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ちあふる☆じゃーにー ~三人姉弟の電車旅~  作者: 霧南
白沢町-しろさわちょう-(8月6日)
18/48

■3■ 如月彩の思慕恋慕

「ねぇー」「もしもーし」「聞ーてますかー?」「いないいなーい……ばあっ☆」


 窓から外を見つめたままぼーっとしている彩お姉ちゃんに話しかけるけど、全然反応が無い。ちょっと、最後のは少しぐらい反応してくれないと私が馬鹿みたいじゃんっ! もうこの旅館に来てからずーーっとこうだ。


「進ー何とかしてよー」

「放っておきなよ」

「どーしてさ? 彩お姉ちゃん、暑さで頭が壊れちゃったんじゃないの? バスガス爆発脳内噴火!」


 私の言葉に彩お姉ちゃんがぴくっと反応する。ヤバい、怒っちゃった!?


「わぁっ! 冗談冗談!!」


 私は必死に弁解したけど、もう遅い。「怒ってるー!」と思って頭をガードしたけど、一向にぶたれる気配も無い。代わりに、ため息が一つ。私なんかアウトオブ眼中、路傍の小石、馬耳念仏、馬耳東風ってカンジ。


「進、どういうことさ」

「彩お姉ちゃんもお年頃だから……千歳お姉ちゃん、あの男の人見て何とも思わなかったの?」


 進が慎重に言葉を選んで話す。


「妹想いのカッコいいお兄さんだね。むむ、まさか……」


 私だってまさかとは思ってた。


「そのまさか、だよ」

「そんな……彩お姉ちゃん……」

「そういうこと。だから、今はそっとしといてあげようよ」

「そうね……叶わぬ夢を追い続けるのはつらいものね……」


 進が複雑な表情を浮かべる。


「千歳お姉ちゃん、いきなり叶わぬ夢ってねぇ。彩お姉ちゃんに聞こえてたら怒られるよ?」

「でも事実は事実よ。隠し子か養子縁組でもしない限り、叶う夢じゃないわね」


 進がきょとんとした顔をする。


「彩お姉ちゃんも、優しーいお兄さんが欲しかったんだね……『お兄ちゃん、大好き!』とか言いたかったのかな? でも、彩お姉ちゃんの性格だと、『アニキ、お小遣いちょーだい!』のほうが似合うかも! 『兄チャマ、チェキ!』というもなかなかどうして……『お兄様、わたしとデート、しましょ?』はちょっとずれちゃってるかなー」

「ごめん、その発想はついていけない」

「えっ?」


 呆れ顔の進と、きょとん、と進を見つめる私がいた。

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