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あいいろのそら  作者: 逸見真希
一章 親友
6/73

4 部活見学

 「よし、プリントは行き渡ったな?」


担任から配られたプリントには、新入生部活仮登録用紙、の文字。


「まぁ、詳しいことは昨日の新歓で聞いたと思うから省くが…。仮登録とはいえ、よっぽどのことが無いかぎり変更はできないから…ほぼ本登録と同じだからな。慎重に決めるように。後は…抽選がある部活は、初回に行っとかないと受理されないから注意しとけ。期日は今週中。部活見学は今日からできる。後は各自でプリントをよく見ておくように。以上!」


 帰りのSHRの後、生徒たちは各自帰りの支度を始める。


「なぁ。白河は、もうどこ入るか決めたん?」

「あー俺は、合気道を続けるつもりだから。」

「そうか。白河は、中等部からこの学校やったもんな。」

「葵さんは、何にすんの?」

「せやなぁ…いくつか興味あるもんはあるんやけど…」

「例えば?」

「剣道部。」

「へぇ…。何?中学でやってたとか?」

「うんにゃ。」

「…じゃあ、他には?」

「陸上部、体操部、弓道部…」

「…全部運動部なんだな。」

「こっち来てから体あんま動かしてへんから…このまんまやと鈍ってまうし。」

「え…こっちって?」


「……言葉聞けば分かるやろ。高校入るのを機に、引っ越して来たんよ。」

「あー、そういえば。」

「気にしてなかったんか。」

「うん。」

「……らしいというか、何というか。」

「今日は、どっか見学行くのか?」

「ん。剣道部見てきてみよー思ってんねや。…どや、一緒に来ぇへん?」

「…そうだな。行く。」

「あらら…ホンマに?冗談やったのに…。合気道入るんやないの?」

「それが、今日は休みなんだと。だから、ちょうどよかった。」

「へぇ…。ほんなら、今日早速行ってみよー思ってた子ぉは災難やな。」

「まぁな。…でも、大丈夫じゃないか?なんでか、今年は既に入るの決めてる人多いらしいから。」

「…白河がおるからなんちゃう?」

「……まっさか~。」


自分がどれだけ人を引き付けるのか、自覚していない聖夜なのであった。



 二人が剣道場へ行くと、そこでは既に何人かの部員が練習を始めていた。

しばらくそれを見ていると、奥の部屋から部長らしき男が出てきて、部員に声をかける。


「集まれ。部活を始める。見学の一年生も来るように。」


彼の言葉に反応して、道場にいた生徒が集まりだす。


「それでは、部活動を始める。」


部長から今日のメニューが説明され、部員たちはまた散っていく。

残った生徒…おそらく入部希望の一年生は、葵と聖夜の二人を含め七人。部長は一人一人に経験の有無を尋ねる。

ほとんどの者が経験者のようで、担当の部員を付けて、それぞれ見学なり体験なりを始めていく。

そして最後に、葵と聖夜のところに来る。


「…二人とも、入部希望か?」

「あ…いや、俺は…。」

「入部考えてんのはこっちや。」

「俺は、付き添いです。」

「そうか…。お前、名前は?」

「蘇良葵です。」

「そうか。…なら、蘇良。手合わせしてみるか?」


「へ…?」

「あ、いや…こいつ、初し…」

「はい!やります!」

「え?」


初心者だから…と止めようとした聖夜の声を遮って、葵は前へ出た。


「おい、大丈夫なのかよ?」

「大丈夫やろ。先輩もレベル高そうやから、手加減の仕方くらい心得てるやろうし。」

「でも…」

「んなことよりもな、やってみたかったんや!自分が。」


葵の笑顔に、聖夜は一つため息をつくと…


「わかったよ。」

「おおきに!」

「ケガは無しだぞ?」

「まかしときぃや!」


葵の笑顔が、煌めいた。


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本日2話更新、次話⇒16時

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