000.残滓
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これからゆっくり執筆していきますので、気長によろしくお願いします。
「こんなの……どうしようもないじゃあないか」
震える手と、今にも膝を折ってしまいそうな、頼りなく血を踏みしめる足。
その血と悲壮感に塗れた顔は、しかし絶望はしていなかった。
「やはり、君の言う通りだった……」
小さく呟く言葉に対する返事は、ない。
だが、何かが壊れるような音、引き摺るような不快で異様な音。さらにはこの世のものとは思えない奇妙で悍ましい声が混じり混じりに聞こえてくる。
その場所は、飛び交う砂塵と鉄片、そして血飛沫で視界すらままならない。
「僕らでは成せなかった。けれど、策は打った」
眼に灯る、決意とも諦めともとれるその光。
いずれにせよ、強い気持ちがこもっている。白衣を赤く染めたその男は今、何か使命を果たしたのだろう。
ふと、男の表情が切り替わる。
「ヨア、僕は……何処で間違えたのだろうか。きっと今僕がしていることは最善の策であり、世界を救う……いや、取り戻すために必要なことだ」
先程とは違う弱々しく今にも壊れそうな顔で、どこを見るでもなく、ぼんやりと目を空へと向けて男は一人呟く。
「わかってる。けれど、本当に僕が守りたかったものは――――」
黒く淀んだ空から視線を地面へと落とす男の頬には涙が伝っていた。
「ああ、今更僕は何を考えているんだ。最後の最後に格好の悪いことはしたくないね、まったく……」
男と目があった。
「さて、今この残滓を見ている諸君に告げる。世界は詰んだ。だから根幹から全てぶち壊す。けれど僕はもうここまでだ。託すだなんて綺麗事は言わないよ。すまないが――――――」
ザザ……と映像がブレる。
「僕らの代わりに、絶望してくれ」
瞬間、男の首が飛んだ。
上がる血しぶき。画面は赤く染まり音も途切れた。




