■3■ フェリスな午後のひと時
「んー、ちょっと疲れたねー」
園内のカフェテラスでくつろいでいる最中。彩お姉ちゃんも進もぐったりしている。
「いやアンタ、ちょっと疲れたどころじゃないわよ。進、大丈夫?」
彩お姉ちゃんは円卓に頬杖をついて進を見やる。
「ダメ、もうダメ……死んじゃう……」
進は顔を伏せたままだ。
「なぁんだ、二人とも若いのにだらしないなぁ、もぅ」
「ジェットコースター二回も乗って、コーヒーカップもぐるぐる全力で回して、落下系アトラクション制覇も二周して……よく酔わないわね」
「朝飯前だね♪」
とにかく激しい乗り物はあらかた全部制覇してしまった。
「もうしばらく休もう! ね、千歳お姉ちゃん」
進が必死に訴えてくる。
「仕方ないなぁ……」
もう昼下がりも過ぎて、陽もそろそろ傾きかける時間。私達はしばらく休んで、体力を回復させたのでした。
……
…
「観覧車っていうのもいいね!」
眼下に広がる景色、人か米粒みたいに小さく見える優越感、遠くまで見渡せる開放感……ここは、私のためにある場所だ!
「やっほー!」
「……」
「……そういえば、何とかと煙は高いところが好きって言うよね」
「何とかにつける薬はない、とも言うわねぇ」
あぁもう、二人とも好き勝手言ってくれるじゃないのーっ!
「はいはい、どーせ私はお馬さんと鹿さんですよーっ」
私は思いっきり顔をそらしてやった。
「ぁはは♪もう、千歳ったら機嫌直して、ね? 降りたらアイス食べましょ」
「アイス!」
交渉成立ー♪アイスは正義、だよ☆
「ねね、彩お姉ちゃん、進、見て見て! 遠くに大きな山が見えるよー♪」
「切り替え早っ!」
「本当、綺麗な山ねぇ」
流れについてこれない進と、山を見て息を漏らす彩お姉ちゃん。
「即座に環境に適応できない種は、絶滅するのよ……」
「えっ?」
私が言うと、進はきょとんとした顔になる。
「いやいや、こっちの話! あっ、それよりグライダーやってる人がいる! 気持ち良さそー」
「ほんと、和やかねぇ」
「……」
進はまたもや私と彩お姉ちゃんの会話について来れず、頭を抱えていたのでした。ちゃんちゃん♪