★8 優真さんと遊園地!
よろしくお願いします。
日曜日、朝8時、私の家の近くのコンビニで待ち合わせした。
5分前に着くと、優真さんがカフェオレ片手に店から出てきた。
「おっはよ~、じゃあ遊園地に向かって、しゅっぱ~っつ!」
中間テスト頑張ったらご褒美ちょうだいって言ったんだ。
そしたら50位以内だったら、ご希望の遊園地に連れて行ってくれるって
言うから、マジで勉強したら50位以内に入れたのだ!
イエス!
サファリと遊園地、さらにアトラクション乗り放題を組み合わせると
かなりの高額になるらしく優真さんは青くなっていた。
先週も予定外の私の服を買うことになっちゃたしね。
だから、会社から割引券をもらってきたみたい。
ホントは遊園地のお店で食べたかったけど、
少しは節約しないと申し訳ないから、お弁当を作って来たよ。
優真さんの胃袋は離さないよ!
本格的な遊園地もサファリも行ったことがないから、超楽しみ!
「遊園地とサファリ、どっちから行くの?」
「遊園地で!」
「おっけー。どれから乗りたいんだ?」
「まずはループしないジェットコースターから!」
・・・
どひゃー!結構、楽しいよ。うん。
優真さんもへっちゃらそうだから、全部、行っちゃうよ!
乗り放題だしね!
「楽しかったね!じゃあ、次はループするヤツ!」
ジェットコースターがゆっくりと頂上に近づいて行く。
ドキドキが大きくなってきた。
ちょっと!いつまで上がるの!高すぎる!怖すぎる!助けて!
「ぎゃー!」
すんごい勢いで落ちてからぐるんと回転した!今度は急カーブ?
なんなの~
永遠に続くかと思ったジェットコースターが停止し、
ふうっと一息ついた。
あ~、怖かった!
だけど、メチャクチャ楽しい!
うん?なんで優真さんと手を繋いでいるの?
慌てて手を離した!
「くくくっ、今頃、気付いてやんの!照れてやんの!」
「イジワル!」
ニヤニヤしている優真さんの肩をばちっと叩いた。
・・・
4種類のジェットコースターを制覇した次は観覧車に乗った。
ゆっくりと上がっていく観覧車。
友達の一人が、観覧車でファーストキスしたって言ってた!
さっきまで保護者で、お父さんか、親戚のお兄さんって思ってたのに!
なんか緊張してきた!ドキドキが止まらな~い!
「プ、プ、プール、色んなスライダーがあるね!」
10分位乗っていたのに、言えたのはこれだけ。
この遊園地は比較的人が少なく、並んでいないので、
3時間ほどで興味あるアトラクションを制覇することが出来た。
少し遅い昼ご飯はベンチに座って、私が作った弁当を食べた。
「天気もいいし、弁当も美味い。最高だな!
ホント、瑞希の作ってくれた料理は美味しいな!」
優真さんはいつもちゃんと美味しいと言ってくれる。
笑顔になってくれる。幸せがじわーっと広がっていくよ。
「でしょ?我ながら料理は絶品なんだよね!」
「うん、良い奥さんになれるよ!」
「んがくっくっ!」
「なにその反応?面白すぎだろ?」
ニヤニヤしながら、優真さんが顔を覗き込んできた!
「ウルサイ!」
私が叩きやすいように左肩を差し出してきた。
こんなところも良いカンジ!
・・・
弁当を食べ終わったら、優真さんの車でサファリを回ることにした。
猛獣セクションから始まり、まずはチーターがいた。
「何々!足がめっちゃ長くて、スマート!顔が小さくて可愛い!」
1頭のチーターが近寄って来た!
「優真さん、来たよ!近いよ!目が合ってるよ!
可愛い!ねえ、頭、ナデナデしたい!」
「ダメダメ!自分の頭をナデナデしておきな!」
「うん、分かった!」
って優真さんの頭をナデナデしたあげた。ぐへへへ!
「こら、俺はチーターじゃない!」
「バレた!」
こんな感じで楽しくしていたのに、
ライオンの雄が雌に覆いかぶさって、腰を振っているもんだから、
また話せなくなっちゃったよ!あの、エロライオンめ!
・・・
帰りの車の中、流石に話すネタが尽きてしまった。
私は結構、モテる。
同級生の男の子たちから何度も告白された。全部、断っているけど。
いつも相談している親友の紬ちゃんは不思議そうだった。
「瑞希ちゃんってどんな人がタイプなの?」
「えっと、同級生の男の子はなんだか子どもに思えちゃうんだ。」
「そうなんだ。年上好きなんだね?」
「う~ん。どうなんだろ?年上って先生くらいしか知らないし・・・」
男の子とはグループでしか遊びに行ったことがなかったのに、
毎週、優真さんと二人っきりになってる。
・・・私は優真さんのことをどう思っているんだろう?
うん、色々、シミュレーションしてみよう。
まずは・・・担任の茅本先生。28歳かな、ほんわか美人。割と好き。
茅本先生が優真さんと付き合って・・・ってイヤ!
イヤ、イヤ、イヤ!絶対にイヤ!
ふう。次は・・・
優真さんが私に壁ドンをしてキスを迫ってきた・・・
うん、しちゃうね、キス。初めての。あげちゃうわ!
でも、優真さんは私をお子ちゃま扱いしているから、
そうなるには私が好きって伝えるしかなさそうだけど・・・
ないわ。ないわ~。
それはないわ。うん、ない。
私は両手をじっと見てみた。
ジェットコースターで初めて手を繋いじゃったけど・・・
覚えているのは、右手はいつもお母さんと繋いでいて、
左手はいつも空いていたこと。
他の子どもたちが両親と両手を繋いでいるのが羨ましかったな・・・
私の右手はお母さんの左手と、私の左手は優真さんの右手と繋いでいる・・・・
うん、イヤじゃないな。
うん、嬉しいな、すっごく。
恋人より、家族に、お父さんになって欲しいのかな・・・
読んでくれてありがとうございました。
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