部活編④~部活を楽しもう!~
着ぐるみを着て、思ったことそれは中が暑いということ、そして視界が狭いということだった。
「おい、まだ着替え終わってないのか?」
「着替え終わったけど、前が見えねえんだよ!」
「はぁ?どういうこと?」
「あー、左右の穴両方から覗くわけじゃないよー、かたっぽから覗くんだよー。ごめんねー、さすがに分かると思って説明してなかったー♪」
おい滝山、さらっと馬鹿にするな。
まぁ、外の見形はわかった。じゃあ外の世界出てみるかと思い、出てみようとすると無理だった。俺の部屋から出たくないという引きこもりsprintのせいではない。
「おい、この手じゃドア開けれねえよ」
「足で頑張りなさい」
「はっ???」
「わかったわよ。開けてあげる」
「サンキュー、っておい!」
そのとき、俺は頭の部分をドアにもたれかかせていた。その次に、急に光風が、ドアをあけた。頭の部分はもたれかかったままです。さて何が起こるでしょう?
「「うわぁーー」」
直後になるドシンという音。だが、そんなことは問題ではない。問題は…
「おい、貴様いつまで私を押し倒しているつもりだ!」
「わ、わるい」
だが、焦ったせいか、うまく立ち上がれない。
「こんの、変態!」
「うげっふ」
ちゃんとこんなときでも急所を蹴ってくる、光風さんさすがです。ていうか、よう蹴れたな。
そんなこんなあったものの、ちゃんと視界も確保でき出発することになった。っつか、押し倒したっていっても生身じゃないから全然何も感じなかったし、何か損している気がする。というか損してる。
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同時刻、商店街アーケード前
地元テレビアナウンサー「こちら、○○商店街、アーケード前です!今日は、今まで、3人しか公開されていなかった○○町ゆるキャラ、〔4人の愉快なトランプたち〕最後の一人、スペドくんが出てくるようですよー!お楽しみにー!」
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「あぢぃー」
「うるさい!学校より外に出たらしゃべったらダメよ。近頃ある、喋るゆるキャラとは違うんだからねっ!」
「あなたの声のほうがうるさいんですけど……」
それからは、黙って黙々と歩いていると商店街についた。一人で歩くことは得意なので、誰かと歩いている時に喋らなくても苦にはならなかった。むしろ、気を使わなくてよかったぶん楽でさえあった。
「あーっ、あちらの方から歩いてくるのは〔4人の愉快なトランプたち〕の皆さんじゃないですかー!?」
なんだ、あのバカそうなアナウンサーは、と思っているとそれが近づいてきた。
「4人の愉快なトランプたちの皆さんですよねー?」
前をあるく光風…今は黒豆さんか、いや黒髪さん、まあ黒○さんがお辞儀をしたので、とりあえず会釈をしたのでとりあえず体を傾ける。
「スペドくんはその子ですかー?」
光風がクローバー、黒川がハート、滝山がダイヤだったから、スペードは俺か?と考え、手を上げると、
「どの辺がスペードなんですかー?」
しらんがな。てか俺は自分がスペドくん、着てるとこ見たことねえんだよ。それぐらいわかれよ!
「んっ?んっ?自分の?姿を?鏡で見たことないから?わかんないそうですー。では、現場の深山からでしたー」
という茶番をして帰っていった。やっぱりローカルでもテレビはテレビなんだな。茶番とやらせは得意技ってか?
「では、こっちにー」
なんか、聞き覚えある声だなと思ったら、母親だった。なんか前商店街のアルバイトしてるとか言ってたなー、……ヤバイバレタラドウシヨウ。
ばれないようについていくと、そこにはテントがあった。お祭りの時にある、運営のあれである。
「では、しばらくごゆっくりー、ステージの時間になったらまた呼びに来ますー」
母親はテントから出ていった。
「いったん、頭のとことっていいわよ」
ありがたく外させて頂く。
「どんな感じだったー?」
「暑いし、蒸すし最悪だ。てか、お前らよく行けるな」
「うん、冷えピタはって、保冷剤つけてるからねー♪」
ん?なにを貼ってるって?
「あれ、部室にありませんでした?」
「なかったんだけど…」
「あっ、ちょうど3セットしかなかったんだった」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
「あっ、次からはもってきてあげるからー♪」
俺の人権はなくなったようだ。ああ、元からなかったか。っつか結局美味しいコーヒーとやらも飲めてねえし
「おい、目が死んでるぞー」
「ドウセオレナンテオレナンテ、しんだ方がいいんじゃないか」
「そんなことないよー、ごみにんげn…ゴミ拾いとかには役に立つしねー♪」
人権がないことを再確認したところで出てこいといわれ、出ていった。だが、俺は忘れていた。スペドくんは人気者といわれていたことを。てか、人気者じゃなくて、初登場だったんじゃねえか。そりゃ人が集まるわな、とあとで思った。後の祭りである。
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どうも、今日は商店街のお祭りなようだ。もともとある店のほかに、金魚すくいやわたあめの屋台が出ている。
「あーっ、トランプくんたちだー」
「ままー、あれかわいいねー」
「そうだねー」
などという平和な光景を横目にステージとやらに向かう3人(匹?)。
「おまえ、なんだよ。初めてみるなー!」
「生意気な顔しあがって、なめとんのか?」
「翔ぅー、これくさいんですけど~」
「ほんとっにくっせえな、マジ受ける」
「ままー、あれはへんだねー」
「本当のことはゆっちゃいけません!」
という、地元の不良(笑)や親子連れに、温かい言葉をかけられつつ、進む俺。しかも、新しいゆるキャラということで、いくら変といっても人が集まり熱気がすごい、正直気持ち悪い。道開けろよ、ほんとに。3人と離れちゃってるし。
しかも、一つ気付いた。
「(ステージでなにやるんだ?)」
人の熱気と近い未来への心配で、うずくまりそうだ。多分人生で一番つらい。いや、一番つらかったのは自分では仲良かったと思ってた奴が名前間違えたことだな。なんだよ平井くんって。誰なんだよ。
爆弾を爆発させ終わった時に、ステージらしきものにたどり着いた。
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ステージといっても、そこは地元の商店街のお祭り。そんな大層なものではない。一応、地面からは一段あがっているがそれだけである。
「スペドくんは、こっのテントにお願いしまーす」
また、母親の声がする。母上は、何係なの?もしかしてゆるキャラ係とかじゃねえよな。
アーケード前のテントと同じようなテントに入ると、3人がいた。
「お疲れー♪」
「お疲れです。」
「汗だくじゃん。くさい」
ひどいのが約一人。
「うるせえ、くさいのいやだったら鼻づまりにでもなれ。」
「鼻づまりでも臭いのあるよねー♪」
「お前は私に臭いにおいをかいでほしいのか?」
「なんで、俺が変態あつかいされてんの?俺は異常性癖ないし」
「そこ自慢気にいわれても困ります。」
うるせえ、余計なお世話だ。そういや、そうだった。
「てか、ステージってなんかすんの?」
「いや、なにもしないよー、ただ商店街のお偉いさんと市長の話を30分ぐらいきくだけだよー♪」
「もちろん、着ぐるみきてだからな」
ちょっと待って~!流石に俺限界ですよー!
「まぁ、頑張ってねっ♪」
人生の理不尽を知り、ちょっと大人になったときだった。
そして、15分後市長の話の途中スペドくんは急に倒れたゆるキャラとして、ちょっと町の話題となり、しかもその時俺は親に介抱されたせいで、スペドくんの中の人だということが親にばれてしまって、暫く家でからかわれ続けることになる。
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なんか、頭がくらくらする。あれっ?ここどこだっけ?
「「「献杯」」」
「ちょっとまて、俺は死んでない」
「うわぁ!?生きてたー!?」
「ゾンビみたいだねー♪」
「熱中症で倒れたんですよ。まだ、休んでてください。これアクエリアスです。」
正論を言われアクエリのんで、再び横たわる。ああ、そうだ。俺市長が水分補給の話をしてるときに倒れたんだった。縁起わりいな。
「あの時に倒れて大丈夫だったのか?」
「あんまし大丈夫じゃなかったけど、市長がアドリブでなんとかしてくれた」
「いや、そうじゃなくてその後のこととか?」
「あれで今日の仕事は終わりだったからな。」
ん?いま変なところ強調した?
「明日は、市街一周パレードがあるよー♪」
「しっかり体休めて明日に備えろよ」
もう、俺この部活やめたい。そういや罰ゲームだった、忘れてた。と考えた時にふと気付いた。あれっ?俺この部活結構楽しんでる?
「じゃーね♪」
「また、明日。今日はしっかり寝てくださいね。」
「ああ、わかった。お疲れ様」
「お前が一番疲れたと思うんだがな、お疲れ」
といい、3人は帰っていった。まあ、部活なんて入ってても入ってなくても同じか。なら、本入部しようと決意した。
第一部完
平野仁の新しい人間関係
1.部活メイト:光風、滝山、黒川との関係(変動の可能性あり)。
2~10.???
やっと第一部完結しました。読んでくださったかたはまた第二部以降も読んでください。よろしくおねがいします。