7 テスト明けの朝【聖】
GWは各自無難に過ごしました。
高校生活初めてのまとまった休日は、部活と課題に忙殺されます。
慣れてくると、もう少し余裕も生まれるのでしょうが。
友人との関係も深まると、遊びの計画も立てるのでしょうが。
そして、先週末には、二日間かけて5教科7科目+αの中間テストが行われました。
先日、学校では一学期の中間テストが行われた。
成績によりクラス分けがなされるこの学校において、一回一回の定期テストが、来年度のクラス分けに影響が出る。
そのため、クラスアップを狙う学生の多くは、今日からだんだんと返されるであろうテスト結果を前に、鬼気としていた。
【聖夜side】
…今日からか、テスト返却。
…せっかく迎えに行ったのに、アイツもういないし。
俺が勉強のために早く登校してたときは、後から来てたのに…
さては、テストも余裕かよ。
……こっちは、またアイツと同じクラスになりたくて必死なのに。
「あーあ…」
思わずため息がでる。
「どーした、白河。朝から辛気臭いやん。」
…コノ声は…
「はよ!白河。今日は一人やん。珍しいなぁ。」
やっぱり。
今年同じクラス…そして隣の席になった葵さんだった。
「んー、まぁ…な。」
「…ま、えっか。一緒に行こかー。」
俺があんまり話したくない話題だということも察してくれて…良い奴だ。
元気で明るくて、…でも少し気が強くて。
一部の人間には嫌われてるみたいだけど、それは特殊で。
基本的に、男にも女にも皆から好かれてる。
それに、こうやって気遣いもできる奴だから、一緒にいて楽…というのか。
「…そういえば、今日は茉莉花も家早う出てったわ。なんや、一組は朝集まりがあったのかもしれへんな。」
「へぇ…そっか。そうなんだ…」
良かった。
…まさかとは思うけど、アイツに避けられてたらどうしようかと思った。
「…なぁ、白河。」
葵さんの目付きが、気のせいかどこか怪しげだ。
「ん?」
「…白河が前に言っとった好きな子ぉって…いつも一緒に来とる二人のどっちかやろ。」
「え…」
いきなり何を言って…
「やっぱ当たりか。」
「なんで!」
なんでこうも分かるんだよ!
「だって、白河分かりやすいねんもん。」
「マジ?」
「ちょっとな。」
…前は、「結構冗談…」だったのに…。
「ホントに?」
「何が。」
「…本当に、俺、分かりやすいか?」
「……そやなぁ。自分の目には、そう見えたで。」
「マジかよ…」
そんなに分かりやすいのか?
……んなわけねぇよ。
だって、本人は…気付いてないんだから。
「…その子のこと、長いんか?」
「…うん。小学生のころから…」
「…なら、竹内さんの方か。」
「な!」
嵌められた…!!
…こうなったら、自棄だ。
「あぁ、そうだよ。」
「ふ~ん。」
「なんだよ。」
ずっと片想いしてる俺を、呆れるか?哀れむか?嘲笑うか?
それとも…
「ええやん。」
「え…?」
「なんか、ええやん。そういうの。…すっごい好きな人がおるって…いいことやと思うし、大事なことやと思う。」
…笑った。
「…五年以上の片想いだぞ?」
「へぇ…すっごいなぁ…」
葵さんの目には、さっき俺が考えたような感情は無くて…
ただ純粋に、そう思ってくれてるんだって、わかった。
「その気持ち、大切にしたってな。…自分も応援するで。」
だからかな?
「…ありがとう。」
あんなに素直に…お礼の言葉を言えたのは。
【聖夜side End】
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本日2話更新・・・したいのですが、この日は1日に3つも出来事があるため、そしてまた間が少し空くため、同じ日に起きたことだけど分割します。
というわけで、
次話更新⇒5月21日