■6■ 五郎助奉公
夜、私たちは蚊帳の中で三人並んで寝た。家の中は昼間とは違った雰囲気を醸し出していた。家の後ろは森になっていて、梟の声が聞こえてきた。
「こんな一日もいいかもね……」
不意に彩お姉ちゃんが言った。
「楽しかったよ」
進も言う。進は今日、神社に行って、地元の小学生の子と遊んできた。夕食の時に、その様子を嬉しそうに皆に話してくれたのだ。あんなに嬉しそうな進は、久しぶりに見た気がする。最近塾だのなんだので忙しかったからね、進も。
「ね、明日もここにいようよ」
進が言った。きっと、明日も来ると約束してきたのだろう。
「もともと明日出発する予定だったんだし、長居をすると迷惑になるかもしれないわよ?」
彩お姉ちゃんは少し悩むような口調で言った。
「そんなことないよー」
「千歳が一番の心配なんだけどな……」
「どういう意味よ」
「大食漢」
そう言っただけで、彩お姉ちゃんは私に背を向ける形で寝返りを打った。
「そんなこと……」
あった。お昼にあれだけ食べておきながら、夕食ではそれ以上の量を平らげてしまったのだ。
「もうっ、おやすみ!」
私も彩お姉ちゃんに背を向けた。
「うん、おやすみ……」
彩お姉ちゃんが言った。進も小さな声でおやすみ、と言った。遠くから聞こえる梟の声を数えているうちに、いつのまにか私は眠ってしまった。