序章
十二年前
・・・親友が死んだ。
「永ちゃん、バスが落ちたらしいの。皆、死んじゃったのよ。」
当時四歳の俺は、明確に「死」というものを理解していなかったらしい。だから、母親の言ったことが分からなかった。
「ねえ、まま。しんだってなに?どうしたの?」
「死ぬってことはね、もう二度と会えないってことなんだよ?」
俺は「二度と会えない」という言葉に反応したんだろう。大泣きしたと、母さんは語った。
現在
屋上に一人の少年が佇んでいた。
「・・・母さん、黒神。」
少年は丁度昨日、母親を亡くした。
少年は父親の顔を知らない。少年が生まれる前に死んだらしい。
母親が病魔に侵されたのは、少年が五歳の頃だった。
しかし、預けられた孤児院では、まさに地獄が繰り広げられた。
奴隷のような扱いを受け、性欲異常者と、それの同性愛バージョンがいたため、気に入らない少年、少女は皆、精神的に壊されていった。
少年が入ったころは、200人余りいたのが、警察が踏み込んだ時は五人本人を入れて五人ほどしか精神的に無事な子供はいなかったのだ。
それが原因で、学校でもイジメを受けた。
「今、そっちにいくよ。」
少年の精神は限界が近かった。屋上から、飛び出した。
ダァン!
その音とともに、少年の人生は幕を閉じた。
よろしくお願いします。