■4■ 夏だ、お寺だ、肝試し!
「「「肝試し!?」」」
私と彩お姉ちゃん、そして進は見事にハモってしまった。
「ええ。そこの墓地でみなさんやっていくんですよ」
ぼーさんはご飯を呑み込んでから言った。
「結構スリルありますよ」
そう言ったのは、眼鏡をかけたぼーさんのお弟子さんの一人、眼鏡ぼーさん。
「そうそう、この前なんか、失神した人とかいたしなぁ」
もう一人のお弟子さんが笑って言った。お気楽ぼーさんだ。
私たちは横に並んで、三人のお坊さんと向かい合った形で食事をしている。正座をしているから少し辛い。
「墓地を抜けて、社にある紙を一枚ずつ取ってくるという、単純なものです」
ぼーさんが笑って言った。
「なんか、面白そうじゃない?」
「そうだねー。なんかワクワクしてきちゃう☆ ね、進?」
進を見ると、進は青白い顔をして震えていた。
「えっ? あ、う、うん、そうだね」
「どうしたの? 顔色悪いよ? 寝すぎた? 風邪ひいた?」
進の様子がおかしい。明らかに挙動不審だ。
「そ、そんなことないよ。ただ……」
「ただ?」
「なんか、急にお腹が痛くなったから、肝試しは遠慮しておくよ、うん」
「はっはーん、さては、進……怖いんだねー?」
ビクッと進が明らかに動揺する。
「そ、そんにゃことなひよ!」
「あハハっ! 舌が回ってないよ」
みんなでドッと笑い出す。
「ハハハ、坊主、怖いのか」
お気楽ぼーさんが進の頭をわしゃわしゃする。
「そ、そんなことない。そもそも科学的に考えて幽霊というものは……」
「まぁいいでしょう。怖いなら三人で行っても構わないですぞ?」
ぼーさんはあっはっは、と豪快に笑いながら言った。
「だ、大丈夫だよ! ちょっと武者震いしただけ!」
進はとっさに口から出てしまった、とばかりに口元を押さえた。有言実行、これで後には引けないね♪