表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 前編 聖別幼育園へようこそ!
31/152

第29話 紐のような愛のストロー

 昼食の味はしなかった。


 雑穀のお粥。

 キャベツっぽい草のコールスロー。

 それから、お椀の底が見える程薄いオニオンスープと言う、一切の色気の無いメニューだからではない。


 キャベツっぽい草(コールスローの原料)が西部劇に転がる草に似ているからでもない。


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんと先に約束した事とは言え、ゲロゲロ=ソフィエルちゃんには悪い事をした。


 どちらからも愛されていると言うのはある意味で嬉しい事だ。

 なのだが、つまりは片方を選ぶと言う事はもう片方は選ばれないと言う事だ。


 それは俺の身を現在進行形で2つに切り裂いていく。


 バリバリ、ギニャー。


 それと、切り裂くと言えばこんな問題もある。


 ハイパワー・ナグルス先生と伝統派を選んで皆を逃がすか、クロスアーミー・グロースター先生と急進派を選んで皆と戦うか……。


 俺としては同じ転生者のハイパワー・ナグルス先生の方が親しみがあるので、一緒に居て楽しいと言う感情がある。


 そして、信仰の形としては伝統派が一番良い形だと思う。


 俺は祈りを通して前世の無念は大分軽減された。

 信仰がその恩返しになるならば、童貞こそ(いず)れ捨てさせて貰うがこの教えを守って行きたい。


 だがグローリアは明らかにクロスアーミー先生に恋をしている。

 俺からしたらグローリアに付いた悪い虫と悪夢と貞操の危機が悪魔合体した様な奴だが、「俺だけを必要としてくれている」と言う強い意思は受けて気持ちが悪いものではないし、先っぽ位なら受け入れても良いかな?と思えるくらいの包容力がある。


 あの逞しい腕に抱き締められて耳元で愛を囁かれたら……。

 あの強い眼差しで見詰められて壁ドン! なんてされたら……ん?


 ぅわぁあああああああああああ!


 いかんいかんいかーん……! いつの間にかにグローリアに染まっていた。


 ……ふぅ。


 ……そして、急進派の意見も馬鹿に出来ない所がある。

 前世の日本でも似たような問題があった。


 こっちが無抵抗ならあっちも攻めてこないと言うノーガード戦法でのマゾプレイ。でも、それで戦後70年以上もある一定以上の平和を守ってるんだからスゴいよな。


 ある一定以上の(・・・・・・・)と言う枠を外したら、被った不利益は甚大なものになるがな。


 組織的な防衛や外交の一手段が強制封印させられているが故に国民が外国に拉致されたり、領土を削られたりした例は1件や2件じゃない。


 その前世の状態を見るに、ノーガードは良くない結果を齎すのは明白だ。特にこんな時代では流行らないだろう。戦力を強化するのはどうしても必要だ。


 属国派は今のところ論外。どうにか折衷案とかは選べないだろうか。いや、それはどちらも傷付ける結果になるのか…………。


 ……。


 はっ。


 気付いたらいつの間にかに俺は部屋に戻っており、チロリ=ツンパカブリエルちゃんは居なくなっていた。


 空はまだ明るいが、休憩だろうか。


 グローリア、チロリ=ツンパカブリエルちゃんはどうした?


(あたしが今日は疲れたからお昼寝するって言ったら部屋に帰ったよー。寝ても良い?)


 ああ、そうか。おう、寝ても良いぞ。


(おやすみー)


 おやすみグローリア。


 ………………。


 グローリアも気疲れしてるのかな?


 それともただ疲れただけかな。


 ふぅ。


 ……。


 あっ、折角だから“狩人の五感”でベッドの下の空間の魔素を観測してみるか。


 …………。


 俺はベッドの上で横になりながら意識を集中して真下に向ける……。


 先ずは聴覚。


 …………ーーーーン。


 階段の底の方向からは遠い風の音しか聞こえず、途方もなく深い場所まで行かないと動く気配の音はしないような感覚がある。


 ここが石に囲まれていると言うのもあって静かなのも影響してか、結構感覚としては研ぎ澄まされているんじゃないかと思う。


 次は視覚。


 ………………。


 これは余りわからない。相当深いところまで階段が降りていると言うのは感じるが、何処までも深い濃淡の黒は見ているだけで引き込まれそうになる。


 狩人の五感を覚えたらこの部屋の景色が大分変わるな……。


 魔素を意識して探知したり、その流れを意識するだけでこうまでも世界が変わるのか……。


 すっ……。


「!!!!??」


 意識をベッドの下に集中させていた俺は久し振りに幽体離脱しかけた。心なしか赤い紐の拘束が緩んでいる気がする……。


 と言うか3分の1はほどけている。故にほどけている上半身は自由に出られる様になっていた。


 何ぞこれ……?


 異変はそれだけではなかった。この赤い紐が繋がっている薬指を通してこの紐に触覚がある事に気付く。そして、その紐を自由に動かせると言う事に……。


 うほっ、これ便利じゃね?


 赤い紐は左手薬指の先からしゅるしゅると出て来て5m位迄伸びるようで、工夫すれなればどうにか銅貨を拾う事は出来た。


 全裸で牢屋に閉じ込められて尚且つ魔法を封じられた時とかに看守から鍵を盗むのに使えそうだな。そんな状況は無いと良いのだが、ファンタジーのお約束だからな。無いとは言えない。


 ……。


 これ、動かすのに体力使うな……。


 例えると献血している様な……力が抜ける……。


 そうだ、俺は寝るつもりだったんだ。


 寝よう。


◇ ◇ ◇ ◇


 4歳児の分際で土日の疲れが残っていたのか、結局夜まで眠ってしまった。


 夕食食べ損ねた……。うう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ