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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 前編 聖別幼育園へようこそ!
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第21話 西の森 ゴブリン

今日はおまけで2話投稿です。

 俺達は西の森を奥深くへと進んでいく。


 時々現れる水包(スライム)は俺の投石で片付けさせてもらい、水包(スライム)の核は麻袋に回収した。


「あれは銀杏、あれは杉。銀杏は種の中身を食べます。また魔物は銀杏の臭気を嫌いますので魔物避けの意味もあります。人間の知恵ですね。育った杉は木材として使います。また、杉も魔物が嫌いますので魔物避けになります。杉は大した効果が無いのですが、一応気休め程度ですね」


「ほー、なるほろー」


「魔素の濃い場所にある植物は魔物化する事があります。魔物化の一歩手前で“麒麟蔓”が出ます。あの絡まってる紐みたいなのですね。これは道具を作る際によく使います。そのまま使える丈夫な繊維が取れるのが特徴ですね。ですが、魔素を含むので、出来るのであれば子供には扱わせたくないのですが、グローリアさんなら大丈夫でしょう。取ってきて下さい。」


 俺は窪みに生えている絡まった蔦を採取しに森の獣道を僅かに下る斜面へと向かっていく。……師匠の意図を汲みながら。


 麒麟蔓の生えている窪みの3m手前で停止して、鋭利な石を拾い集め、足元に10個程配置する。加えて1m程の木の棒を拾って側の木に立て掛ける。


 第1投、振りかぶって投げましたッ!


 ガサッ!


「グゥルゥオゥ!?」


 ストライクッ!良いスライダーが決まりましたッ!


 俺の投げた横回転の石は麒麟蔓の生い茂る2m程のブッシュの中に勢いよく突き刺さった。スライダー回転は石の鋭利な面を刃物の様にして接触したモノを衝撃と共に切り裂く。


 切り裂かれて麒麟蔓の影から飛び出したのは深い皺の刻まれた木乃伊をより邪悪にした様な顔の1m40cm程の亜人系の魔物。


 ――――土鬼(ゴブリン)。それは魔素の溜まる土から生まれる魔物である。雑食で色々な物を食べるが、排泄はしない。食べたら食べただけ大きくなり、運動と共に体積を減らしていく。妊娠してより体積を増やしていくと子供を産む事がある。


 妊娠が可能な雌の個体は数千分の1でしか産まれないが、この雌が産まれて集落を作ると爆発的に増える事がある。長く生きると知恵をつけて道具を使い始めるので、武器を持った土鬼(ゴブリン)の村が出来ると、被害が出る事がある。複数の雌を女王とする集落に武器を持った土鬼(ゴブリン)の軍隊が集まると、かなりの力が集まる事になるので、定期的な駆除が望まれる。


 戦闘力(フィジカル)は10歳前後の子供と変わらない程度だが、知能は4歳前後の子供と変わりない。年月や濃い魔素の影響を受けると大土鬼(ホブゴブリン)となって戦闘力を増す事がある。


 倒すと暫くして身体の大部分が土に戻る。その土は栄養が豊富な為に、畑に誘い込んで駆除する土鬼(ゴブリン)農法なる物もある。


 コーデックスより。


 つまりは俺の逆バージョンだな。身体は10歳頭は4歳。それならまぁ条件が整っていれば闘うのは易い。


 条件その1、先制攻撃である事。

 条件その2、4発以上投石で弱らせる事が出来る事。

 条件その3、接近戦は道具対無手で行う事。


 ……そして、ピンチに駆け付ける大人が居る事。


 俺は次々と鋭利な石を回転を掛けて土鬼(ゴブリン)に向かって投げ付ける。初めて水包(スライム)を狩ってより時々鍛えていた投球フォームから放たれる遠距離投石は戸惑う土鬼(ゴブリン)の身体を次々と削り取っていく。不意打ちの混乱から回復し、ようやく俺を敵と認識した土鬼(ゴブリン)は俺へ向かって疾走する。


 傷を負って混乱して俺に向かって走ってくる土鬼(ゴブリン)の顔面にカウンター気味に石をぶつけた後、直ぐ様木の棒に武器を持ち替えて、遠心力を溜めて土鬼(ゴブリン)の顔面を打ち抜く。


 ……ファールゴロ。


 土鬼(ゴブリン)の首は折れて床に転がった。


「お見事です。グローリアさん」


「いえ、師匠の教えが的確だからです」


 これはお世辞ではなく、この師匠の教え方は社畜的には良い教え方なのだ。「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、揉んでやらねば胸は育てじ」とは民明booksの山本ナグルス先生の発言だ。そこまで至れり尽くせりだと人は腐る。実れば胸も垂れる。


 基礎を少し教えて、適度に考えさせて現場に放り込む。それは最高ではないが、まぁ一種の至高の育て方だ。


「遠距離での土鬼(ゴブリン)の倒し方ですが、こう言う物もあります」


 師匠は麒麟蔓の蔦の葉をしごいて紐を編んでいく。そして、その紐で鼻の収まる部分のない目隠し安眠マスクみたいなものを編み上げる。


「見ていて下さいね」


 師匠は編み上げた布紐に石を包んで振り回す。それを一際強く振り回した瞬間手を離す。


 ドゴゥ!


 20m先の茂みから聞こえた音である。


 俺が投げた石の倍ほどもある石をかなりの速度で放り投げるそれの名前は……


「投石布と言います。慣れれば命中率は90%を軽く越えます。威力は今見た通りです。行ってみましょうか」


 師匠と歩いて石の命中した場所に向かうと、首から上の爆散した土鬼(ゴブリン)の死体があった。


「私が狩人の五感を使えば100m前後の魔物はほぼ確実に探知出来ます。人間は出来ませんが……。まぁ人間は人間の感知方法はあると思います。ともあれ、今日学んだ事を使えば、西の森の入口から20km圏内なら安全に採取が出来ます。空いた時間に研鑽を積んで下さいね」


「はい!」


 実に頼もしい師匠だ。



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