第26話 秘密の地下室
よし! 行くぞ!
「よしいくぞうー!」
「お、おー?」
今日は月曜日。先週から職場体験が入った為に日曜日がスライドして謎の休日になった。社畜にあるまじき月曜日だ。俺とグローリア、そして当たり前のように部屋に入ってきたチロリ=ツンパカブリエルちゃんは俺の部屋に有ったであろう預言者の像を探すと言う冒険に旅立つべく準備をしていた。
「隊長! 手掛かりは何かあるのでございますか?」
グローリアの前なのでチロリ=ツンパカブリエルちゃんはノリノリである。多少は俺が出ても良いらしい。
「え? 俺隊長? ああ、あの預言者の絵画のある所にはまっていた像だから、周りの4つの天使像と同じかそれより少し大きいくらいの像かな」
周りの天使像は身長80cm程の子供サイズなのだが、壁に生えている形なので壁の中に埋まっている部分があり、出ている部分は少し小さい。預言者像は予想するに身長100cm程。四隅の天使の向きを考えると少し上の方に顔がある事が予想される。
「……隊長、今更ですけど隊長の部屋だけかなり変な作りになってますよねー」
チロリ=ツンパカブリエルちゃんは辺りを見渡す。
「確かにな、教会は採光窓が好きなんだなーと思っていたが、天井に6つの採光窓、壁に2つの窓の面が2つと4つの窓……。んんん? ドアを入れると2・3・4・5・6……んんん?」
「どうしたの?」
「これ、サイコロだ」
「サイコロ? サイコロって何?」
チロリ=ツンパカブリエルちゃんは知らんか。一応異世界製品だからな。
ともかく、変な事に気が付いた。この俺の部屋は正六面体に出来ており、天井に“6”つの採光窓、壁に“5”つの像、壁に“4”つの窓。壁に“2”つの窓。そしてもう一面の壁には2つの窓と1つの扉で“3”つの穴が開いている。そして床にはベッドが“1”つ。つまりそれは丁度サイコロの形となる。
「ベッドの下に何か無いかな?」
……。
俺達は木製のベッドを動かして、絨毯を捲り上げた。
……。
なんだこれ。
予想通りに木の蓋があった。
「中に何があるのかしら?」
うん、チロリ=ツンパカブリエルちゃん、少し素が出てるね。
「わからん。開けてみるか……」
特に鍵もない蓋を開けると、中には斜め下の地下へと続く階段があり、その階段にガッツリ挟まるようにして探していた預言者像があった。預言者の像は身長160cm程の像で体育座りをして顔が隠れている男の像だった。
……像に関しては予想が外れたな。まぁいい。
「これは、人が入らないように置いてあるのよね?」
「……多分そうだろうな」
「この中の探検は無理よね? 隊長……」
無理だ。そもそも地下は無条件で不味い。
何が不味いかって、一昨日の鉄巨人ないし、魔物と言うものは「暗闇」「魔素」「窪地」の3つの要素が合わさると発生する。つまり、地下室と言うのはそれだけで魔物が発生する可能性があるのだ。
「あら、お米を切らしちゃったわグローリアちゃん地下室にお米を取りに行ってくれないかしら?」
「わかったわママ」
グローリアは地下室への階段を降ると、そこは空飛ぶオコメの魔物の巣でした。
~何て事が起こり得るから、基本的に街や家に地下は存在しない。例外としてこの街には下水道何てのが張り巡らされているが、壁面に灯りの魔導具が埋め込まれているし、定期的に水包狩りの人達が下水道内を掃除しているから魔物が溢れるほど発生すると言う事はない。
でもなければ地下なんてのは魔物製造工場でしかない。地下迷宮? そりゃ地下に空間を作れば直ぐに魔物の巣になるわ。
「チロリ=ツンパカブリエルちゃん、多分この中には魔物がいる可能性がある。今は無理だけど後で調べよう」
「そうね」
「この幼育園には隠されている事がありそうだ。そして、大人達は必ずしも味方じゃない」
「そうね」
「だから、俺達園児で協力しあおう」
「きょうりょくしあおー」
「望むところよ」
「よ、よろしくグローリアちゃん///」
……ここ数日、グローリアはチロリ=ツンパカブリエルちゃんとばっかり話していて気を許しているのか、チロリ=ツンパカブリエルちゃんの前では時々グローリアが割り込んでくる事がある。
ふむ。これは盟約が効果を上げてるって事だろうか?
「でも、この位の隙間があれば私達なら入られそうね」
「うーん。塞いでいるのが像だからな。まぁともかくベッドを戻しておこう」
俺達はベッドを元に戻した。
「さて、やる事が無くなった」
「どうしますか隊長!」
「うーん。……どうするグローリア?」
「うーん、じゃあ天使像さがししてここの探検をしよー!」
「キャーステキ! グローリアちゃんナイスアイディアー!」
と言う訳で俺達は謎多き聖別幼育園を探検する事にした。まず目的はグローリアの希望により天使像探し。えーっと、俺の部屋の4体以外は……園庭の噴水に7体居たかな。
……この聖別幼育園は主に4つの建物に別れている。俺達の泊まる寄宿舎。そして、3つのお遊戯室と図書館と職員室がある教室棟。そして教会、物置。その4つの建物は十字を描く様に建っており、隣接するエリアへは渡り廊下が続いている。そして真ん中に園庭があるという訳だ。
「確か天使像は図書館と園庭の噴水にあったわね。あと倉庫にも有ったかしら?」
「倉庫の前にあったよー!」
「じゃあ先ず何処に行く?」
「園庭の噴水ー!」
園庭の噴水……あの天使の放尿像か。この世界の技術レベルはさほど高い印象はないからあの像から出てる水は魔法か? 質素倹約を旨とする教会にしてはやけに凝った噴水だよな。
……取り敢えず俺達は園庭へと向かった。




