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第42話 商人とお婆ちゃん

 ケンデリカット達との話は2時間にも及んだ。


 今欠乏している鉱物資源は「鉄・銀」らしい。どこもかしこもモロに戦争の準備の影響を受けていて、日常の物資が足りないとの事だった。そこで、1つの提案を出してみた。


「仮に今此処に100kgの混ざりものの殆んど無い鉄塊があったら……?」


「高く売れます」


「幾らぐらいに……?」


「今は鉄の相場が10kg銀貨1枚(10,000G)程に上がってるので、金貨1枚《100,000G》程度ですかね? 純度が高ければもっと激しい色が付くと思いますが……。前は2kg程の鉄のショートソードが2,500Gでしたが今や5,000Gと倍値ですからね」


「西の森で鉄を取って売ったら儲かるかな?」


「森の中に露天鉱床があると聞きましたが、遠いとも聞いています。運ぶ人足の手配を考えたら赤字じゃないでしょうか? そんなに良い鉄鉱石でもないとも聞きますし……。仮に(・・)年中暇をしていて、筋肉を鍛えるために西の森の奥地と職人街を往復する集団が居て、西の森の奥地で大量の鉄の塊が取れる拠点があるなら可能ですが、そうでもないと難しいと思います」


「そうか、なら是非ともはじめようか」


「話聞いてました?」

「話聞いてました」


「…………」

「…………」


「では、年中暇をしていて、筋肉を鍛えるために西の森の奥地と職人街を往復する集団が居て、西の森の奥地で大量の鉄の塊が取れる拠点があるのですね?」


 ケンデリカットは先程と一文一句変わらぬ言い返しをする。


「居るぞ、しかもその内の1人はハゲだ!」


「ハゲであるかどうかはどうでも良いんですよ、問題はそれが事実かどうかです」


「まぁ、どっちも事実だ。ついでに森の中で作った薬も捌きたいんだが、この傷薬とか軟膏とか丸薬は捌けるか?」


「ふむ、これは水包(スライム)の粘液を使った傷薬でこれが樹液の軟膏で胃薬になる丸薬ですか……傷薬が50G軟膏が40G丸薬が80Gって所ですね」


「おっ、さすが商人。詳しいんですね。そして丸薬が意外に高い」


「まぁ胃薬は……使う人は定期的に使いますからね。需要の問題です。それにこの辺で怪我する事は殆んど無いので薬屋は跡取りの居ないお婆ちゃん1人でやってますからね。商品の衝突は殆んど無いと思います」


「むっ! それならそのお婆ちゃんの店を乗っ取……視察しよう!」


「良いですけど、大した事無いですよ?」


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺達4人は商人らしくササッと行動して薬屋の前に来た。


「確かにこれは……大した事無いな」


 まさに民家。3m程の高さの木造古民家に『聖別幼育園』と同じ木の板に墨書で『薬屋』と書いてあった。歓迎する気があまり無い普通の土間の玄関しかなく、店と言われれば入口を探すレベルなのだが、何処か安心感があった。


 お婆ちゃんのお家だこれ。


 ふと、ガラッと玄関の引き戸が開いてお婆ちゃんが出てくる。


「何じゃ?」


「あの、俺達は聖別幼育園の~」


「あ"? 俺ェ? 言葉遣いがなっちょらんの」


 グローリアちゃん、パス!


「おばーちゃん! ここくすりうってるの?」


「おやおやぁ、そうだよー、ここは薬屋さんだよ~、何が欲しいのかな~お嬢ちゃん(・・・・・)?」


「商品を見せて貰っても宜しいですか?」


 おっ! ケンデリカットからの援護! これで話が進むぜー!


「ええよ、お入り」


 店内と言うか民家の中には1m程の高さの真四角に仕切られた格子状の棚が所狭しと並んでおり、見た感じは公民館に設置されたミニ図書室と言った感じだが、中には髑髏や瓶詰めのアレ、謎の文字で書かれたメモの貼られた木箱と言った怪しい物が丁寧に納められていた。


 薬師かな? ここ本当に薬屋かな? 黒魔術とか錬金術とかやってない? 大丈夫? グローリアちゃん助けてー!

(わたしもわからないよー!)


 グローリアを誘導させて話を聞いてみると、別に錬金術や黒魔術といった変わった事はしていないらしい。そして、仕事は殆んど無く薬屋と言う程でもないらしい。


 ここロンドヴルームには療養院と呼ばれる場所があるのだが、時々そこに頼まれて薬を卸している他に、近所の子供達の怪我の消毒をしている程度なのだと。薬と言っても清潔な都市では殆んど売れないんだとか……。


 しかし、婆ちゃんの知識は凄まじく、数百種類の漢方みたいな謎の物質の組み合わせから様々な病気に効く薬を作る事が出来るらしい。


 お婆ちゃん自体に困った事は特にはなく、やたらと魚が好きだと言うしょうもない情報も貰った。ゲロゲロ=ソフィエルちゃんも魚屋に職場体験に行っているので話が弾んだ。


 西の森での薬量産はビジネスチャンスにはならなかったが、何となく良い情報を得た気がする。


◇ ◇ ◇ ◇


「ところでその髑髏何に使うんですか?」


 ……。


 その髑髏はお爺さんの遺骨だそうで、何処に仕舞っても見えるところに出てくるらしい。なにそれ怖い。


 得体の知れない恐怖に心を奪われつつ、商売の相談をするために、ケンデリカット達と別れてゲロゲロ=ソフィエルちゃんと師匠の元へ向かった。


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