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父と娘(グランディール視点)

 ここまで緊張したのは、いつぶりだっただろうか。しかも、相手は自分の娘だ。

 今日は、ルナとイルの研究が長引いているため、レイと二人で夕食をとることになった。

 食べ物の味もよく分からないまま、黙々と食べ進める。気まずい。


 だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。私には、確かめなければならないことがあるのだ。


「私に似ているのは不満だったか?」


 言った。言ってしまった。

 それを聞いたレイが、カシャンと食器を落とす。

 これは、まさか、本当に……。ショックのあまり、顔から血の気が引いていく。


「誰がそんなことを?」


 レイは、驚いたように私に問いかけた。


「ハインが、少しな……」

「おじさまったら、絶対面白がっておとうさまに言ったのね」


 頰を膨らませて怒る姿は何とも愛らしい。暫し、本題を忘れそうになってしまった。


「あのね、違うの。実はーー」


 レイは、自分が母親に似ていないことが残念で、そのことをハインに相談したらしい。別に、私に似ているのが嫌なわけではないのだと。

 どうやら嫌われていたわけではないと分かってほっとする。

 ハインのやつ、からかったんだな。わざわざ、私に似ていることに悩んでいた、なんて深刻そうな顔で言ってきたのだから。

 後で、きっちりハインとは話をしよう。


 ルナは子どもたちにとても慕われている。母親が好きだからこそ、自分の容姿があまり似ていないことに複雑な思いを抱いたのだろう。


「びっくりさせて、ごめんなさい。わたし、おとうさまのことも大好き」


 くりくりとした目でそう言われて、嬉しくない父親はいないだろう。


「私も、レイのことが大好きだよ」

「えへへ……」


 誤解も解けて、その後は楽しい夕食が続いた。

 途中で、ようやく仕事を終えたルナとイルが参加し、何を盛り上がっているのかと首を傾げられる。


「わたしは、おかあさまも、おとうさまも大好きだっていう話です!」


 満面の笑みで答える娘は、何とも愛らしい。


「えぇ、僕は?」


 自分のことが出てこなかったイルは、寂しそうに自分を指差す。


「もちろん、おにいさまのことも大好きですよ」

「そっかぁ、僕も大好きだよ~」


 満足したように、イルの顔がゆるむ。レイが生まれた時から、イルは妹のことをとても可愛がっていた。レイも、優しい兄に懐いている。


 和やかな雰囲気で、家族揃っての夕食が始まる。

 私とレイはデザートを食べているところだが、魔力を消費してきたであろう、ルナとイルが追いつくのは時間の問題だろう。

 愛すべき家族たち。この時間が永遠に続けばいいのにと、心からそう思った。

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