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ちあふる☆じゃーにー ~三人姉弟の電車旅~  作者: 霧南
夏樹橋-なつきばし-(8月5日)
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■4■ 梅里あるいは西山隠士

 旅館は外観だと小さく見えたものの、中は奥行きが結構あり、奥で横にも広がっていたため、見た目よりもかなり広く感じた。


「意外と広いんだねー」


 女将さんに案内されて、私達は八畳の座敷に案内された。


「こちらです。何かありましたら、何でもお申し付けくださいね」


 感じのいい女将さんは一礼すると、もと来た道を戻って行った。


「さて、ちょっと早めだけどまずはお食事、だよね」


 私が言うと、彩お姉ちゃんも進ももう慣れた、といった感じでため息を一つ。


「仕方ないわね、千歳は。うっかり千兵衛とでも呼んであげようかしら」

「勘弁してくださいよぉ、ご隠居ー」

「なりませんぞ、千兵衛」


 彩お姉ちゃんもノリノリだった。二人でわいわいと盛り上がる。


「二人ともー……って聞いてない。食事は僕が頼んでくるしかない、か……」

「うんうん、よろしく」

「はいはい……って聞こえてるじゃんっ!」


 ため息一つ、進は女将さんの後を追っていくのだった。




……





「はぁ、今日は疲れたね」


 夕食も終わり、夜も更けた旅館での夜、机に向かって宿題をやっている彩お姉ちゃんに私は言った。


「うっかり千兵衛さんも、もう少し食事を控えれば効率が上がるんじゃない?」

「もうその呼び方やめてー」


 彩お姉ちゃんは実はものすっごく頭が良くて、名門女子高として有名な御桜(みざくら)高校でもトップクラスの成績の持ち主なのだ。進は進で名門の中学校を受験することになっている。いわゆるお受験というやつだ。私はと言えば……何とか彩お姉ちゃんと同じ高校には行けたものの、補習と追試の繰り返し……とても自慢できたものじゃない。


 宿題かぁ……宿題ねぇ……宿題……うん。


「それじゃ、彩お姉様、お休みなさい☆」


 私はさっさと布団にもぐりこむことにした。明日できることは明日やる、それが私の信条なのだっ!

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