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bloodAseed  作者: 伊織
5/9

05現状説明をされる



猫は言う



曰く、神から授かった力とやらで俺を引きずり込んだ。

曰く、勇者が黒いのはコチラの陣営だと明記する為。

曰く、俺が幼女になったのは聖女一人分の肉だと不足したと。



肉不足は猫つまり魔王が肉体を得るのに使っちゃって足りなくなっちゃった、テヘペロ☆だった。


「ふっざけんなあああああああああああああ!」


猫の頭部を両手で掴み力の限り左右にブンブン振り回す。


「 ブ…ブニャアァ…! 」


可愛くない鳴き声あげるな、元魔王猫!

勇者は何してるって?俺の隣でぼーっと座ってるよ!畜生!


猫の分かり難い説明を根気よく一つずつ頑張って聞いて、質問して理解して、その間も勇者は平然とお座りしてたよ!何この動じない、慌てない、騒がない奴。逆に怖いよ!


俺がゲームだと思って遊んでた世界は実在してて、神々の決闘場所として使われてるなんて信じられるか!差異は多少あるみたいだけどゲームの世界が実際有るなんて話、どこのラノベ系ですか。

そしてこの猫、魔王の神はいじめられっこと言っても過言じゃないくらい弱くて、他の神から決闘とは名ばかりのフルボッコされてるなんて、聞きたくなかった。どう足掻いても絶望からのスタートじゃねぇか、やってられない。



「 ブニャ…ワタシノ神ハ…特殊デ… 」





……

………


いじめられっこ神の力とやらは、少しでもこの魔王に味方した奴を問答無用で自分の味方へと転換させる能力だそうだ。ウワー何それ怖い。


魔王がトリガーで発動する分マシなのかマシじゃないのか…。味方って言っても自由意思は残ってるらしいから余計恨まれそうじゃないか、その能力…。


色んな制限もあるらしいけど、ゲーム自体そろそろプレイする人間が減ってるから俺みたいに引き摺り込まれる奴はもういないかもしれない。つかフルボッコされ続けた結果知恵を絞って自分の味方を増やそうとした結果ゲームとリンクさせちゃえー誰でも良いからボクを助けてー、(猫いわく)だからな…神よ、そこまで追い詰められてたのか…。神々の世界も世知辛い生き辛いんだな…。


重要なのは初見で魔王に味方しちゃうこと。これがキーポイントらしい。


俺やらかしたかやらかしましたか。普通はそうだよな、初見で魔王に味方するような行動とらないよな…。王道系RPGやり慣れてる奴なら周回後とかにはしそうだけど、初見でーとかよっぽど捻くれてる奴意外やらないよな…いくら味方陣営がクズでも…。

後、俺が居た世界では俺は寝てることになっている…らしい。この元魔王猫が神とやらと交信?しているのか質問する度に返答に少しタイムラグがある。その神とやらは姿をみせないのか、一発殴ろうと思ったのに。

信用は出来ないけど現状戻る術が無い俺にはどうしようもない、この魔王の神が力を取り戻せればその時は帰れるかもしれない。希望的観測ってやつだ、本当にどうしてこうなった…あの時魔王を倒していればこんな目には合わなかったと思うと


「 ビニャアアァァァ 」


頬の肉を思いっきり左右に引っ張るくらい許せ、元魔王猫。






◇◇◇







「 モウ時間ナイ 」


色々解ったこと、解りたく無かった事を一通り猫から聞き出して、溜息を吐いた俺に猫が言う。

隣で座る勇者は無言だ。いや、話せないと言うべきか


「 勇者ノ 名前 呼ブ 」

「それで、この暗い空間から出れるんだな?」


猫はこくりと頷く。俺が作り上げた彼、勇者の自我を定着させて、ブラッドアシードの世界へと移動する為に必要な事なのだそうだ。

名付け無かった場合どうなるかって、興味本位で聞けばこの暗い世界はあくまでも暫定的な場所で、移動しなければ此の儘閉じ込められて、その内俺も猫も勇者も呑み込まれて消滅する…なんてことを軽い口調で猫に言われた。

制限時間は賞味一時間も無い模様、もう乾いた笑いしか出ない。

信じる信じないはこの際棚上げしてもこの空間から早く出たい。暗い所は誰だって好きじゃないだろ。


「そうか、じゃあ」


俺は呟く、彼につけた名を、ありふれた物語で良く耳にする名前を


「ユリウス」



子供特有の高い音が響いて

暗い世界が割れた。


白く筋状に輝いた光の線、音もなく周囲の闇がヒビ割れて、光に呑まれる。眩しさに目を瞑る刹那、ふわりと抱き上げられた感触。勇者、いやユリウスが幼女姿の俺を軽々と片手持ちしたみたいだ。

続く猫の驚いた声で猫も持ち上げられたかもしれない。閉じた目蓋の裏でも分かるくらい強烈な光。平衡感覚を失いそうな身体が無意識に支えを探して、何かを掴んだ。多分ユリウスのコート辺りだろう。見えないから解らないけど。



「怖くないよ」



囁いたのは誰だったのか俺か、猫かそれとも彼か。



そして俺は知らない世界へ移動した。




今回は短め。

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