言葉に嘘は無いけれど…【200文字】
「乾杯」
酷暑を過ぎた心地良い風の通るベランダで、冷えたビールのグラスを合わせると、高く涼やかな音が響いた。
「あ~っ、先越されたよー」
近々結婚する友に、お祝いと称して家に招いた飲みの席、冗談半分に本音を零すと、
「ブーケ掴まえて下さい」
彼女はいつもの笑みだから、
「はーい、頑張ります」
私もいつも通りに笑う。
「あのさ……おめでと」
傾けるグラスの中身と、同じ色した細く脆そうな月の下。
私、素直に言えた…よね?
女の子2人。
仲良しでも、内心は時々ちょっと複雑だったり・・・