■1■ 本気と書いてマジと読む
がたん、ごとん……電車はまるで海の見えるこの景色のために動いているみたいに感じた。終着駅がないんじゃないかと思わせるこの電車にも、ちゃんと終着駅はあるんだなー……と何となく思った。
「今日は水舞町ね。母の実家があるから、しばらくはそこに滞在しましょ」
時刻表についてる地図を見ながら彩お姉ちゃんが続ける。
「天気もいいし、海水浴場もあるみたいだから、ちょっと行ってみましょうか。水着もちゃんと買ってあるしね」
「え? 持ってきてたの?」
右隣に座っている彩お姉ちゃんに訊くと、彩お姉ちゃんはくすっと笑った。
「ううん、夏樹橋で買ったのよ。ちゃんと千歳と進の分もね」
「ありがとー! さっすが彩おねえちゃんっ♪ ね、私の見せて見せてっ☆」
私が彩お姉ちゃんの肩を揺すると、彩お姉ちゃんはくすくすっと笑って、立ち上がって荷物を降ろした。
「これよ!」
そう言って彩お姉ちゃんは何とも大胆なビキニをとりだした。
「えぇぇぇぇぇぇ!? こんな恥ずかしいの、着れないってー!」
思わず大声を出してしまって、一斉に乗客の目が私達に集まった。
「あ、彩お姉ちゃん、冗談だよね?」
「ええ、もちろん」
「よかったー」
私は安堵のため息をついた。
「もちろん、本気よ」
「……え?」
私は固まってしまった。