5 強く、美しく…
本日2話目
「…なぁ、ホントに初心者なのか?」
思わず、聖夜はため息をこぼした。
あの後軽く準備運動をした後、二人は一礼をして剣を交えはじめた。
葵の竹刀の持ち方は滅茶苦茶で、構えも回りが呆れるほどだった。
しかし、剣を握り動き出した葵は…とても、美しかった。
「初心者やで?見てたやん。」
「まぁ、そうだけど…」
それはとても、剣道とは呼べるものではなかった。
剣道のルールからは全く外れたハチャメチャな動き、それでも確かに、葵は強かった。
「部長に勝っちゃったし。」
「あれは、あの人が油断してたからやろ?それにあんなん、剣道の試合やったらこっちの反則負けやないか。」
「あー…それはそうかも。でも…」
試合には負けても、これがもし、実戦だったら…
そんなことを考えて、聖夜は頭を振った。
「何馬鹿なこと考えてんだ?俺。」
「んー?どないした?」
「や、別に…。」
「……剣道は、ホンマに初めてなんよ?ただ…剣は、持ったことあるさかい…やから…」
葵の真剣な顔に…聖夜は、しばらく目をそらすことができなかった。
「…あの…それって…どういう…?」
「……なんやと思う?」
「…………。」
聖夜も、戸惑いを隠すことができない。
「……さぁて、姫さんたちを迎えに行こうか。」
「…は?」
「どうせ、今日の帰りも約束してんねんろ?」
「あ…まぁ、そうだけど…。」
「ほんなら行こか~。」
さっきの話なんかなかったみたいに明るい調子で言う葵。
話をそらされた気はしたが、聖夜はそれ以上何も言えなかった。
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1日で2話更新の時は、1話の文字数が少ないことが多いですが、ページタイトルが変わるところで区切ってます。
一日にあった出来事が多いと、更新話数が増える感じ?
そして、時間経過が長いとその分次回更新まで間が空きます。
次話更新⇒4月26日