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ちあふる☆じゃーにー ~三人姉弟の電車旅~  作者: 霧南
百合丘-ゆりがおか-(8月4日)
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■3■ フードファイター千歳

 お墓参りに付き合った帰り、歩いて百合丘駅まで行った。


「今日はどちらにお泊りになられますの?」

「えーっと、多分どこかの旅館かホテルに泊まろうかと思ってますが……」


 彩お姉ちゃんは人差し指をあご先に添えながら言った。


「なら今日は是非うちに泊まってってくださいな」

「ええっ、そんな迷惑じゃ……」


 彩お姉ちゃん、なんだかちょっと動揺してる。


「いえいえ、いいんですよ、今はわたしとこの子の二人っきりですし、賑やかな方がこの子も喜ぶでしょうし」

「でも……」


 困ったように私の方を見る。私の許可を求めてる、のかな? それとも助けを求めてる?


「ふむふむ彩お姉ちゃん、くるしゅうない。その申し出を受けることを許可いたす」


 彩お姉ちゃんの表情がますます曇った。


「千歳の食事が、一番の不安材料なんだけど……」


 彩お姉ちゃんの言葉に、進も得心がいったとばかりにうなずく。


「んなっ!」


 私は……反論することも出来ずに悔しさを噛み締めた。


 おばあちゃんの家では、それはそれは食べるに食べてしまった。私以外の全員の一日分の食事を一食で食べる勢い。


「大食漢といいますか、大食女が一人いますが、大丈夫ですか?」

「もちろん、大丈夫ですよ」


 老婦人はふっと私に微笑みかけた。夏の昼下がり、涼しい風になびく風鈴の音が遠くで聞こえた。

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