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“偽天使転生”~社畜編集者の異世界成り上がり録~  作者: 林集一
聖の章 EX編 都市国家郡と祈りの道Ⅱ
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第93話 戦後処理その2

 俺は追加の薬を作りに行った山から帰ると、雨は止み、陽は暮れ掛けていた。南門の外に作られた野戦病院に薬を届けると、苦い表情で感謝された。安宿に戻ると、ルルーシュイン達は夕食を食べずに待っていたらしい。何故か弓傭兵達も居るので寿司詰め状態だった。世話になったし、タダ飯くらいは出してやる。


 元々全員無事と報告は受けていたが、詳細報告を聞くに社畜隊の面々に命に関わる重傷者は居ないらしい。めくらのメッキーが両腕と頬から耳にかけて貫通の槍傷を負って、ポールダンサーと老兵が顔面他複数箇所に盾撃やらを受けてひどい顔になっていたのと、他は骨折疑いだの裂傷だのが多数。キュアスパルタカスとルルーシュインも軽傷だが傷を負っており、MPを限界まで使っていたのでグッタリしていた。


 そして、弓傭兵は完全に無傷だった。それは前衛の社畜隊が耐えきったからだと言う事でかなり感謝された。傭兵の長曰く「見た目は頼りないが根性はあるな」との事。やはり自分の部隊を褒められると嬉しいものだ。何かあれば格安で雇われてやるとの事だったので、今回の料金に上乗せして魔法都市グルグルに払って貰う事で3年後の夏至の日に40人全員を予約した。


 そして、座る席もない状況の中で床や机に食べ物を盛り、もさもさと食事を始める。


「みんな無事みたいだな。それを嬉しく思うよ」


 ……と、顔を見渡すと見慣れない男が居た。


「……所でコイツは?」


「お前が赤マントの親分のコーディか、近くで見るとまさに4歳児だな。ところでチン毛生えてるか?」


 だが、確か……見た事はある。


「生えてない。お前は剣盾部隊の百人隊長だな。結局終戦までルルーシュインと戦ってたのか……」


「そうだ。この赤マント野郎は中々しぶとくてな。ところで精通はまだか?」


「まだだ。で、何故お前が此処に居るんだ? 今、魔法都市グルグルには腐るほど人手が必要な筈だろ? 早く帰れよ」


「はっはっは、所が残念ながら反逆組は居心地が悪くてな。今はユータナカ十人隊長が残った軍を仕切ってるが、百人隊長(オレ)が居ると何かと都合が悪そうだからな。抜けてきたんだよ。一応軽装弓兵の百人隊長も居るには居るが怪我人だしあいつァ百人隊長にしては弱いからな……。ところでホモだと聞いたが本当か?」


「違う。……つまり、社畜隊に入隊希望って事か?」


「そうだな。あと、俺はお前がケツの処女を失ってるって聞いたんだが、それは本当か?」


「本当だ。入隊を許可する」


「すげーなおい、よろしく頼むぜ。ってか相手は誰だ? あのクロスアーミーって髭野郎か?」


「…………そうだ。よろしく頼む」


「ヒュー、やべぇボスを持っちまったな。俺はキングコブラ・クリボーってんだ。宜しくな。……ところで俺のケツ狙ってない?」


「狙ってない。よろしく頼む」


 ……こうして、ルルーシュイン、キュアスパルタカスに並びそうな戦闘力を持つキングコブラが仲間になった。裏切った経緯を聞いたら、「俺は裏切ってなんかいない。元々七百人隊長にしか忠誠を誓ってない」と答えたので、「俺に忠誠を誓え」と言っておいた。すると「分かりましたぜボス」となった。


 俺は支軍の長、だが、必ずしも正規軍と考えが合うとは限らない。もしかしたら正規軍を率いるクロスアーミー先生と戦う事も有るかも知れない。忠誠は俺個人にしてくれるってんならこれ以上の人材は居ないだろう。


 年俸はウチのみなし百人隊長と同じルルーシュインとキュアスパルタカスと同じとして扱う事とした。


 そして、ユータナカ十人隊長が訪ねてきた。七百人隊長を蹴り倒した後にそのままMP切れで昏睡してからだろうか、真実の顛末を知らない様子で、やたらと俺に感謝していた。王様は俺が殺したようなものなのに。


 そして、助っ人のお礼として七百人隊長の長剣と魔導具の盾と腕時計を貰ったので、そのままスライドしてキングコブラに渡した。どうやら剣は氷結の長剣(フロストロングソード)と言う冷気を呼ぶ鋼鉄製の魔導具で、盾はあの天蓋が出てくる天蓋防御魔法スキンシェルドの魔術回路が刻まれているミスリル製の魔導具らしい。あと腕時計からはMPを大量消費して金色の土鬼(ゴブリン)の100分の1位の威力のビームが出るとの事、しかしビームを撃つ10秒位前から金属音みたいなのが酷く出るらしく不意撃ちは出来ないそうだ。うーん……、何じゃそら。ともあれ盾と時計は準戦略魔導具らしい。だが持ち主のキングコブラのMPの問題で天蓋防御魔法スキンシェルドは3ヶ月以上MPを貯めねば使えず、ビームも10日は貯めなきゃならんらしい。


 ……しかし、戦力としては結構得られたのではないかと思う。装備を含めると多分、ルルーシュインとキュアスパルタカスとキングコブラは百人隊長相当として、ほぼ並ぶかもしれない。とすれば既にこの時点で……ロンドヴルームの戦力に相当する力は有るかもしれない。



 ◇ ◇ ◇ ◇

 土鬼(ゴブリン)女王クイーンの討伐計画を話し合うべく机に街で買ったこの辺の簡単な地図を広げた。


「まだ終わってない……だと?」


 キングコブラは頭を傾げた。


「此処に土鬼(ゴブリン)女王(クイーン)が潜んでいると思われる場所がある。そこを数日のうちにでも強襲する。何だ、七百人隊長は土鬼(ゴブリン)女王クイーンと組んでたんじゃなかったのか?」


 俺は疑問を口にした。


「七百人隊長は知り合いが魔物を操る術を知っていると言っていたから今回(奇襲作戦のとき)は逃すと言っていた……。だから土鬼(ゴブリン)女王クイーンを倒した振りをする……と。この知り合いって、もしかして今回のクーデターに関わってたりする?」


 そんな事を言われても分からんとしか言いようが無いな。


「わからん。誰かが操っていると言うならそいつも倒す事になるだろうな。魔物を操って街を襲わせたんだ、ろくでもない奴だと言うのは判る」


「コーディ隊長、とりあえず社畜隊の怪我の具合もあるから明後日迄は待とう。ポールダンサー辺りは明日顔が腫れて動けない筈だ。それまでに少しこちらでも土鬼(ゴブリン)女王クイーンの巣を探ってみよう」


 ルルーシュインの提案で、一旦難しい話しは無しの方向になった。


「だな」


 ◇ ◇ ◇ ◇


 翌日、社畜隊の半分くらいがガッツ某松みたいな顔をしていて動けなくなっていたので、幾らかヤバそうな奴を医者に見せた。するとポールダンサーは鼻と頬骨が折れてた。他の奴もうぅうぅ唸っており、興奮から覚めて痛み出したのだそうだ。結構悲惨な顔をしている。顔は素手で殴られるだけで腫れるのだ。槍や盾で殴られたらそりゃそーなるわ。


 とりあえず怪我の様子を見て決行日は1週間後となった。


 だが、どの道今回はポールダンサーとめくらのメッキーはお休みになりそうだ。


 そして、その休みの間は土鬼(ゴブリン)女王クイーンの巣? の様子をルルーシュインとキュアスパルタカスとキングコブラの3人が交代で見張る事となった。


 吉報もある。決行日は弓傭兵の皆さんも一緒に行って貰える事になった。勿論料金は魔法都市グルグルにツケてもらった。


 ヒヒヒ


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