002.
数時間街道を歩いた時点で遠くにアンデアの街のものだと思われる門が見えてきた。
ぐるりと円状に広がる外壁はかなり大きく圧巻だ。遠くから見ても門の堅牢さは明確で、救世会と言う大型組織の大本を守る街の門として相応しい外観をしていた。
しかし街に近づくにつれて違和感を感じる。
あの凄まじく巨大で堅牢な門。しかしそれだけでは駄目だ。いずれ守り切れなくなる。
勘なのか、どこかで同じようなものを見たのか、ぼんやりとしてはいるがそう感じた。
かなりの人数が並んでいるので最後尾に入り列が進むのを待つ。
そして自分の番が来た時、衛兵が何かを言う前に自然とポケットから古びた鉄製のカードを取り出し、見せていた。
「これは……! 救世会のアクル様ですね。どうぞお入りください」
カードを見た衛兵は少し驚いた様子だった。
昔会ったことがあったか?
様、何て呼ばれる覚えはないが……。
軽い違和感はあるがどこで誰と会ったかなどすべて覚えているわけではないし、これでも救世者として活動してきた身だ。どこかで受けた依頼の関係者だろう。
門を抜けて見えた景色は圧巻だった。
道々を行き交う大量の人々、高い建物が密集していて閉鎖感すら感じる。
しかし胸の熱くなるものだ。ここがアンデア……!
「救世会の本部は……」
確かそう、この道をまっすぐ歩いて突き当りを右に曲がったところだ。
旅に出る前に知人にそう聞いた気がする。
その方角へ目を向けると、並ぶ高い建物よりもさらに大きい建物の屋根が目に入った。あれが事務所だろう。
色々と気になるものはあるが……。
寄り道はそこそこに、本部に急ごう。
◇
到着した救世会本部は救世という言葉に恥じない程にとにかく大きく、そして綺麗だった。
何の素材かよくわからないつやつやとした白い石のような見た目をしていて、清潔感がある。
まだ入ってすらいないが、すでにアンデアでの仕事にやりがいを感じていた。
中に入ると白を基調とした制服を着た職員たちが忙しそうにしていた。
「今日はどうされましたか?」
入口にいた男の職員に声を掛けられる。今日の目的は、故郷で受けた依頼について話をすることだ。
「受けた依頼について話があります。どこへ行けばいいでしょう?」
カードを提示しながらそう尋ねると、職員の男の凛とした表情に戸惑いが混じった。
しかしすぐに表情を戻すと、
「こちらへ」
と歩き出した。
たかだか救世者一人に職員を案内につけては、この都会では仕事が回らないのでは?と思ったが、どうやらどこへ行けばいいかすらわからない田舎者は自分だけらしい。
忙しなく動き回る人の間を縫って辿り着いたのは、【本部長室】と書かれた扉の前だった。
「ほ、本部長?」
その言葉が一瞬頭に引っかかるが、職員の声に我に返る。
「はい、あなたが来たら通すように言われております」
そういって扉を叩いた。




