探索新世界
黒竜歴446年6月5日それから3ヶ月経って、やっと確信した。俺、本当に生き直したんだ。そして、転生を受け入れることにした。今の唯一の心残りは、あの巨大トカゲに尻尾で一掃されて死んだことくらいだ。この世界にビデオゲームがあったら、同じようなトカゲを見られるかもしれないのに。つまり、俺は今、赤ちゃんなわけだ。しかも記憶はそのまま。このありふれたクソみたいなアニメ展開が、リアルに俺に降りかかってくるとはね。俺の父親はあの金髪男で、母親は紫髪の女の人だ。彼らの言葉が分からないから、とりあえずそう理解してるだけ。二人とも若く見える。前世の俺より少し年上くらいで、20歳そこそこだろう。確認した。この世界には基本的な発電技術すらない。コンセントも家電もゼロ。照明は全部ロウソク頼みで、その臭いが鼻をつく。洗濯は手作業で、母親の細い手には分厚いタコができてる。でも古いタコじゃないから、実家がそこそこ裕福だったのかも。ネットでゲームなんて夢のまた夢だ。死ぬのが怖くなければ、窓に登って外の世界を見てるところだ。家の中だけじゃ、この世界の技術レベルは判断できない。うちが貧乏で電化製品を買えないだけかもしれないし。両親の服も中世の農民っぽいし。あと数ヶ月様子を見てから結論出すか。世界の技術や社会構造は分からないけど、うちが金持ちじゃないことは確かだ。さらに2ヶ月経って、簡単な言葉なら少し聞き取れるようになった。例えば挨拶の仕方とか。面白いことに、母親の「ママ」の発音が中国語と同じなんだ。人類の共通点なのかな? 這えるようになって、ずっと忘れてた「窓に登る計画」を思い出した。前の判断を覆すよ。この家、結構裕福なんじゃないか? だって2階があるんだぜ。俺のベビーベッドの横の窓から見える家は、ほとんどが平屋なのに。窓の外を見て確信した。現代的なものは一切ない。つまり、大きくなって金を稼いでも、ゲーム機は買えないってこと。俺が住んでるのは田舎町で、遠くに教会みたいな建物が見える。この世界の人も神を信じてるのか? 両親は俺の異常さに少し気づいてるみたいだ。時々頭をベビーベッドにぶつけても全然泣かないし、生まれた時も泣かなかった。でもそのうち、彼らは俺を「大人っぽい赤ちゃん」として受け入れたみたい。やることがないから、よく窓の外を見てた。父親が家の前の倉庫のそばで鍛冶をしてるのを発見した。カンカンって音がリズミカルで、鍛冶に集中してるなら真面目にやれよって思うけど、ハンマーが落ちる瞬間にすごい熱が出て、オレンジ色の火花が飛び散るのに気づいた。どうやら彼は鍛冶屋らしい。体がガッチリしてるのも納得だ。「エドワード、そこに這うのは危ないよ。」
(そう言ってニヤッと笑う。)
「気をつけないと火竜にさらわれるよ。」降りたいけど、うっかり転んでしまって、お尻が割れるかと思った。頭を打ってバカにならなかっただけマシだ。普段は家にいる母親が物音を聞いて駆けつけてきて、俺を起こしてくれた。お尻に手を当てて何かブツブツ言ってる。気のせいか、お尻の痛みが少し和らいだ。それから半年経って、やっと歩けるようになった。この世界の言葉も覚えた。流暢じゃないけど、簡単な会話ならできる。母親は俺をくすぐっても笑わないと分かると、からかうのをやめた。でも父親は悪趣味だ。
「エドワード、見てろよ、手が、ほら、消えた!」彼の手には角張った木彫りの小鳥があって、初心者が彫ったとバレバレだ。それを背中に隠して、俺が気づかないと思ってるらしい。
「背中に隠したでしょ。」時々、この幼い声が俺の声だって信じられない。このバカ親父相手には、俺があやして遊んでやるしかない。
「うちにそんな木彫りいっぱいあったっけ?」
「お前のかーちゃんが彫ったんだ。どうだ、綺麗だろ?」自分の嫁が技術を身につけたことをめっちゃ誇りに思ってるみたいだ。母親の指が時々傷ついてるのを見たけど、彫刻のせいだったのか。彫刻して、家事もして、大変だな。
(指から血が出たら水につけないほうがいいよ、お母さん。傷跡が残っちゃうよ。)優しい母親とイタズラ好きな父親。これが今の俺の結論だ。俺が住むのは下の小屋で、シングルのベビーベッドが置いてある。夜になると、時々2階からギシギシ音が聞こえてくる。弟か妹でも作ってるのかな。でも、考えてみれば、彼らは俺より2、3歳しか年上じゃない。ラブラブな若い夫婦だな。前世の俺よりずっと幸せそうだ。事が終わった翌日、父親が言った。
「エドワード、来年はお前にお友達を作ってやるよ。」母親が顔を赤くして彼の耳を引っ張りながら、「子供の前で何!?」って連れていった。こいつ、笑いものになるために来たのか? 気づいたけど、この世界の技術は遅れてる。でもライターみたいなものはあるみたい。ある日、母親がブツブツ言いながら暖炉に手を当ててるのを見た。中二病発症かと思って、「魔法で火をつけるつもり?」って笑いそうになったから、見ないふりをした。ある日、父親のダンカン・ミサトが外から立派な絵本を持って帰ってきた。表紙は金ピカで模様が凝ってて、紙質も高級そう。普段見るボロ本とは全然違う。目を丸くした俺に、父親は誇らしげに言った。
「この本は海の伝説だ。この世界の奇妙な出来事をリアルに記録したものだよ。」母親のエルサがそっとページを開き、俺に語り始めた。彼女の声は優しくて力強い。
「海賊アルサ・フランは剣術の達人として知られてたけど、それ以上に強力な魔法で有名だった。彼は魔法陣を使って自然の力を操ったんだ。嵐や雷で敵を何度も退けたし、軍を率いて竜族を倒したこともある。でも、魔法はタダじゃない。術を発動する前に、彼は船に予め描いた魔法陣の中心に立ち、銀貨を空に投げてた。魔法陣を動かすには金属の犠牲が必要なんだ。貴重な金属ほど、魔法陣の威力は強くなる。その金属はただの代償じゃなくて、魔力の触媒でもあるんだよ。」母親は絵の中の魔法陣を指して続けた。
「アルサの魔法陣は複雑で精巧だよ。雷や波、炎のシンボルで構成されてて、一筆一筆に自然の力が宿ってるみたい。」少し間を置いて、
「でも、魔法陣はすぐできるものじゃない。描くのも、ルーンを刻むのも、時間と労力がかかる。そして、完璧でもないんだ。」俺は眉をひそめた。
「待って、ちょっと待って。つまり、彼は魔法陣で嵐や雷、自然の力を操れたって? それに金属が必要って? 伝説みたいで、現実っぽくないよ。」少し考えて、
「この魔法って、本当に存在するの?」母親は俺を見て、微笑んだ。まるで俺がこう言うのを予想してたみたいに。
「エドワード、この世界で魔法は空想じゃないよ。自然の力と法則に基づいてる。魔法陣は、シンボルとエネルギーで自然と繋がる手段なんだ。金属、特に貴重なものは、その力を引き出しやすいんだよ。」「じゃあ、金属がなきゃ魔法は成功しないってこと?」
俺はまだ半信半疑で、変なモヤモヤが湧いてきた。
「でも、なんで他の場所の人は同じ力を使えないの? 嵐を起こせるなんて、聞いたことないよ。」母親は俺の疑問を感じたみたいで、軽く頷いた。
「魔法陣には時間と準備が必要だよ。瞬発魔法は別だ。そっちは呪文の力で動く。魔法陣みたいに複雑な準備はいらないし、特別な言語を覚えて、特定のジェスチャーをすればすぐ発動できる。でも、瞬発魔法は魔法陣ほど強くない。力に限界があるからね。」「つまり、瞬発魔法じゃ大規模なことはできないってこと?」
俺は首をかしげた。母親は頷いた。
「そう。瞬発魔法は威力は小さいけど、ピンチの時に戦局を変えられる。アルサもそれを使ってたけど、本当の力は魔法陣にあって、瞬発魔法は緊急用だったんだ。」母親がさらに言った。
「でも、彼がどれだけ輝いてても、最後は部下に裏切られて死んだよ。海軍が懸賞金をかけた後、彼は目立たないようにしてたけど、それでも寝てる時に刺された。裏切った部下は懸賞金をもらったけど、1年もしないうちにアルサの腹心に捕まって首を斬られた。」俺の疑いは完全には晴れなかったけど、母親の話を聞いて、この世界が想像以上に複雑だって気づき始めた。思い通りの奇跡じゃなくて、ルールと代償のある力なんだ。その存在は、ただの伝説じゃない。なんかワクワクしてきた。この世界、「剣と魔法」の設定なのか。俺、アルサより強くなりたい!そこで俺の目的が分かった。「屠竜計画」
(頭に突然この言葉が浮かんだ。)
ゲームと同じ技で、そいつをミンチにしてみせる。夢の中で俺は大刀を手に、溜め攻撃で分厚い火竜に突っ込んでく。火を吐かれたら刀を地面に突き立てて防ぎ、竜が跳び上がって急降下してきたら、鋭い爪で俺の首を狙ってくる。でも簡単に死ぬかよ。次はどうする? 弱点が分からない。竜の弱点って腹か首か目じゃないか? 前世で読んだ小説じゃよくそう書いてあった。今は俺、手も縛れない赤ちゃんだけど、まさか萌え死にさせる作戦で竜を倒すわけじゃないよな。カッコ悪すぎる。黒竜歴447年夏季
魔法知識クイズ:魔法はどうやって動くの? o(≧▽≦)ツ┏━┓