危険日に近いし……」


 俺は、これ以上は不味いと判断して日曜日の事を考えないようにし、その場で師匠に手紙を書いて“師匠の奥さん”に手渡した。


 手紙の内容はこうだ。「師匠の技術を同輩に伝えても良いか? 魔物の作成を利用した鉄産業を起こしても良いか? そして、早く戻ってきて欲しい」切にそう記した。


 真面目な話、この辺の許可が取れるのであれば、後は一気にやりかけの仕事を前進させられる。


 俺とゲロゲロ=ソフィエルちゃんは辞してYOROZU修理店を後にした。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺とゲロゲロ=ソフィエルちゃんはその後もパタパタと街を走り回って必要な買い物に行った。或る物は注文で或る物は買い上げのてんやわんやではあったが、まぁまぁ楽しかった。何か文化祭の準備と言うには若すぎるか……保育園バザーの準備……町内会の祭りの屋台準備ぐらいなものか。ともかく、楽しく買い物が出来た気がする。


 ごめんね、金貨さん。また会う日まで


 ◇ ◇ ◇ ◇


 ◇ ◇ ◇ ◇


 それから数日後の金曜日に手紙が届いた。師匠からだった。


 その内容は先日の非を詫びる所から始まり、馬車で1日の距離にあるこの国の国境の街で奥さんの実家の手伝いをさせられていると言う近況、それから肝心な手紙の内容として、技術の流出を起こさない程度に身内に伝える程度なら許可するとあった。


 これで、ある程度の歯車が揃った。


 俺は急ぎケンデリカット達兄弟に手紙を出して、例の仕事を手伝って貰うように伝えた。すると、わざわざ聖別幼育園に来てくれたケンデリカット達と今後の予定を話し合い、事業を手伝って貰う事が決定した。


 詳細は明日にでもと言う事で解散となった。明日は忙しい1日になりそうだ……!



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