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神に愛された宮廷魔導士  作者: 桜花シキ
第6章 宮廷魔導士編
145/173

38 失踪

 その知らせは突然だった。


「お養父様が、いなくなった?」


 魔人との戦闘を終えて帰ってきた私は、青ざめたイディオからその報告を受けた。


「なんで、どうして……?」

「ヴェルデ領に、これまでにないほど強い魔人が出現したそうです。被害を食い止めるために出向いたご当主が、その戦闘中に姿を消したと……」


 当主が直々に出るなんて、よっぽど強い魔人だったのだろう。


「その魔人は、ヴェルデの人たちは、どうなったの?」

「ファブラス伯爵家に残っていた魔導士たちが、魔人の消滅を確認しています。民間人への被害も最小限だったと」


 それは不幸中の幸いではあるが。

 あのお養父様が。優秀な魔導士であるお養父様が、なぜいなくなってしまったのか。


「姿を消した、っていうことは、生きている可能性があるってこと?」

「ええ。ご当主は戦闘中に消えたとしか聞いていません。しかし……」


 誰もお養父様の変わり果てた姿は見ていない。なら、生きている可能性もあるということだ。

 しかし、それならなぜ姿を眩ましてしまったのか。確率としては、魔人との戦闘中に……と、考えるのが妥当だろう。

 でも、信じたくない。あのお養父様が……お養父様に、もう会えないかもしれないなんて。

 この間、挨拶して、お話しして、家を送り出してもらったばかりなのに。


「お嬢様……」


 イディオが辛そうな顔をしながらも、私を気遣う視線をくれる。

 彼の方が辛いはずなのに。ファブラス伯爵家にイディオを連れてきたのは、お養父様だ。誰よりも信頼をおいていたのも彼だ。

 親子関係ではなかったのかもしれないけど、その絆は私よりもずっと強いはず。その彼を差し置いて、私が立ち止まっているわけにはいかない。


「状況を確認しないと。私、事情を説明して、少し休暇をもらってくる。イディオも一緒にファブラス伯爵家に帰ろう」

「分かりました。すぐ帰還できるよう、先に準備を進めておきます」


 お互いに頷き合い、やるべきことをしに向かう。

 お養父様が不在の今、私もイディオもいない状態では、ファブラス伯爵家がどうなっていることやら。

 ヴェルデ領のみんながどうしているのかも気になる。


 魔王について考えなくてはならないことも山積みだが、今は目の前の問題を解決しなくては。

 ディーン様に事情を説明すると、すでに知っていたのかスムーズに許可が降りる。

 リーファが既に荷造りを完了させてくれていたおかげで、いつでも帰れるようになっていた。


 グランディール様やエルたちには手紙を残し、急いで私たちはファブラス伯爵家に帰還した。

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