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第40話 ポッケナイナイを探せ!

 

 実行部隊が出来てから休日を挟んで2日が経って、水曜日の朝がやって来た。


「えー、チロリ=ツンパカブリエルちゃん、ゲロゲロ=ソフィエルちゃん。昨日の調べものはしてくれたかな?」


「ええ、八百屋さんで調べてきたわよ。何て言うか大人って適当なのね」

「調べてきました、コーディさん。魚屋さんは生鮮食品を扱うので、困っているようでした」


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺は昨日、軍事費用を集める為に金策を始めようと提案したのだが、そもそもの軍事費用はどのようにして集まっているのかと聞かれて立ち止まった。


 確かに、それはかなり重要な意見だった。『設定集』情報では“喜捨に頼っている”と書いてあったのだ。宗教国家とは言え、国家の財政が寄付にのみ依存している状況は相当ヤバいのではないかと思い立ってそこから調べる事にした。


 結果は、誰がどう見てもザルな財政状況だった。まずこのロンドヴルームには、俺が生まれた村の様な“属領”と呼ばれる村村から喜捨と称して麦や米等の保存の効く主食類が運び込まれる。


 これは完全に自由裁量で運ばれる。自由裁量とは多い時もあれば少ないときもあると言ういい加減な状態だ。


 そりゃ俺のいた村の食料事情は此処より良い訳だ。


 その主食類は神殿の倉庫に納められ、各家々に振る舞われる。


 もう一度言う。振る舞われる(・・・・・・)


 こうしてこの街に住む住人は生活保護宜しく最低限の主食を得る事になる。


 そして、主食の次は副食なのだが、魚等の生鮮食品と乾物、それから葉野菜何かも近くの“属領”から日々少しづつ運び込まれる。これはそのままゲロゲロ=ソフィエルちゃんの職場体験先等の八百屋やチロリ=ツンパカブリエルちゃんの職場体験先の魚屋に適当に割り当てられて運び込まれる。……無料で。


 もう一度言う。無料で(・・・)


 では、八百屋や魚屋は大量の現金を溜め込む事になるのでは?


 答えはイエス。もう一度言う。


 八百屋や魚屋は大量の現金を溜め込む事が可能なのだ。


 但し、喜捨をしなければ野菜の割り当てがあまり売れなさそうな物にされる位の嫌がらせはされるらしいので、そこは適当に喜捨をするらしい。


 なんとガバガバ。


 年始に昨年の喜捨を発表するのだが、その喜捨が年間5億G~10億G程になるらしいとの情報も得た。その費用の殆どは神殿の中に消えていっているらしいが、何に使っているかは不明だそうだ。


 これは臭い。


 絶対にポッケナイナイが居る。


 この埋蔵金が見付かれば相当な戦費になる。


 そして、ガバガバな財政をキッチリ回せるならば収入増は十分に見込める。ってか、何故これに気付かなかったか。先ず子供1人に金貨100枚出すザル勘定をするケツワレール先生を見て気付くべきだったか。


「で、次は何すれば良いのー?」

「何をしますか?コーディさん」


「このガバガバな財政を正す!」


「で、次は何すれば良いのー?」

「何をしますか?コーディさん」


「うーん。具体的にはどうするか。どうしたら良いんだろ? 意見書とか提案書出しても素直に百億G溜め込んでますとか言わないだろうし……」


「困ってるみてぇだな」


 背後から革手袋をギチギチと鳴らす音が聞こえた。


「あ、クロスアーミー先生。今神殿にお金が溜め込まれてないかと考えていたのですが……」


「ああ、あるぞ。神殿の修理費用とか言う塩漬けになってる金塊とか、10億はあると言ってたな。他にも色々有った気がするな」


「有るんだ!? それ戦費に使えません!?」


「使いたいが、それには議会を通す必要があるな。貯金大好きな大神官がそれを許すと思うか?」


 ああ、そうか。クロスアーミー先生は俺がこの問題に取り組むかなり前から急進派として会議で戦っているんだったか。そりゃ、この金に目を付けない訳はないよな。


「……ぐ」


「だが、目の付け所は悪くない。あとは手段だな。大神官も全員が一枚岩とは言えない所がある。パワーバランスもある。議会を納得させられるだけの実力をつけたり成果を見せるならば、いつかは折れる時が来るかもしれん。期待してるぞ、コーディ山田」


「はいっ! 頑張ります!」


「では、さしあたってはこれだな」


 クロスアーミー先生は大量の獣皮紙の塊を机の上にばんと置いた。その量足るや前世の死因を呼び起こすレベルだった。


「提案があれば提案書を書け、意見があれば意見書を書け。そしてそれを実行出来る力を得てクソ共に見せ付けろ。可能性を見せつければ頭に黴の生えた大神官(クソ共)に風穴が空くかも知れん」


「は、はいっ!」


 俺は提案書の形式や書き方を習う。戦術や戦略、政治から街の困り事までの殆んどを意見書と提案書を書いて議会を通す仕組みになっており、新しい事を行う為には必要な事らしい。


 前世ではノイローゼに成るほど書いた書類……。伸ばした右手で獣皮紙を触った瞬間笑みが溢れた。


 “此処が俺の戦場か!”






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