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神に愛された宮廷魔導士  作者: 桜花シキ
プロローグ
1/173

世界崩壊の時

 その日、世界が崩壊した。


 百年前、突如として魔界へ通ずる門が開かれ、魔物たちが人間界に現れるようになった。

 年々その数は増え、ついに「魔王」までもが人間界に襲い掛かった。


 私は、それを止めることができなかった。

 天才魔導士などと呼ばれ、その証である「ホロウ」の名まで頂いた。宮廷魔導士にも任命され、魔物たちの脅威から人々を守る義務があった。

 だが、私はその期待に応えることができなかった。所詮は、名ばかりが独り歩きした庶民の娘に過ぎない。


 そんな私を信じてくれた人がいた。

 そんな私を支えてくれた人がいた。

 

 それなのに、私は何も返すことができなかった。

 魔王と戦い、そして敗れた。力の差は歴然、全魔力を使い果たした私は、もう自力で動くこともできなかった。


 もう目は見えない。音も聞こえない。

 だが、ほのかに感じる温かさが、誰かが私を抱き起こしていることを教えてくれる。

 もうすぐ世界が終わるというのに、私なんかを気にかけてくれた優しい誰か。


「守れなくて、ごめんなさい」


 それがちゃんと言葉になっていたのか、確認することはできない。

 ああ――雨が降ってきた。終わりが近づいた世界が、悲しんでいるのかもしれない。


 ルナシア・ホロウ・シャルティル――私の人生は、ここで終わってしまうのだろうか。

 この世界を死なせてしまったまま、大切な人たちを守れないまま。


 どうか、神様がいるのなら――今度こそ、守ってみせるから。

 だから、もう一度――

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