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ちあふる☆じゃーにー ~三人姉弟の電車旅~  作者: 霧南
山陰村-やまかげむら-(8月17日)
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■2■ お化け屋敷の三人衆

「やってまいりました、遊園地! 見てくださいこの光景、聞いてくださいこの歓声!」

「わーっ!」


 ジェットコースターに乗った子供の騒ぐ声がする。遊園地に入った私はレポーター気分でうきうきと歩いていた。夏休みということもあって、子供連れの親子が多い。


「千歳、あんた本当に元気ね」

「全く同感」


 彩お姉ちゃんと進はやれやれといった表情。


 ん? 私、浮いてる? ま、いっか。


「さぁて進君、まずはどのアトラクションから行きますかー?」


 空気マイクを進に差し出す。


「えっ? ぁ、ぇっと……」


 突然振られて進が戸惑いの表情を浮かべる。


「あ! はい、お化け屋敷ですかぁー、いいですねー、流石男のコだねっ☆」

「え!? ちょっ……」


 戸惑いから焦りの表情に変わる。分っかりやすーい♪


「それじゃあ行きましょー!」

「いや、待っ……!」


 私は進の腕をつかんでぐんぐん引っ張っていく。進はアイコンタクトで彩お姉ちゃんに助けを求めた。


「……」


 彩お姉ちゃんがちらりと進を見る。進のSOSを受け取った彩お姉ちゃんは苦笑して一息つくと、笑みを浮かべた。


「可愛い子には……お化け屋敷って言うわよね!」

「言わないよぉーっ!!」


 進の声は、遊園地の喧騒に消えていきました、ちゃんちゃん♪




「べ、別に怖いわけじゃないよ?」


 私の腕をしっかりとつかんだ進が言う。


「千歳お姉ちゃんは目を離すとどこに行くか分からないからね、千歳お姉ちゃんがはぐれないように、こうして千歳お姉ちゃんを捕まえているだけだから!」


 辺りをきょろきょろと見回しながら進が言う。ほんとにもう、強がりなんだからぁ。


 彩お姉ちゃんと視線を交わしてくすりと笑った。ちょっとおどかしてあげよっかな!


「わっ!」

「ひゃ$*っぇ#ら゛%れっ!? か、神様仏様観音様! ナァム網ナメクジ! ナウマン象サラマンダーバサラタン! 魔界般若腹切った心境!」


 私が声を上げて立ち止まると、進は飛び上がって床にしゃがみこんだ。


「ぁっはは! 進、色んなのが混じってるよーっ」


 私は笑いながら座り込む進の頭をなでてやる。ふっふーん、私の方が大人だって、思い知ったかぁ♪


「魔界、般若、腹切った、心境……興味深いわ……」


 彩お姉ちゃんは手を唇に持っていき、神妙な顔をしてつぶやいた。なんか変なスイッチが入った……かな?


「さっ、さっさと進もう! いざ、彼の光明の地へ!」


 私はざっ、と一歩踏み出した。


「ち、千歳お姉ちゃん……」

「そうね、般若を歴史的観点から考えると……」


 いつものようにツッコミいれる気力もなく私にすがりついてくる進。ひたすら般若の考察をしながらついてくる彩お姉ちゃん。そして勇敢に先陣に立つ私!


 千歳と愉快な仲間たちは、そのままお化け屋敷を制覇したのでしたーめでたしめでたし。

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