第32話 社畜隊[国力比較はこちら]
「さて、皆さん。色々意見があると思いますが、発言の際は挙手をお願いします。えっ? 顎にお米粒ついてる? あ、ごめんありがとう」
俺は社畜スキルの“プレゼンテーション上手”を使って会議を円滑に進めるように動かす。すると、皆思い思いに発言するので、発言を取り入れつつ役職と部隊名と紀章を決めた。
隊 長:コーディ山田/グローリア
副隊長:チロリ=ツンパカブリエル
副隊長:ゲロゲロ=ソフィエル
部隊名:社畜隊(隊長以下9名)
紀 章:髑髏に天使の羽と天使の輪。額に「月月火水木金金」
実質皆で決めたのは副隊長位だった。副隊長を選ぶ際、自主的な挙手を求めたらチロリ=ツンパカブリエルちゃんとゲロゲロ=ソフィエルちゃんが手を挙げて争い始めたので、仕方なく2人とも副隊長にした。これが会社のチームリーダーだったら愛人を囲うようで非難ごうごうなんだが、まぁ4歳児なので良しとして欲しい。
後の「部隊名」は俺の趣味だ。思い付かなかった訳でもないし、思いっきりコキ使ってやると言う意思表示ではないぞ? 強い部隊は強い部隊名が必要なのだ。
紀章は「天使っぽいのがいい」「天使の羽いいよね」「輪っかも欲しい」と言う意見を纏めて決めた。前世の話だが、戦時中の事を描いた漫画に髑髏の額に「ナイスデザイン」の文字を書き記すシーンがあったので、「部隊の合言葉」を記して紀章とした。
次は現状の情報共有を行った。
俺の頭の中にある『設定集』の内容の開示。……これは今世になって初めての事だ。そもそも俺の『設定集』の事は同じ日本の転生者であると言う理由で話したハイパワー・ナグルス先生以外の大人は知らない。言うつもりもない。
この情報は、情報伝達の遅くて正確な情報の把握が難しい時代においては相当なアドバンテージになる。その情報だけでも俺が拉致監禁される可能性が出てくるのでこの事は機密とした。
例えば、敵の赤人の帝国の人口や兵力がどれくらいだとか、特産品は何だとかの概要が分かる。それを知るために真面目にスパイを雇うならば、かなりの費用とかなりの時間が必要だろう。そして、その情報は当の帝国すら把握していないかも知れないレベルの精密な情報なのだ。しかも、この情報は毎日0時に更新されると言うオマケ付きだ。
本物の“羊皮紙本”は未来の事が分かるらしいが、正直、俺の『設定集』も負けてはいない。
まぁ、調べる物事のキーワードが分からないとそもそも思い出せないと言うデメリットもあるが、大したデメリットではない。
そこで俺が隊員に提示したのは
「ロンドヴルームの国力概要」
「水の都ヴェネチアの国力概要」
「赤人の帝国の国力概要」
の3つ。これを獣皮紙に書いて皆に提示した。
★ロンドヴルーム国
・首都人口:10万人
属領1万人
計11万人
・国力概要:信仰都市を自称しており、国家形態は合議制となっている。特段の基幹産業は無いが、広く浅くある程度の基礎はあり何でもやっている。産業は魔物の素材物産、神殿や教会の観光喜捨収入が主となる。工業は革鞣職人、木工職人、武器職人、防具職人、被服職人、等の職人が満遍なく居り、物品の供給は安定している。但し、食料の大半は属領からの喜捨で賄っている。属領は農村と漁村が半々だが、税金として納められている訳ではないので、供給はアバウトでしばしば不足する。一応野菜や麦等の自作農も有りはするが、全体消費の2割程度しか賄ってはいない。商人はその調整をするために常に多目に滞在している。冒険者の数は少ないが、50人程は在中しており、有事には傭兵とする事も可能。
・総兵士数:228人
十人隊長20人
徴兵最大兵士数5,000人
・兵力概要:8人の神殿騎士はそれぞれ十人隊長に匹敵する戦力を持つ。鋼鉄板鎧を装備した重装兵が22人(4つの門それぞれ2人の番人)。全身革鎧と木の弓と鉄の長剣を装備した軽装兵132人(治安維持部隊)。馬と軽装革鎧に馬上槍で武装した軽装騎馬兵66人+馬75頭(伝令)。徴兵最大兵士数は従軍意思の有る適齢男女から算出。
★水の都ヴェネチア
・首都人口:30万人
属領5万人
計35万人
・国力概要:産業は水産品の水揚げと銀・アクアマリン鉱山と河川よりの砂金の採取等があり、工業はそれの加工と魔導具の生産、また水産品の加工と硝子の生産、金属細工が有名。食料は生鮮食品40%水産加工品30%農産品30%の割合で消費されている。
農業は属領に頼りきりだが、水産品だけでも街を賄える程の水揚げがある。
・総兵士数:3,060人
五十人隊長60人
最大徴兵兵士数20,000人
・兵力概要:虹色貝斧、鯨骨刀、水宝石杖等の水産物を使った独特の武器は魔法の触媒や魔法を使う際の補助具として使われる。同じく防具も鱗小盾、螺鈿札鎧、魚皮靴等、水産物を加工して作られる。防御力は総じて高めで特に魔法防御は強い。全員が海軍を兼ねる為に、1つの船の船員がひとまとまりとなり、50人を纏める五十人隊長なる役職がある。所有船舶は木造輸送船が2艘と大砲2門付きの軍艦が1艦ある。
★赤人の帝国
・首都人口:45万人
衛星都市6万人
属国65万人
属領5万人
計56万人+属国65万人
・国力概要:産業は鉄・銅・金鉱山の鉱業とそれを使った高度な鍛冶製品。複数の巨大な石切場から排出される大理石と石灰石を資材として扱う石材業。諸国から集まる豊富な魔物素材や珍しい素材を使っての魔導具作りは周辺の追随を許さない。食料は衛星都市とその周辺村のから集められる年貢や輸入に頼っており、首都では一部の高級野菜の栽培以外行っていない。世界中の知恵が集まる蔵書百万冊を越える帝国図書館等もあり、人材は豊富。この大陸に於いて比肩する国家は無い。
・総兵士数:11,111人
将軍1人
千人隊長10人
百人隊長100人
十人隊長1,000人
徴兵最大兵数50,000人
・兵力概要:基本的に常備軍の数が多い侵略型の体制となっている。全身に鋼の鎧を纏った鋼鉄重装兵5,556人、ふんだんな魔法資源にモノを言わせた魔法兵3,333人、練度の高い鋼鉄騎馬兵2,222人+3,000頭の軍馬が居る。輜重兵は居らず、民間の輸送荷馬車に騎兵を護衛として使う。予備役数が多く、欠員が出ると適時補充される。属国の支配がまだ安定していない為に徴兵最大兵数に属国は入っていない。
あかん、こりゃ勝てねーわ。




