カエル君のすてきな日
ひゃっほう!今日は雨だ!ざあざあ降り!
カエル君は朝起きてすぐ、親友のトカゲ君と幼馴染のイモリちゃんに電話をかけた。
「トカゲ君、今日遊ぼう!」
『……俺体冷えて怠いんだけど』
「最近ずっと晴れてて外で遊べなかったじゃん!冬になる前に1回くらい……!」
『しゃあないなあ……。シャワー浴びて行くわ。中央公園?』
「うん!ありがと!あ、イモリちゃんも呼ぶから!」
『おまえイモリちゃん好きなんだろ。両生類同士さっさとくっつきゃいいじゃん』
「今はその話はいいでしょ!じゃあ現地で十時に!」
『いつもとのテンションの差よ……』
「イモリちゃん、中央公園行こ!」
『中央公園?いいよー。今日いい天気だもんね!そうだ、トカゲ君来る?』
「呼んでるよ!」
『やった!二人すっごくお似合いなんだよね……』
「またその話?僕とトカゲ君くっつけようとするの止めてってば。トカゲ君は親友なの。恋愛対象じゃないの」
『えー残念。でも眼福だから見るのは許して!』
「それくらいなら……。時間、十時ね」
『了解!』
十時前にカエル君は中央公園に到着した。服は半袖半ズボン。傘はなし。少ししてイモリちゃんがやってきた。こちらも軽装で傘はなし。十時を回ると、ようやくトカゲ君が到着した。厚手の撥水ジャケットを着込み、大きめの傘で雨から尻尾を守っている。
雨でテンションマックスのカエル君とイモリちゃん。二人は普段、どちらかといえば真面目で大人しい方だ。一方のトカゲ君はいつもは陽気な質なのだが、雨の日と冬は気怠げになる。
種族も性別も違う大学生の三人はよく一緒に遊ぶ。晴れの日は屋内施設やカエル君の家で。曇りや雨の日はぶらぶらと出かける。今日は大学にほど近い中央公園に集まった。
雨雲で陽が隠れていても、見頃のコスモスは鮮やかだった。
「綺麗だね、イモリちゃん!」
「ね!」
トカゲ君は体温が逃げないよう、尻尾をジャケットの中に入れて腕組みをしている。
「トカゲ君もありがとう!」
「呼ばれたら行くだろ、普通。……おまえがこんなに元気なのって、なかなか無いからな」
三人はそれからしばらく公園をぶらぶらと歩いて回った。そしてお昼は濡れた服装OKな、サンショウウオ店主が経営する駅前の食堂で食べたのだった。
「午後どうする?」
「あー、じゃあ俺は帰って寝るわ。」
そう言ったトカゲ君がカエル君に耳うちした。「今日のその勢いのまま告白しちまえ」
「え、ちょっ」
トカゲ君は言うだけ言うと、ふらりと駅の構内に消えてしまった。
残された二人は何をするでもなく、もう一度中央公園に戻ってきた。カエル君は広々としたコスモスの花壇の前でおずおずと口を開いた 。
「その、僕、イモリちゃんに言わないといけないことがあって」
「どうしたの?」
「僕、イモリちゃんのこと好きで……。お願い、幼馴染から恋人にしてもらえないかな……!?」
「えっ!私!?カエル君、私だよ?オタクでも地味でもない子いくらでもいるよ!?」
「ずっとイモリちゃんのこと見てきたけど、僕にとって一番かわいいのはイモリちゃんだよ!」
「私の目、節穴……。灯台もと暗しだね……私のことかわいいって言ってくれるのカエル君くらいだったのに。本当に私でいい?」
「もちろん!」
「……じゃあ、よろしく、ね?」
「うん!」
その日、二人は駅で別れるまで手を繋いでいた。
そして電話で吉報を聞いたトカゲ君は、年中用意してあるコタツに入りながらコーラと高級コオロギ缶で乾杯したのだった。




