★9 美少女とショッピングモール!
よろしくお願いします。
日曜日の朝、目覚めると雨がシトシトと振っていた。
そういえば、先日、梅雨入りしたってニュースが流れて、
今日は昼から大雨だって言ってたな・・・
時間はまだ8時。瑞希にラインで連絡した。
「昼から大雨だって。もうすぐ期末テストだろ?
今日は家で勉強した方がいいよ。」
すぐにスマホが着信音を鳴らした。
うん?ラインじゃなくって、電話か?
瑞希だ、早い!
「もしもし?」
「おっはよ~。昼から大雨なの?じゃあ、自転車で行けないね。」
あれ、すぐに電話してきたのに、珍しく素直だな・・・
「うん、今日は家で勉強したらどうかな?」
「うん、そだね~!あっ、ちょっと待ってね!」
ガチャ、バタンと音がした。なんだろう?
「あれ~、冷蔵庫の中、なんにもないぞう~
あれ~、牛乳がないぞう~、玉子がないぞう~
あれ~、米までないぞう~
雨なのになあ!
傘さして、米とか牛乳とか、私の細腕で持って帰れるかな?
う~ん、困ったな、どうしよう?」
ワザとらしく、セリフが棒読みだ!
たぶん、嘘だろうけど・・・
「・・・何が言いたい?」
「車でお買い物、行きたいなぁ。ショッピングモール、行きたいなぁ。
誰か、車を家の前に着けてくれないかなぁ。
そんな親切な人、どこかにいないかなぁ。」
「くっ。分かったよ。9時40分に迎えに行くから、家で待ってろ。」
「わ~い、ありがとう!」
・・・
ショッピングモールにケーキ屋さんがあることを思い出した。
「瑞希、もうすぐ誕生日だよね。おめでとう。
ちょっと早いけど、ケーキか、アイスクリームでも食べないか?」
「いいの!ありがとう!
う~ん、アイスか?アイスなのか?そうなのか?」
ルンルンと歩いていた瑞希は難問に遭遇したように悩み出した。
なんて、わざとらしい!可愛いけど。
「うん、やっぱりケーキで!」
ケーキ屋さんのショーウインドウを見て瑞希は堕ちた。
瑞希はザッハトルテを、俺はイチゴショートを選んだ。
「イチゴショート、一口、食べる?」
「いる~!ありがとう!うんま~!」
目を細めて喜ぶ瑞希。うん、一口あげてよかったよ。
「はい、優真さん、あ~ん!」
俺の口の前にニマニマした瑞希がザッハトルテを差し出した。
照れたら負けだ。自然に、滑らかに感想を述べるんだ!
「いただきます!うん、コレ、美味しいな。甘すぎないし。」
「うぷぷ。JKと間接キス!どう、どう?」
ニマニマした瑞希がグイグイ攻めてきた。
「ふ、ふんだ!幼なじみとは何度かしたもんね!」
「ツンデレか!そんなのず~っと前じゃん!」
ニマニマしている瑞希の視線がいたたまれない。
「ほっといてくれ。お前はどうなんだ?」
「うん?」
「男と間接キス、よくしてるの?オッサンとして大丈夫なのか?」
瑞希ははっと赤面して下を向いた。
「・・・初めて。」
小さすぎて聞こえなかった。
「なんて?」
「初めてだったの!」
恥ずかしがる瑞希を見ると、俺も恥ずかしくなってきちゃった・・・
・・・
ケーキを食べ終わると瑞希が俺の目を覗き込んで、
忘れていた重大案件のように話し出した。
「・・・梅雨が終わると夏休みだよ!」
「期末テスト忘れてないか?」
「うん。ねえ、また50番以内だったら・・・」
「遊園地は無しだぞ!」
中間テストを思い出して、慌ててダメだしした。
最近、瑞希に対する課金が酷かったからな・・・
「ゴメン!高校になってから初めてのテストだったから、
自分がどのくらいか分かってなくって。無理だと思っていたんだよ。
それに、乗り放題を付けたら、あんなに高いと知らなかって・・・
その前は服まで買ってくれて。ホントにありがとうね。」
いつものお気楽な調子でなく、真剣に謝られて、お礼を言われてしまった。
貧乏だって言ってたから、課金が高額になったことを気に病んでいるようだ。
「うん、俺も凄く楽しかったから後悔なんて全くないけど、
流石にあんなのはしばらく無理だから。」
「うん。ねえ、あの遊園地にプールがあったでしょ?
自分の入場料は払うから、連れて行ってくれないかな?」
上目遣いで可愛らしくお願いしてきた。
目をパチパチして、あざといわ!可愛すぎるわ!
「・・・50番以内だったら、全然オーケーかな。いいよ。
でもお金は大丈夫なのか?」
「うん!学校にも、お母さんにも頼んで、
夏休みだけアルバイトしてよくなったんだ。だから大丈夫!
あとね、花火大会行きたい!夏祭り!盆踊りも!
キャンプ行きたい!バーベキュー!魚釣り!花火!海!山!川!」
プールに連れて行ってもらえるとわかった瞬間、
満面の笑顔になった瑞希は弾けた!
「うぉ~い!無理だから!そんなの無理!友達と行けよ!」
「うん、友達とも行くんだけど、車が無いとダメな所あるでしょ?
ねえ、おねが~い、キャンプ道具揃っているじゃない!ねえ!」
「なんでそれを?」
「この前、優真さんの部屋、掃除しながら物色しちゃった!えへっ!」
「そういえば・・・てか、やっちゃダメだろ?」
「この前、醤油を切らして買いに行ってもらった時だよ。
でも、イヤらしい本、ないんだね?」
「いや、だからダメだって!ふう~。
門限あるんだろ?泊まりなんてもっての他だろ?」
「親友の紬ちゃんが一緒ならいいって!」
「ホントかよ?」
「ホント、ホント、じゃあ、日程決めようか!」
「くそっ、俺も忙しいんだぞ!」
「分かってる、分かってる。毎週、日曜日が空いてるってね!」
笑顔の瑞希は俺の手帳を取り上げ、
まずはプールとキャンプの日程を書き込んだ。
「おい、勝手に書くな。」
「大丈夫、大丈夫。じゃあ、この日はこれでね。」
はあっと盛大にため息をついて、受入れた。
「じゃあ、水着を買いに行こう!私に似合うの選んでね!」
「ぐはっ!それは、ちょっと無理。」
「ちょっとでしょ!ガンバ!」
「ちょっとじゃなくって、全然無理・・・」
アワアワしている俺の手を意地悪な笑顔の瑞希が引っ張った。
・・・
水着コーナーに拉致されると、瑞希はいくつか水着を選んで
試着室に向かった。
しばらくすると呼ばれてしまった。
「どうかな?」
カーテンを開くと、オレンジを基調にしたワンピ―スの水着の瑞希が現れた。
前に言ったからか、ホントになのか、恥じらっていた。可愛ええ~
他の野郎どもの視線を遮るようにカーテンを少し閉じ、ポジションを変更した。
派手な水着がよく似合っていた。
真っ白い手と足が長く、美しかった。
胸は物足りないものの、腰はしっかりと括れていた。
「うん、可愛いよ。」
上から下まで見直してから褒めると嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、次ね。」
と言って、カーテンが閉じられた。
「いや、それ、メチャクチャ似合っているよ。」
一刻も早くここから逃げ出したい俺は慌てて伝えたけれど、
「もう少し待ってね。」
と答えられ、衣擦れの音が聞こえた。
2着目は赤ビキニだった。
色っぽさはあんまりだったけれど、これも似合っていて可愛かった。
3着目は、カーテンから顔だけ出して声を掛けられた。
顔は真っ赤で目が泳いでいる。
近づくとカーテンが閉じられ、
「顔だけ入れて。」
と言われた。
「ホントに覘くよ。」
一言かけて覘いた。
頬を染め、ナナメ下を向いていた瑞希の水着は面積が少なすぎた!
正面も面積は極狭く、大事な所以外はほぼヒモじゃないか!
「あわわわ!」
姿見に後ろ姿が映っているが、お尻が半分以上、見えているぞ!
だけど、この水着は巨乳じゃないと似合わないヤツだ。
つまり・・・
「ど、どうか、な?」
「ノーコメント!」
すぐに逃げ出した。
着替えて試着室から出てきた瑞希に何度も背中を殴られた。
読んでくれてありがとうございました。
面白ければ評価をお願いします。
また明日更新します。