■2■ お墓参り
木漏れ日の木の下を通って、目的のお墓に到着した。静かなお墓は、それでも夏の日差しでわずかながら活気付いているように思えた。
「ここら辺は涼しいわね」
彩お姉ちゃんが白いキャペリンハットの縁をつかみながら言う。百合丘は郊外に位置していて、前の村とは一味違ったよさが感じられた。
「ね、進……」
私は進に話しかけようとしたが、進はあの少女とすっかり仲良くなって二人だけの世界に入ってしまっていた。
「進も隅に置けないね」
「千歳にはいないの?」
「わぁっられ!?」
彩お姉ちゃんが急に後ろから話しかけてきたもんだから、驚天動地して動転境地するかってくらい驚いた。
「驚かせないでよ、彩お姉ちゃんっ!」
「はいはい、で、千歳はいつ連れてくるのかなー?」
「何の話でしょうか、彩お姉様?」
笑顔で対応してあげる。我ながら不気味な言葉使いだ。
「千歳もいい年だし、もうそろそろ彼氏とか連れてきてもおかしくないかなーって思って」
「まず先にご自分のことにご関心を持たれては?」
彩お姉ちゃんの笑顔が一瞬にして固まる。やば、ちょっと調子に乗りすぎたかも。
「さぁ、こちらにどうぞ」
「はーいっ!」
ナイスタイミングで老婦人に呼ばれたので、私はササッとその場を離脱する。三十六計逃げるに如かず、だよ♪