■4■ 美マズいご飯
「マズ……ん……美味しい……」
私は思わずつぶやいた。
「あんた、人様のもの食べて何言ってるのっ」
隣に座っている彩お姉ちゃんが小さな声で言った。
「いや、彩お姉ちゃん、マズいよ、美味しいよ」
「マズいのか美味しいのかはっきりさせなさいよ、っていうかマズいとか失礼じゃないっ」
「……」
「……」
一瞬の沈黙。
「美味しすぎておかわり三杯はいきそう! ダイエット中なのにこれはまずいよ!」
私は拳を振り上げて主張した。これは、美味しい!
「ぷぷッ!」
私達のやりとりを向かいで見ていた進が笑いをこぼす。
「隙アリ!」
さささっと進のオカズを掠め取る。
「あぁっ! それ僕の魚っ!」
「私のオカズは私のもの、進のオカズも私のもの!」
「何それジャイアニズム!?」
進は躍起になって魚を取り戻そうとしたけど、そんなのを許す私じゃない。
「魚もぎょうさんあるけん、おかわりも何杯でもいいけえ」
お婆ちゃんはそう言ってオカズを増やしてくれた。
「どうもすみませんね。大食漢が一人いるもので」
「彩お姉ちゃんっ!」
「楽しかっていかば」
結局、お代わり四回、おかずはみんなの三倍くらい平らげてしまった。