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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 前編 聖別幼育園へようこそ!
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第27話 図書館

 

 さて本日は晴天なり、天気明朗なれど心の波高し!


 うむ。冒険日和だ。


 俺とグローリアとチロリ=ツンパカブリエルちゃんは、部屋を出て5分と経たない間に園庭の噴水前に辿り着いた。


「わー、よく見るとこまかいねー」


 俺達の前には7体の天使が石の貯め池に向かって思い思いのポーズで放尿している像が並んでいる。


「そうね、集団で小便してるだけの馬鹿みたいな天使像だけどやけに細工が細かいのよね」


「この天使像は夜中動いて悪い子を捕まえて食べるって知ってた? 聖別幼育園七不思議ってーの。他には便所の鼻子さんにチキチキに股裂け女に洗面犬に怪人赤パンツ……えーっと、あとぬーぼー」


「いゃあああ! こわーい! ちょっと変な事言わないでよー!」


 お、チロリ=ツンパカブリエルちゃんの弱点発見か?


「しかしまぁ嘘だけどね」


 “次怖い事言ったらビンタするぞ”


(はいはい、わかりまひたー)


 ふふん、可愛い女優も居たもんだ。やっぱり俺と同じで完璧とはいかずにバランス悪いみたいだな。視界の端ではグローリアが天使像を数えている。


「いち・にー・さん・しー・ごー・ろく・なな……はち?」


「ん?天使像は7体だぞ、グローリア」


「ここ台だけあるよー。足跡までのこってるー」


「あっ、よく気付いたな」


 よく見ると天使像の台座は8つある。そのそれぞれに思い思いの格好で小便をする天使がいるのだが、そのうち1つの台座はコンクリートを剥がした様な足跡だけがあり、天使像は無かった。


「故障して取ったのか?」


 野外では絵画に入れ換えって事は出来ないだろうからな。


「そもそも壊れる事もなさそうよ? 頑丈だし。あ、あとほら、これ魔法の力で出てる。これ見て、ちんち……水の出先に小さなアクアマリンが付いてる」


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんに言われた場所をよく見ると成る程成る程、天使のちんちんに指輪が嵌められていた。他の天使の……水の出先。まぁ、割れ目にも指輪が挟まっていた。その指輪の石は水色に透き通りいかにも濃縮された水っぽい。アクアマリンと言われればその通りの宝石だと思う。


「隠された預言者像、謎の地下室、欠けた天使像。こりゃあ真面目に幼育園の七不思議……ありそうだな」


「ありしょーだな!」


 俺達は次なる目的地の図書館へと向かった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 図書館にはケツワレール先生が居て、蔵書整理をしていた。


「おはようございますケツワレール先生」

「ケツワレールせんせーおはよー!」


「おや、どうも」


 相変わらず口数が少ないな。


「あー、ケツワレール先生、質問なんですが俺の部屋だけ何であんな変な作りなんですか?」


 俺の部屋だけ石造りとか明らかに怪しいだろ。


「あー、それはね。元々この聖別幼育園は古い教会だったんだけど、4年前に大教会が出来てからは機能が皆そっちに移転しちゃってねぇ。それでここは幼育園になったんだけど、他の石造りの部分は大教会の材料にしちゃったから、殆んど木造になってるんだけど、所々石造りが残ってるんだよ。元々はここ石造りだったのでね。


 あ、そうそう。グローリアちゃんの部屋ね。その部屋は、当時から神殿騎士だったクロスアーミー先生の部屋だったんじゃないかな?」


 おおおう。具体的に言えばマトモな返信は帰ってくるのか。コイツは無口かふざけてるかどっちかだったからな……。


 ってかあの部屋はクロスアーミー先生の部屋だったんか!


「つまりグローリアちゃんはクロスアーミー先生の残り香に騙されてるのね……」


 いや、チロリ=ツンパカブリエルちゃん、それ先生の前で言わないでよ。


「何やら物騒な話ですが、先生は事なかれ主義なので聞かなかった事にしましょう」


 おっ、話のわかる男だ。


「あと、しょうもないお話ですが、クロスアーミー先生がこの幼育園を作る提案をされた事は御存知ですか?」


「え、知らない。なにそれ怖い」


「クロスアーミー先生が世界巡業の旅から帰って来た時に、この国に天使の宿る子供達が沢山生まれたと言うお告げを受けて、預言者様を迎える準備が出来たと言い始めましてねぇ」


 はあ? クロスアーミー先生が、俺達の産まれてくる事を知っていた……? お告げ?


「ビックリですよ。まぁ本当に天使の宿る子供達は居たので良かったですが、居なかったら聖別幼育園(ここ)はどうなっていた事か。初めはクロスアーミー先生のいけない欲求を満たすために作ったのかと……思ってたんですけどね」


「はぁ」


 いけない欲求って何だ? うーん、聞きたくない感じだ。


「おっと、余計な事でしたね。では先生はこれで失礼しますね」


 話し過ぎたと悟ったのか、ケツワレール先生はどっかに行ってしまった。


 うーん。


「これなーにー?」


 グローリアはバサバサとケツワレール先生が整理していた獣皮紙本を広げる。


「あー、これは……民明books。ハイパワー・ナグルス先生の著書だな。『同性愛のスゝメ』『愛のオゾケ』『ベルサヰユの菊』……録な本書いてねーな」


 しょうもない事だが、民明booksはかなりの冊数が出てるらしく、棚の1つを丸々占領しているレベルだった。内容はどれもこれも日本で読んだ本の劣化コピーだった。まぁ転生者だったらこうやって著作権の及ばない地で荒稼ぎする事も出来ると言う事か。いわゆる知識チートと言う奴だな。


 しかし、内容がBL(ボーイズラブ)GL(ガールズラブ)に片寄りすぎてるのは……神官だからか。


 言うまでもないが、神官はDT(魔法使い)しかなれない。神に純潔を捧げると言う非生産的な教えの実践らしいが、その抜け道として同性愛を大っぴらに認めてるのはなかなかたちが悪い。


 こんな本を幼育園に置いておくなんて……幼児にどんな悪影響があるか……。


「はっ!」


 まさか!


「な……何よ!」


「もしかしてお前……。読んだのか?」


「当たり前じゃないのよ! 今週の指定図書よ!」


 俺は白目を剥いた。


 ほんの10人ちょいしか居ない幼育園に同性愛が蔓延っている原因はあなただったんですね。ハイパワー・ナグルス先生。


 あれ? 俺は何しに図書館に来たんだったか。





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