題35話 明日から突然サバイバル生活!
読者の皆様は調合覚えなくても問題ありません。この辺は作者の趣味です。
以上前書き。
「おはようございますグローリアさん」
「おはようございます師匠!」
忙しい日々は時が経つのも早いもので、俺達は安息日を迎え職場体験に来ていた。何の密約か知らんが、今日はゲロゲロ=ソフィエルちゃんと手を繋いでくれと言われてその通りにして来た。明日はチロリ=ツンパカブリエルちゃんと手を繋いで来る事になるらしい。
ゲロゲロ=ソフィエルちゃんは若白髪の三つ編みに委員長眼鏡、離れている時は大人し目のヤンデレストーカーなのだが、近くで手を繋いでる分には下を向いてオドオドしているので可愛い。
ソフィエルは光の天使なので光属性の魔法を優先して修得しているらしく、ステータス異常回復魔法の修得は幾らか進んでいるらしい。「沈静癒光」「鎮静癒光」は精神を落ち着かせる系の回復魔法で、後者は燃費が悪くはなるが効果が強い上位互換になる。俺も使える「光癒」も覚えていると言っていた。
世間話もした。職場体験先は食べる事が好きで魚屋を選んだそうだ。それに対して「良いと思う。俺も食べるのは好きだから」と言ったら「私も……好きだから」とか告白みたいな事を返された。手汗が出るわそんなん。
◇ ◇ ◇ ◇
「グローリアさん?」
「ああ、すいません。師匠。何でもありません。確か今日は薬師体験でしたっけ?」
「そうです。こないだ森に行った時に幾つか食べられる木の実や薬草を教えましたね? 今日は前回の倍は覚えて貰います。そして、簡単な調合ですね」
「……嬉しいんですけれども、何故そんなに広く浅く……何でしょうか? 今日も鍛冶やっちゃダメなんすか?」
師匠は1秒程目を瞑って息を吸った。
「森の中で体力を消耗するのは何故だか分かりますか?」
「普段と違う環境だからですかね? 歩きにくいし、あとは魔物が居るかもしれないから……とか?」
「そうです、言い換えるなら気を使うからです。“魔物が居るかもしれない”“迷うかもしれない”“躓くかもしれない”“食料が切れるかもしれない”と普段は考えない心配事が身体の消耗を早めて動きを鈍くするのです」
「ああ、森の中で食料を得たり回復する手段を身に付ければ採集に掛かる精神的な負担が抑えられて、尚且つ生存率が上がるから薬師体験もやっとけって事ですか?」
「そうです。森の中で補給を行えずに消耗し続けるのと、食料や怪我を治せる薬を補給出来るのは天と地の差があります。故に薬師体験もやっておいて損はありません」
ほへー、師匠って凄いんだなー。
「全ての物作りは自然の恵みを集める所から始まります。さあ、森に行きますよ」
◇ ◇ ◇ ◇
と言う訳で先週に引き続き、俺と師匠は西の森の中を歩き回りながら食べられる草や木の実、怪しいキノコ等を教わり、外傷を保護する軟膏や胃痛に効いたり怪我の治りが良くなる丸薬の作り方を教わった。同じ様に生き物に作用する毒の作り方も教わった。
灰色の木を傷付けると出てくる樹液と砕いたキノコを混ぜて作られる軟膏は止血と殺菌効果があるらしい。
蓬の葉っぱと燃えるキノコを裂いて混ぜ合わせて、乾燥させたお灸は身体の毒素を排出するらしい。
変なハーブと弟切草と木の実を擂り潰した丸薬は胃薬兼傷薬になるらしい。
「樹脂の軟膏」を月桃の葉で包んで葉で縛り、水戸黄門氏の側近が持っている様な木のケースに「胃薬の丸薬」を入れて、「お灸」を木の籠に入れて乾燥させつつ、西の森の中をウロウロする。毒などは作っても仕方がないので作り方だけ習っていく。
「水包の体液は傷に良いんですよね。生きているうちは酸性で肌荒れしますが、死んで1時間もすれば立派な殺菌効果の有るゼリーになります。何故そうなるかはわかりませんけれどもね。人によっては水筒を持ち歩いて体液を採取する人も居ます。水筒の作り方は竹を切って穴を開けるだけですからね、今度作ってみてください」
「はぁ」
次は塗って良し飲んで良しと言う魔法的な傷薬と、少し効果の高そうな軟膏の作り方を習った。
先ずは「万能な傷薬」の作り方だ。蜂蜜か木の蜜か花の蜜または水包の体液と生きた青苔を混ぜ合わせる。青苔にはペニシリン的な成分が含まれているので、雑菌の増殖を完全に封じるらし。塗れば傷に効果があり速効性があり、飲めば微毒、腹痛、骨折、体内の炎症に効果があると言う。
そして「強目の傷薬」の作り方。これは万能な傷薬より少し強力な傷薬で、水包の体液と蜂蜜、それに生きた青苔を混ぜ合わせ、最後に柑橘類の絞り汁を少々加える。作ってから1週間目~2週間目が最も効果があるらしい。
あとは「ワラビの軟膏」ワラビを木の灰で茹でて刻む。それを1日置くと出てくるネバネバする水だけを採取して、粉末の緑茶と蓬を擂り潰したペーストを混ぜて作成する。
他にも沢山あって覚えきれないかと思ったが、グローリアと教えあって覚える事で何とか覚えきった。
◇ ◇ ◇ ◇
今日は特に大きい出来事はなく、少し魚くさいゲロゲロ=ソフィエルちゃんと合流する。
お土産にアジの開きを貰ったそうで俺達はほくほくしながら帰路についた。




