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第33話 戦力差 前編[状況説明回]

 


 俺は朝一のカミングアウトと、急遽作られた社畜隊の隊員達とのミーティングを終えて、床についていた。


 久々の対人労働、頭脳労働、昼間の疲れが俺を少し早めのベッドへ誘った。しかし、考える事は尽きない。頭の中の『設定集』を開きながら、具体的に帝国とどうやって戦っていくかをシミュレーションする。


 ◇ ◇ ◇ ◇


『設定集』の色々なページを開いてみた。特に重要だと思った[争いの歴史]の欄を読むと……これから起こるだろう戦争と言うイベントが現実感を以て襲い掛かってくる。


 現時点での戦力の差。それを埋める事の難しさがそこには書かれていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 うーん。改めてヤバいと感じる。桁は違うが、俺達の住むロンドヴルーム国と赤人の帝国エンパイアオブヴァルゾネスは第二次世界大戦時の日本と米国ぐらい国力の差がある上に、戦術や用兵術でも差がありそうだった。


 ……現代知識チートが役に立たない程に。


[争いの歴史]によると、遠距離魔法攻撃を軸とした国家規模の戦争は既に百年ほど前から行われていたらしく、ある程度の戦法や戦術なんかも確立しているらしい。


 それによるとアニメで見るような百の軍勢を1回の魔法で薙ぎ払う……のは現実的じゃないとの事だった。基本的に兵士や軍隊と言うのは魔法に対しての対策を持っているので、大勢の人を殺傷できる威力を持つ大魔法を使っても、そう簡単に死にはしない言うシステムが構築されているらしい。


 時代を遡って説明するのならば、古代の中小都市国家同士が戦争を行った時にやっぱりと言うか何と言うか、夜の街に布陣して大魔法を複数回使って街を壊滅させた奴が居たらしい。それからその対策として街の城門とそこを囲う地下に鉛が埋め込まれて、都市の魔法防御力を向上させたらしい。と言う訳で都市と呼ばれる街の城壁には必ず仕込まれている。


 それから時代が進むと、城攻めは割りに合わんと言う事で、都市を出て野外合戦で大魔法の撃ち合いになった。結果、物凄い人的被害が出たらしい。そりゃそうだ。それから戦の担い手が減り、大魔法に耐えられる兵士の育成が始まり、一定の魔法防御を持つ者だけが戦場に出る事となった。少数精鋭主義と言う奴だ。暫くはその精鋭が無双をする展開となった


 だが、それにも対策をする者が出て来た。兵士が強いのならば[魅了]や[混乱]と言ったステータス異常系の魔法を使って同士討ちをさせれば良いじゃない? と、ステータス異常を誘発する魔法を連発するのが最良の戦法となった。


 それにも対策をする奴が現れた。兵士全員に[魅了]や[混乱]を抑える魔導具を持たせて、十人程度を纏める隊長にはステータス異常を治す魔法を覚えさせたのだ。そこから十人隊長の元に10人の兵士が纏まって行動する[十人隊長制度]が普及した。


 こうして、最適な兵士のレギュレーションと装備の情報はまたたく間に広がって、何処の国もある程度の装備を揃えた軍隊を所持するようになった。


 そうなると、隊長の質と兵士の数が戦争の勝敗に対してモノを言う様になる。これが今の段階となる。


 故に俺達は兵士の数や隊長を増やしたいのだが、そう簡単に増やせない事情がある。先ず初期費用と維持費用が高い、そして訓練に時間がかかる。更に言えば装備がかなりの金食い虫なのだ。


【兵士の指輪】10,000G……使用すると12時間ほど[魅了][恐怖][混乱]等の精神汚染を軽減する効果を持つ魔導具。銀の指輪に魔術回路を彫り込んだ基本的な設計だが、複数回使うと刻まれた魔術回路が焼き切れて使用不能になる為に決してコストは安くない。使用にMP10程消費する。


【対死の指輪】5,000G……即死魔法を1回に限り抵抗(レジスト)するが、抵抗(レジスト)すると壊れてしまう魔導具。1度限りの為に材質を選ばず、鉄の指輪に魔力回路を彫り込む設計。製作時に1回分、抵抗(レジスト)の魔法を込める儀式が必要なので割高。


 最低でもこの2つは揃えないとまともに戦えない。それから武器と防具、給料、戦死等の保証や手当て。企業に勤めている人なら判るだろう。人を雇うのは1人でも相当なコストなのだ。


 そして、兵をまとめる十人隊長や百人隊長は更に広範囲魔法防御や各種ステータス異常の回復魔法を使える様になる魔導具を持たせるか、その魔法を覚えさせないといけない為にリアル10倍・100倍の金が掛かる。それを使う為のMPの保管用魔導具も含めると、ウチのショボい軍でも年間|1億五千万《150,000,000》G程掛かるらしい。高々200人程度の軍がだぞ? 10,000人越えの帝国軍事費は一体どうなってんだよ。どっちも軍人は常備兵だぞ。


 因みにウチの軍には十人隊長が20人居るだけで百人隊長は存在しない。百人隊長は基本的に兵士100人より強いとか言われている。千人隊長なんてのはまさに一騎当千らしい。


「こりゃ、詰んだかな」


 良く合戦の有る時代劇何かでやってる釣り野伏とか使えないかなーと思っていたが、素人がそう簡単に提案出来る事はなさそうだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「ふぅ」


 俺は久々の眠れない夜に小休止を求めて預言者の絵の裏側に隠した卑猥な形の棒を取り出す。


 おっと、勘違いするなよ。


『設定集』によると、この電動こ○しモドキは「兜割り」と言うれっきとした武器で、この国では割りとポピュラーな部類らしい。殆んど金属製ではあるものの、結構な割合で武器としては強度不足な木製兜割りがあるらしいと書いてあった。使用用途はお察しである。ここは禁欲の国なのだ。


 俺はこの兜割りに名前を付けて可愛がる事にした。

 決して斬れない刀と言う意味で「錆斬(サビキリ)」。気持ち振り回すには不適当だが、この物がない幼育園、暫くはトレーニングギアとしてでも使ってやろう。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺は「錆斬」を小太刀の様に構えて見えない敵とチャンバラごっこを楽しんだ。


「ふっ! はっ! タァーッ!」


 ……。


「ふぅ」


 俺に剣の才能がない事がはっきりと分かった。


 ドタバタと足音だけがでかく、身体が意識の反応に付いていっていない。右足と左足が同時に出ていこうとしたりもする。


「もう終わり?」


 !!!!!!!!


 振り返ると何故かドアが空いており、ドアの脇にチロリ=ツンパカブリエルちゃんが立っていた。


「いつからそこに!?」


「さっきから、いやノックもしたのよ? でも何か暴れてるから何かなーと思って開けたのよ。そしたら、何か素振りみたいなのしてるし……」


「ああ、そうなの。気付かなかった」


「え、何で隠すの? その木刀見せてよ」


「嫌です」


「見せて」


「嫌です」


 ……。


 俺はサッと懐に飛び込んでくるチロリ=ツンパカブリエルちゃんの姿を捕捉すら出来ずに寸止め気味の体当たりを受ける。そして、俺の背後に隠した「錆斬」を伸ばした両手でサッと取られてしまう。


 うん。実践だったら俺死んでるね。


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんは「何でこんなもの隠すの?」と不思議そうに「錆斬」を眺める。もうどうにでもなれ。


「ねぇ、これ私にも頂戴」


「は、ダメだし」


「じゃあ貸してよ」


「いや、これ貸し借りするものじゃないし……」


「良いじゃない! 減るもんでなし」

「へるもんでなしー」


「コーディのケチ!」

「こーでぃーのけちー」


 何故か俺の敵に回ったグローリアの説得もあって、名付けから5分。「錆斬」はチロリ=ツンパカブリエルちゃんの手に渡ってしまった。


「おやすみなさい、グローリア。じゃあね、コーディ」


 彼女は部屋を出ていった。


 ……。


 彼女が「錆斬」の用途に気付く迄にここを卒業しないと対人関係に深刻なダメージが予測されるな。


「と言うかあいつ何しに来たんだ……」


 俺は戸締まりをした後、再びベッドに入った。




以下後書き。


力が足りず、2,000文字に押さえられませんでした。3,000文字有ります。切ったり貼ったりを何度かしたので少し不自然かもしれません。


気になるところがありましたらご指摘ください。

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