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遺稿  作者: 緋色友架
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第逸章 さよなら(小夜奈落)


 夢を叶えられないなら死んだ方がマシだ。

 最初は幸せな人生だったと思います。優秀なのが間違いでした。私は勤勉な愚昧であるべきでした。意味を考えるべきではありませんでした。意味なんてありませんでした。生まれたから生きているだけでした。人生は惰性でした。不承不承でした。渋々でした。嫌々でした。夢がありました。叶えられませんでした。潰されました。味方はいませんでした。敵すらいませんでした。相手にされませんでした。話になりませんでした。切り捨てられました。親にも捨てられました。詰られました。お遊びだと言われました。殺されそうになりました。生まなければよかったと言われました。死ねと言われました。殺してくれませんでした。下らないと蔑まれました。やめろと命じられました。隠しました。褒められました。嬉しくありませんでした。それでも喜びました。喜ぶ振りをしました。嬉しい振りをしました。私は笑顔でした。裏では泣いていました。誰も気づきませんでした。私のことを褒めました。いい子だいい子だと褒めました。よかったのは私ではなく都合でした。傷つけられました。糾弾されました。誤解されました。話を聞いてくれませんでした。黙殺されました。黙れと殴られました。死ねと侮られました。殺すと脅されました。誰も殺してくれませんでした。真面目だったのは間違いでした。実直であるべきではありませんでした。感謝されました。偽りでした。優秀だと言われました。都合のいいお人形でした。人権はないのだと言われました。人生を無視されました。搾取されました。他人が楽をする為の道具でした。使われました。使い潰されました。表面上の感謝もありませんでした。利用されるのが当たり前でした。使い捨てられるのが日常でした。助けを求めました。無視されました。泣きつきました。キモがられました。ウザがられました。寄るなと言われました。離れていきました。奪われていきました。なにもありませんでした。なにも残りませんでした。夢に逃げました。目標に縋りました。人生に意味をつけたいと思いました。思ってしまいました。愚かでした。忌むべき愚かにしかなれませんでした。保育園でいじめられました。小学校でいじめられました。中学校でいじめられました。高校では疎外されました。大学では独りでした。バイト先でこき使われました。同僚にゴミのように扱われました。憎もうとしました。奴らと同じになりました。嫌でした。だから人間全部を憎むことにしました。憎みました。呪いました。疲れました。潰れました。夢が。殺されました。叶わないと知りました。求められていないと知りました。要らないと言われました。切り捨てられました。なにかが壊れました。どうでもよくなりました。血は赤でした。痛いは気の所為でした。我慢は必要でした。恐怖は不要でした。血は黒になりました。傷が痛みました。死が近づきました。なにも感じませんでした。生きたくありませんでした。飛び降りるのは簡単でした。


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