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■2■ 待てよ七年、色仕掛け
「あの子があと七年早く生まれてればなぁ」
私はふぅっとため息をついた。
「どうしたのよ?」
「絶対放っておかないのに」
私が真面目な顔で真面目に言うと、彩お姉ちゃんと進はぷっと吹き出した。
「あ、何? 私、真剣に悩んでるんだから! 二人ともひどいなぁ、もーっ!」
「ごめんごめん、でも、向こうはまんざらでもなさそうよ? 七年後にでも捕まえれば?」
「捕まえるって……」
進には少しついていけない話らしい。
「その時には私も七歳年とってるのよねぇ。年の差は埋められない……」
「七年後の千歳なら、悩殺いけるわよ、悩殺! ちょっと色っぽく仕掛ければ、思春期の男子なんてイチコロよ!」
彩お姉ちゃんは力強く主張する。
「ん? そう言われるとそうかも……わぁ、彩お姉ちゃんやっぱり頭いいねっ!」
「これからは、ショタの黄金時代よ!」
「そうだー!」
「……」
進は一人、電車に乗ってる間中、話に取り残されていた。