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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 前編 聖別幼育園へようこそ!
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第11話 右往左往

「おはよー! チロリ=ツンパカブリエルちゃーん!」

「おはよぉー! グローリアちゃん!」


 ドタドタドタ……。バタバタバタ……!


 うむ、今日も子供達の騒がしい足音に癒される。


 さて、結局俺は魔法を覚えられない振りをして数日間逃げ切った。すると、何故か突然クロスアーミー先生の授業は歌の授業だけとなった。


 どうやらハイパワー・ナグルス先生の猛抗議で魔法の授業は延期になったらしい。それもそのはず、俺達は誰1人として魔法は使えないのだから。恐らく当初の予定は文字を覚えたという事で「魔法に親しむ」程度の単元の授業だったに違いない。それをクロスアーミー先生が使える子達を捩じ込んで無理矢理魔法を覚えさせたのだ。何となくその辺は想像が付く。


 しかしまぁ、されとて4歳児。単純にMPが少な過ぎて火矢(ファイアアロー)すらマトモに撃てんのだ。そこに来ての猛抗議でクロスアーミー先生が折られたのは想像は付く。


 これでやっと落ち着けるか?


「おちちゅけゆか?」


◇ ◇ ◇ ◇


 ……MPについては一般的なゲームと似たようなモノなのだが、一応お復習(さらい)しておくと、MPは魔法点(マジックポイント)の略で、身体の中にある奇跡を起こす事が出来る光の粒の点々の数を指す。この粒は自身の魂から泉の様に湧いてきては身体の中の貯まっていく便利な粒々なのだが、最大数(最大MP)を超えない様に貯まっていく。


 最大数は使えば使う程増える傾向にあるが、年齢や身体の大きさにもよる。何もしなければ年齢+1~10粒程となる。魔法使いとして使い込むならば更に+10~100程の幅で鍛えられる。


 一般的に、身体の一部を強化したければ意識を集中させてそこに粒々を持っていって強化する事が出来る。単粒強化(シングルエンチャント)と言うんだが、この辺何かは誰でも使える。大体1~5%位は能力が上がるとか上がらないとか。


 そして、ゲームとかでの扱いと違う点としては粒に大きさや色があるという事。粒が大きいと同じ1MPであっても魔法の効果が高くなる。そして、その色は同じ属性の魔法を使う際に色々な恩恵があったりする。


 魔法使いとしては「粒が大きい」「粒に色がある」「粒の回復が早い」「最大数が多い」この辺りの能力がモノを言うようになる。恐らくチロリ=ツンパカブリエルちゃんのMPは青色が混ざったり、青オンリーの可能性は大だと思う。水の天使だしね。


 設定集知識でした。


「そうなのー?」


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺は主導権をグローリアに渡しつつ頭の中のアニソンの整理をしていた。


 ガラガラガラ……。


「気を付けピッ!」


「おはよーございます!」


「「「おはようございます!」」」


 珍しい事に、入ってきたのはハイパワー・ナグルス先生だった。


「えー、急な話ですが、皆さんには職業体験をして貰いたいと思います」


「職場経験?」


 また訳の分からん事を……。


「皆さんは、今は幼育園で暮らしていますが、将来必ずしも神官になるとは限りません。ですから、他の仕事を体験しておく事も大切だと先生は考えました。なので、次の安息日から土曜日日曜日に、街のお仕事をお手伝いして貰います」


 うーん。子供達を兵士にしたくないあまりに暴走したか。通りでここ数日見なかったんだな。何と言うか、教会としては実質金貨100枚で俺達を買ってる訳だから幼育園を卒業しても帰れる保証はないだろうに。30人小隊を指揮する様な隊長を武装込みで一生涯雇っても金貨100枚だと足が出るからな。


 まぁでも、園の外には興味があるから嬉しいではあるんだがな。……出ても大丈夫かな?


「その代わり、月曜日がお休みになります。月曜日は先生とクロスアーミー先生は街の外のお仕事がありますので、幼育園にケツワレール先生しか居ません。何かあったらケツワレール先生を頼って下さいね」


「「「はーーーい!」」」


 ほう、と言う事は色々とチャンスじゃないのか?


「じゃなひのかー?」


「という訳で、今日はお店やさんのお仕事のお話をします」


 ハイパワー・ナグルス先生は紙芝居を取り出す。


「これは?」


「八百屋さんー!」


「これは?」


「靴屋さんー!」


 うーん。実に平和だ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 すったもんだで安息日。土曜日ですよ。


 俺達は街を彷徨(うろつ)く許可を得て、衛兵の行ったり来たりする街を2人1組で歩く。


「楽しいね! グローリアちゃん!」

「そうだね! チロリ=ツンパカブリエルちゃん!」


 街は聖別幼育園への行きの馬車に乗って通ったままの姿だった。


 道々に溢れる人々は複数色に染色された着物を着ている。女性はクリーム色のフードをにエキゾチックな一枚布のサリー。男性の商人は小豆色のエプロンを着けた和服姿。金糸の入った白いワイシャツみたいな服と黒いスカートを着て足元は革のサンダルなのは貴族だそうだ。


 因みに俺達は白い一枚布を頭から被っている子供が好きそうな幽霊布ファッションだ。無論顔のところは穴が開いている。


 中心街の町並みは煉瓦作り。職人と貴族が多く住んでいるとか何とか。そこから外れると木製の建物が増えてくる。宿屋や商店とか延焼性の考慮よりも居心地の良さを追求する為の建物は街の外側にある。大変なこって。


 そして、革鞣し職人や鍛冶屋等のにおいが出たり音がうるさい職人は西側に多いらしいと誰かかが言っていた。


 さて、今日は何処に行こうか?


「どこにいくー?」


「グローリアちゃんの行きたいところー」


 うーん。まいったな、個人的には職人に興味がある。


 だが、グローリアの手前、職人になりたいなんて言えない。チロリ=ツンパカブリエルちゃんは恐らくお店屋さんで働きたいのだろうが、俺が行きたいのは職人街……。


「じゃあしょくにんがいにいこー?」


「いいよー。どおこー?」


「だってよー、どこなのそこー?」


「?」


 西だ。西へ向かえグローリアよ……。


「にしー、お日様の沈むとこー」


「あっちー」


 俺達はずんずんと西へ向かって進んでいく。


「この辺でいいかなー?」


 チロリ=ツンパカブリエルちゃんは煉瓦作りの八百屋さんを見付けて飛び込んでいった。


 さて、俺はどうするかな……。見渡すと1件通りを挟むと西側は職人街だった。その職人街の1件目に気になる看板がある。

[武器屋][防具屋][補修][鍛冶][被服]

「YOROZU修理店」


 ほう。


 店の大きさは他の店と一緒だが、他の店には1つしか付いていない看板が5つも付いている。かなりの欲張り屋さんだな。


 俺はチロリ=ツンパカブリエルちゃんに声を掛けてYOROZU修理店の暖簾を潜った。


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