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ちあふる☆じゃーにー ~三人姉弟の電車旅~  作者: 霧南
夏樹橋-なつきばし-(8月5日)
14/48

■3■ ごく・きょく・ぎめ!

「さて、と。涼しくなってきたことだし、今日は向こうに見える旅館に泊まるとして、夕方のチェックインまではそこの図書館で寛ぐとしますか」

「賛成、いえーい!」


 私は彩お姉ちゃんの提案に即賛成の意を表明した。


「千歳お姉ちゃんは相変わらず元気だねぇ」


 進がぽつりとつぶやく。元気だけが私のとりえよっ!


「それじゃあ、わたしは旅館で話をしてくるから、千歳と進は先に図書館に行ってて頂戴な」

「ラジャー!」


 私は警察官の真似をして彩お姉ちゃんに敬礼した。


「じゃ、進、とりあえずあのゲツゴク駐車場の所まで競争しよっか☆」

「……」

「……!?」


 暫くの間沈黙と静寂が場を支配する。


「どうしたの?」

「千歳……何駐車場だって?」


 一生懸命何かをこらえているような声で彩お姉ちゃんが言う。


「ゲツゴク駐車場?」


 とたんに彩お姉ちゃんと、進まで笑い出す。


「何!? 何がおかしいの!?」

「何って、あれを『ゲツゴク駐車場』って読む? フツーっ!」


 看板には月極駐車場って書いてある。満月のゲツに、極道のゴク、だよね、だよね!?


「千歳ったら可笑しー! あれをゲツゴク駐車場って読む人がいるなんてッ! 普通に読んだらゲッキョク駐車場でしょ!」


 それを聞いて進がさらに笑い出す。


「彩お姉ちゃん、それも、違っ! あはっ、はははっ! あれはツキギメ駐車場って読むんだよ! 二人とも高校生なんだから、しっかりしてってば」


 それを聞いて彩お姉ちゃんの顔が一気に赤くなる。


「あー、やーい、彩お姉ちゃんも間違えてっるぅー。あははっ☆ 彩お姉ちゃんも人のこと言えないんだーっ!」

「ち、千歳! あんたも間違ったでしょっ!」


 彩お姉ちゃん、かなりうろたえている、ぷくくっ。


「彩お姉ちゃんも間違えたー♪」


 プチンと何かの切れる音がした気がした。進が笑うのをやめておどおどし始める。


「千歳……この 彩 様 を笑うとはいーぃ度胸してるじゃないの?」


 やばいっ! 目が据わってるとかそんなレベルじゃなくなってるっ!?


「あやや……ははぁ、御見逸れ致しましたぁ!」


 時代劇でよく見るアレよ、アレ。この場を乗り切るにはこれ!


「……なーんちゃって」


 そう言って彩お姉ちゃんは声を上げて笑い出した。私と進も自然と笑えてくる。それは、本当に自然な、心の底から湧き出てくるような、そんな笑い。私達三人は、その場でしばらく声を上げて笑っていたのでした。めでたしめでたし♪

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